健太と美咲の住宅ローン奮闘記目指せマイホーム・オーナー
第5話元利均等返済と元金均等返済お得なのはどっち?
物件は抽選待ち、住宅ローンの選定もいよいよ最終段階。マイホーム・オーナーになる日はもう目前!
来たる日に備えて、ソワソワドキドキ、落ち着かない日々を過ごしている野村夫妻。夫の健太も、最後のツメとばかりに、住宅ローンの勉強に余念がありません。はたして今日はどんな疑問にぶつかったのでしょうか……。
- 先週申し込んだ駅前のマンション、来週抽選会よ。あー、ドキドキしちゃうなあ。
- あのマンションが決まれば、いよいよマイホーム・オーナーになれるわけだね!長い道のりだったなあ。
- ダメダメ、安心しちゃ!まだ決まったわけじゃないんだから。
- ははは、そうだね。でも、美咲ちゃんのおかげで、僕はずいぶん住宅ローンに詳しくなったよ。いっそのこと、ファイナンシャル・プランナーの資格でも取ってみようかな。
- すぐ調子に乗るんだから、もう(笑)だったら、もっともっと勉強しなきゃね。
- えー、もっと勉強しないとダメなのか(笑)マイホームが決まったら、ちょっと頭を休めたいなあ。
- あら、返済が終わるまではずっと住宅ローンとお友達なのよ。買った後もしっかり勉強を続けてもらわないとね(笑)
- うう……あ、そうだ。返済といえば、またひとつ悩みが出てきたんだよね。
- なあに?
- ローンの資料を見ると、返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」があるということなんだけど、これってどう違うのかな?
- それは大切なポイントね。「元利均等返済」と「元金均等返済」は、似ているようだけどぜんぜん違うのよ。図に書いて比べてみましょう。違いがよく分かると思うわ。
●元利均等返済元金と利息を合わせた返済額は変わらず、返済金額に占める元金と利息の割合が変化していく返済方法。返済当初は利息が大部分を占めるので元金部分の減り方は遅い。
●元金均等返済元金部分を返済期間で均等に割り、残高に応じた利息を載せていく返済方法。返済当初が最も返済額が多く、返済が進むと返済額も徐々に少なくなっていく。
- なるほど、これは一目瞭然!1字違うだけで大違いなんだね。
- でしょ?「元利均等返済」のほうは、月々の返済額がずっと同じというメリットがあるんだけど、見ての通り、最初のうちは元金がなかなか減らないという特徴があるの。同じ金額を借りた場合、総返済額が「元金均等返済」より多くなってしまうのはデメリットね。
- ふむふむ。
- 「元金均等返済」は、元金部分の返済額がずっと同じで、利息部分が返済を重ねるごとに減っていくという仕組みよ。こっちのほうは、「元利均等返済」よりも当初の返済額が多くなって大変なんだけど、返済総額は「元利均等返済」よりも少なくなるのがメリットね。
ファイナンシャル・プランナー's アドバイス!
”「元利均等返済」”と”「元金均等返済」の注意点”
元利均等返済と元金均等返済の返済額を比べてみましょう。当初の毎月返済額を比べると元利均等返済の方が少なくなっていますが、総返済額は元金均等返済の方が少なくなります(表1)。
表1 元利均等返済と元金均等返済の返済額の比較(借入額3,000万円 金利1.5% 返済期間30年の場合)
2つの返済方法のどちらを選ぶかは、返済額の比較だけでなく、将来のライフスタイルの変化も考慮して決めることが大切です。
例えば、今は夫婦共働きだが、数年以内に子どもが生まれたら妻は育児のために仕事を辞めるというような場合、妻の退職後は世帯収入が減少してしまいます。将来のことを考えると当初の返済額が少なめな「元利均等返済」を選択しておいた方が無難でしょう。
逆に、教育費のピークは過ぎて家計にゆとりがある、というような世帯であれば、当初返済額が多い「元金均等返済」も選択肢になります。
元金均等返済の方が総返済額が少なくなるので魅力的ですが、繰上返済を併用すれば元利均等返済でも総返済額を少なくすることは可能です。元金均等返済を選ぶのなら、毎回の返済額に無理がないかどうか、十分に検討しましょう。
- こうやって実際に金額を並べて比較してみると、違いがよくわかるね。元利均等返済と元金均等返済の差は、約50万円か。
- かなり大きな差よね。でも、うまく活用できれば、元金均等返済に引けを取らないぐらい総返済額を減らすこともできるわ。結局、10年後、20年後の私たちの生活スタイルをどうしたいかによって、最初にたくさん返済するか、無理なく平均的に返済していくかを決めていくべきでしょうね。
- もし来年、僕たちに子どもが生まれたとすると、10年後は小学4年生ぐらいか。その先、私立中学や私立高校に行くとなると、教育費がけっこうかかってくるよね。となると、その頃までには住宅ローンの負担はできるだけ小さくなっているほうがいいということになるね。
- そういうこと!ケンくん、なんだかすごく頼もしくなってきたわね!(笑)
- 褒められると調子が狂うんだよねえ(笑)褒められたそばからなんだけど、もうひとつ質問。「ボーナス返済」という言葉もよく聞くんだけど、これはどういう仕組みなのかな? ボーナスが出たときに普段より多めに返済することだというのはなんとなく分かるんだけど。
- その通りよ。毎月の返済額にプラスして、年2回のボーナスの一部も返済に充てていく方法なの。少しでも早く返済したい場合や、月々の返済額を少なくしたい場合にも利用できるそうよ。
- なるほど。こまめに繰り上げ返済するのと同じ感覚で使えそうだね。ボーナス返済を併用すれば、毎月の返済額が少なくなって、家計が赤字にならずに助かるね。
表2 ボーナス返済割合ごとの返済額の目安(借入額3,000万円 金利1.5% 返済期間30年の場合)
- うーん、たしかに月々の負担が減るのは助かるわよね(表2)。でも、ボーナスって会社の業績で増減するものでしょう? 何十年後も同じようにボーナスがもらえるという保証はないわけだから、安易にボーナス返済を組み込まないほうがいいんじゃないかしら
- なるほど、それもそうだね。じゃ、僕たちのボーナスは、不意の出費に備えて貯蓄に回すことにしよう!
- さあ、そろそろ住宅ローンも候補が絞りこめてきたわね。あとはマンションの抽選会に当たることを祈るのみ!
- ドキドキするなあ!
今回の教訓
返済計画に無理がなければ、元金均等返済のほうが断然総返済額は少ない!
元金均等返済か元利均等返済かやボーナス返済の有無は、将来も見据えて検討を!
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