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オフィスマーケットレポート(2025年7月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
旺盛なオフィス需要を背景に、空室率は4-6月期で3.55%から2.03%へと1.5ポイントを超える大幅な低下となった。新築・築浅ビルを中心に、外資系企業や商社等により大口の空室床が消化されている。足元では品薄感が広がり、建築中ビルの内定も進んでおり、需給バランスは引き締まり傾向が続くと見込まれる。
(基準日:2025年6月30日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率
25年度0.3%、26年度0.9%の予測
2025年1-3月期の実質GDP成長率(内閣府)2次速報を受け、ニッセイ基礎研究所は2025年度の成長率見通しを0.3%、2026年度を0.9%と予測した。
2025年4-6月期は米国による関税引上げの影響で2四半期連続のマイナス成長となるが、7-9月期はプラス成長に復帰すると見込んでいる。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から横ばい。就業者数が過去最高を更新
5月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から横ばいの2.5%となった。有効求人倍率(厚生労働省)、その先行指標である新規求人倍率はともに前月から低下(=悪化)した。就業者数が過去最高を更新し、雇用情勢は改善している。業種別では医療・福祉の増加幅が一段と拡大した。(図表1)

Ⅲ.空室率
4ヵ月連続で低下。2021年2月以来の1%台が目前に
空室率は前月比マイナス0.09ポイントの2.03%となり、前月から小幅に低下した。新築・築浅ビルを中心に空室床の消化が進んでおり、空室率は2021年2月以来の1%台が目前に迫っている。潜在空室率は前月比マイナス0.21ポイントの3.93%と、2020年8月以来の3%台となった。空室率・潜在空室率ともに4ヵ月連続で低下しており、低下傾向が継続している。

Ⅳ.募集賃料
上昇傾向が継続。都心部の多くのエリアで品薄感が強まる
募集賃料は前月から小幅に上昇した。19ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、上昇傾向が継続している。都心部では多くのエリアで募集床の品薄感が強まっており、貸主側が賃料水準を引き上げる動きが続いている。

Ⅴ.ネット・アブソープション(吸収需要)
7期連続で需要超過
ネット・アブソープション(吸収需要)はオフィス需要の指標であり、一定期間におけるテナント入居面積(稼働面積)の増減を表す。直近2025年第2四半期の吸収需要は約9万坪の高水準となり、新規供給を大幅に上回った。需要が供給を上回る需要超過は、2023年第4四半期から7期連続となっている。オフィス需要は引き続き力強い状態にある。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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