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不動産投資の最新動向

不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。

宮澤 大樹
野村の仲介+
資産コンサルティング部
1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。
その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
はじめての不動産投資

メリットを比較!アパートVS一棟マンション

「サラリーマンでも始められる不動産投資」「おトクな収益物件」としてアパートが注目を集めています。実際はどうなのでしょうか。一棟マンションと比較しながら、メリット・デメリットを考えてみましょう。

2017年7月 4日

【今回のポイント】
 ・アパートと一棟マンション、価格と利回りはどちらが高い?
 ・アパートのほうが、経費が少なく手取りが多い?
 ・入口⇒ 新築以外、アパートは融資面では不利?
 ・運用中⇒ アパートはマンションより空室率が高い?
 ・出口⇒ アパートはマンションより出口戦略が厳しい?



「価格が低くて利回りが高い」のは、売りアパート!?

初めて不動産投資をする場合、「いきなり何億円もの一棟マンションを買うのは抵抗がある」という人は少なくありません。「売りアパートのほうが、価格が低めで投資しやすそう」というイメージがあるようです。

そこで、現在流通している売りアパートと一棟マンションの平均像を、まずは見てみましょう。

図1は不動産投資サイト「ノムコム・プロ」に掲載されている収益物件の最新データです(収益物件全体の平均相場を示すものではありません )。

表面利回りは、売りアパートが約6.8%、一棟マンションが約6.4%で、売りアパートのほうが少し高めです。平均価格については、売りアパートが約1.1億円、一棟マンションが約2.4億円となっています。

郊外の売りアパートの中には3000万円以下の物件も少なくありません。一棟マンションについても、1億円以下で売り出されている物件もあります。とはいえ、同じエリア、同じ規模で比べると「売りアパートのほうが、利回りが高く、価格は低め」という大まかなイメージに間違いはなさそうです。

では、こうした売りアパートと一棟マンションの違いは何が要因なのか、詳しく見てみましょう。


売りアパートは、経費が少なく手取りが多い?

売りアパートと一棟マンションの違いを、価格(投資額)、収入、支出の面から考えてみます。

【価格(投資額)】 売りアパート<一棟マンション
まず、建物についていうと、同じ規模の売りアパートとマンションの建物の価格は「売りアパート<一棟マンション」です。これは、建物構造の違いがあるからです。一般に「アパート=木造」「マンション=鉄筋コンクリート(RC)造」となっています(※)。現在の建築コストの単価は、ごく大ざっぱに木造が坪60万円、RC造が100万円くらいでしょう。

※建物の構造には、木造とRC造以外にもいくつかありますが、ここで代表的なタイプに絞ります。

また、アパートは低層住宅地にあることが多いのに対して、マンションは中高層住宅地や近隣商業地など容積率の高いエリアに多いといえます。同じ敷地面積でも、アパートよりマンションのある土地のほうが、単価は高いことが多いでしょう(もちろん、似た地域内での話です)。

土地・建物の両面で、アパートのほうが総投資額が低めになる傾向があります。

【収入】 売りアパート<一棟マンション
賃料は、同じ立地・同じ間取りタイプ(同一面積帯)であれば、RC造の一棟マンションのほうが高めになるのが一般的でしょう。エリアによりますが1割前後の違いがあるようです。その理由の一つは、木造よりRC造のほうが、遮音性・耐久性・耐火性などの住まいとしての基本性能が高いからです。

とはいえ、1室当たり、あるいは坪当たりの賃料の差はそれほど大きくありません。


【支出 : 現金出費のある経費】 売りアパート<一棟マンション

■公租公課=税金

不動産を持っている限り、固定資産税・都市計画税が毎年かかります。これらの税額は、評価額に一定の税率を掛けて計算されます。この評価額がRC造より木造のほうが低いため、同じ建物規模なら木造のほうが税負担は軽くなるのです。なお1m2当たり評価額は、木造=87,000円、RC造=132,000円となっています。
(東京法務局管内・2015年度・新築建物価格認定課税標準価格認定基準表/共同住宅)

■維持管理経費
売りアパートを2階建ての低層タイプ、一棟マンションを4~5階建て以上 という前提でいうと、建物の共用設備の面で違いがあります。

まず、一棟マンションには、エレベータ、給水用の貯水タンク・ポンプ、屋内消火栓・避難ハッチ・梯子などの消火設備があります。これらの設備には、法定点検、清掃・整備・補修などが必要になり、維持管理のコストがかかるわけです。これに対して売りアパートの場合は、こうした設備がほとんどないのが一般的なため、維持管理のコストも低くなります。


【支出 : 現金出費のない経費】 売りアパート>一棟マンション

■減価償却費
減価償却費は、建物価格と法定耐用年数によって決まります。法定耐用年数は木造が22年、RC造が47年です。建物価格が同じ程度であれば、耐用年数の短い木造のほうが年間に計上できる減価償却費は多くなるわけです。仮に建物価格が5000万円とすると、木造の場合は227万円、RC造は106万円です。

減価償却費の金額が多くなるほど、賃料収入から差し引ける経費が大きくなる、つまり不動産所得が減るわけです。所得が少なければ、支払う所得税(個人の場合)や法人税は少なくて済みます。その一方で、減価償却費は実際の現金出費のない経費のため、キャッシュフロー(現金収支)は減りません。

以上の点から、キャッシュフローに関しては、売りアパートのほうが多くなるといえるでしょう。

図2は、実際に売り出された事例です。税引き前キャッシュフローが、売りアパートのほうが一棟マンションより年間約40万円多くなっています。

ここまでは、構造や立地などあくまでも「物件そのもの」について、アパートとマンションを比較しました。次のページで、別の観点から比較してみましょう。

次のページでは「融資」や「賃貸運営」などのいわばソフトの点から考えてみます>>>>

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