平成16年12月、国土交通省は公共交通の快適性・安全性向上への取り組み促進のため、その目安として、「快適性・安心性評価指標」なるものを発表しています。利用者にやさしく、使いやすい鉄道作りがどこまで進んでいるかを示すもので、言ってみれば鉄道の通信簿。混雑度やバリアフリーの導入度合い、ホームや駅構内での情報の分かりやすさなど7つの指標が挙げられています。

その中で、子どもやお年寄りのいる家庭に気になるのは段差解消への取り組み。この点で進んでいるのは、小田急線と東急東横線、東急田園都市線、なかでも東急東横線は9割以上の駅でバリアフリー化が実現しています。利用者に優しい沿線といえそうですね。

毎日の通勤は少しでも快適なものであってほしいもの…

ことに夏の通勤は混雑とあいまって不快なもの。その解消として、通常のエアコンではなく、車内温度を自動制御、除湿運転できる高性能エアコンの導入が始まっています。ただし、普及はまだまだ。今のところ、100％設置されているのは都営地下鉄、東京メトロ（一部100％以下の路線もあります）だけ。今後の普及に期待したいところです。

女性にとって快適通勤の妨げは痴漢。ところが、警視庁生活安全総務課の調べによると、2004年の被害件数は1996年の3倍にも上っているのだとか。被害件数の多い沿線のワースト10は下の表の通り。混雑している路線、駅の間が長い路線に被害が多発する傾向が見て取れます。また、上位の埼京線、中央線は沿線に学校が多いという点も原因のひとつとか。

この結果を受けて、国土交通省は朝夕のラッシュ時に女性や通学の小学生が優先して乗車できる専用車両の導入を鉄道各社に提起。ＪＲ東日本では2005年4月4日から、大手私鉄と東京メトロ、都営地下鉄は5月9日からの導入を決めました。

この専用車両は各列車に1両。朝のラッシュ時を基本に一部の会社では深夜、夕方などにも運行されています。時間帯などは各社それぞれに運用しています。2006年8月現在、女性専用車両が導入されているのは、JR埼京線・川越線、中央線快速、青梅線・八高線、常磐線各駅停車、京王線、同高尾線、相模原線、都営地下鉄新宿線、東京メトロ半蔵門線、同有楽町線、日比谷線、千代田線、東武伊勢崎線、東武野田線、西武池袋線、西武有楽町線、西武新宿線、同拝島線・多摩湖線、京成電鉄、小田急小田原線、同江ノ島線、東急東横線・みなとみらい線、東急田園都市線、つくばエクスプレス線、りんかい線、相模鉄道本線、同いずみ野線、京浜急行本線、横浜市営地下鉄1号線、同3号線など。

導入から1年余。最悪だった埼京線での被害件数は217件から164件と53件減少したものの、中央線、京王線では増加。やはり、女性専用車両導入だけで、また、たかだか1年くらいで、問題がすべて解消すると思うのは早計かもしれません。しかし、少しずつ、利用しやすくなってきているわけですから、これからの動きに注意していたいところです。

住み心地を考えて場所選びをするなら、便利さに加えて、快適さも考慮、ベストな場所を考えたいものですね。