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不動産投資・収益物件 > 不動産投資の最新動向 > 地方都市での不動産投資、気をつけるべきポイントは?(2ページ目)
不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。
2014年4月21日
前ページでは人口や地価の動きを中心に紹介しましたが、実際に投資をする場合には、事業所数の増減などの統計に加えて、交通インフラの整備状況、物件ごとのマーケットについて調査する必要があります。現地を見ることも欠かせません。全く知らないエリアにデータ分析だけで投資するのはリスクがあります。なるべく土地勘のある場所を中心に検討するのが賢明です。
首都圏に住んでいる方が都心部以外に投資を考えているなら、東京近郊に目を付けてみるのもいいでしょう。たとえば、人口増加率が比較的高いのは川崎市です。2005年から2010年までの国勢調査ベースの増加率では、政令指定都市でトップとなっています(前ページの図2参照)。2014年の公示地価でも、商業地は東京23区よりも高い上昇率です(図3参照)。特に、武蔵小杉を中心とする大規模な再開発が進む中原区、川崎駅前のラゾーナをはじめ集客力の高い大型商業施設が充実する幸区などでは10%前後の大幅な上昇率を示しました。
川崎は、就業人口に占める研究機関従事者の割合が全国で2番目に高いなど、企業や大学の研究開発部門の進出が盛んです。たとえば、JR横須賀線「新川崎」駅の周辺には、先端企業や大学が集まっています。2009年にパイオニア本社が移転し、その後も慶応大学新川崎(K2)タウンキャンパスや4大学(慶大、早大、東工大、東大)のナノ技術コンソーシアムが集結。日本電産の中央モーター基礎技術研究所も進出しました。南武線「鹿島田」駅との間には、タワーマンションや大型商業施設の開発も進んでいます。
また、多摩川を挟んで羽田空港の対岸にある「殿町地区キングスカイフロント」は国際戦略総合特区に指定され、ライフサイエンスや環境関連分野の企業が多数集まっています。直近では、ジョンソン・エンド・ジョンソンが、アジアから年間1万人の医師が集まる医療機器トレーニングセンターを建設中で、2014年中にも事業開始する予定です。
横浜の桜木町から南武支線の浜川崎駅を経由して品川駅までを結ぶ「京浜臨海線」の新線開発の計画もあります。東京と横浜に挟まれていまひとつ遅れをとっていた川崎ですが、今後は大きく変貌する可能性を秘めているといえるかもしれません。
再開発や新線・新駅計画などの大型プロジェクトがなくても、個別に見ると投資対象として魅力的なエリアはあります。たとえば神奈川県央エリアです。ある物件を一例に見てみましょう。
その物件は、最寄駅から徒歩10分超と、必ずしも鉄道のアクセスはよくありません。しかし、国道246号線に近く、厚木ICからすぐに東名高速にアクセスでき、車の便が良いところです。1階の50坪以上の大型オフィスには、静岡県に本社を持つ医療関係の法人が10年以上テナントとして入っていました。東京と静岡の間の中継基地になっていたのです。上階の住宅部分も高稼働を維持しています。その背景にあるのが企業の集積です。
厚木市内には、日産自動車の研究開発拠点「テクニカルセンター」があり、研究所員が1万人近くいて、この30年で3倍近くに増加しています。もとは、1982年から2003年まで20年以上、青山学院厚木キャンパスがありました。移転したときは、賃貸需要が減少するのではないかと危惧されましたが、その跡地を日産自動車が買い取り、先端技術開発センターを設けました。NTTの研究開発センターや富士通研究所もあります。一定の賃貸需要が継続してあるといえるでしょう。
厚木市に隣接する座間市でも、かつて日産自動車座間工場が移転した際に需要激減が心配されました。しかし、新型車の量産試作を行う事業所が今も残り、2,000人規模の従業員がいます。オーナーの方は、所有して6年で売却して利益を確定しました。最寄駅からバスを利用する物件のため一般的には敬遠されがちですが、ファミリータイプが30室の1棟マンションで、ずっと満室でした。必ずしもバス便だから入居率が低いわけではなく、地域のマーケットに合ったプランであれば、十分に需要があるのです。
このように、東京近郊エリアでも、安定的な収益を確保しながら、中短期の出口で利益を出せる物件はあります。誰もが目を付ける注目エリアだけでなく、固定観念にとらわれずに幅広く検討してみてはいかがでしょうか。