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不動産投資の最新動向

不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。

宮澤 大樹
野村の仲介+
資産コンサルティング部
1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。
その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
不動産投資マーケット、物件価格・利回りの動向

不動産投資【2017年の見通し―価格動向編】

海外の政治・経済情勢の激変に株価や為替が揺れ動く中、比較的落ち着いているのが不動産市場です。では、今後の先行きはどうなるのでしょうか。2017年の不動産投資の環境について、今回はおもに価格動向に焦点をしぼって、見てみましょう。

2017年1月30日

融資姿勢に左右される今後の価格動向

今後、投資物件の価格が上昇する(利回りが下がる)のか、それとも上昇傾向に歯止めがかかるのかを予測する上で、もっとも大きな要因は融資環境といえます。一定の自己資金で価格の上昇に対応するには、金融機関が値上がり分をカバーする融資をするかどうかに影響されるからです。

<区分マンション>
既に価格の上限に近づき、これ以上の値上がりはないと見ています。以前は、物件の担保力を中心に判断する金融機関がほとんどでしたが、現在は収支を重視して判断する金融機関が増えました。つまり、インカムゲインを得られることを前提に融資する姿勢に変わってきているということです。

その点で、現在の相場だと、区分ワンルームマンションや都心部のタワーマンションは、全額融資を前提にするとキャッシュフローがプラスになりにくく、金融機関は融資を出しづらいと考えられます。

また、区分ワンルームマンションは1戸の総額が小さいため、多少利回りが高くても、実際の手取り収入は数万円程度(1戸1か月当たり)にしかなりません。空室期間が長期化したり、修繕費などの経費がかさめば収支はマイナスです。つまり"投資効率"が悪いことから、金融機関が融資対象から外したり、敬遠する傾向にあります。

ただし、新築の区分ワンルームマンションについては、売主デベロッパーと金融機関との提携融資が多いため、開発状況次第ではまだ値上がりする可能性はあります。とはいえ、借り入れをして投資をする際には、新築の場合、現状でもキャッシュフローがマイナスになる物件が多くあるので注意が必要です。

都心部のタワーマンションの場合は、総額は高いものの、賃料が物件価格の割には低めです。そのため採算が合いにくいことから、住宅ローン以外で融資する金融機関は限られるでしょう。

一部のプレミア立地の希少物件は、賃料の上昇や外国人富裕層など、様々なニーズが期待できることから、まだ価格の伸び代はあるでしょう。坪単価1,000万円前後の物件が即日完売しているのも事実です。といっても、こうした物件はキャッシュで購入しているケースが多いようです。


<一棟マンション・売りアパート>
一棟モノに対しては、マンションもアパートも、金融機関が積極的に融資をしています。区分マンションより比較的利回りが高く、一定の戸数があり収支が安定していることが理由です。そのため、都区部を中心に値上がりする余地はありそうです。周辺エリアも、もう少し上昇するかもしれません。

メガバンクは富裕層をメインターゲットにしています。サラリーマン投資家にも融資しないことはありませんが、融資条件として、頭金を2~3割入れることが必要です。それだけ自己資金を投入してまで不動産投資をするサラリーマンは少ないかもしれません。

これに対して、地方銀行信用金庫や一部の金融機関ではサラリーマン投資家向けに力を入れています。新築アパートに対しては最長35年にも対応するようになっています。築年数の古い物件でも、以前より長期間の借り入れが可能になってきました。

返済期間が長期になれば月々の返済負担が軽くなり、キャッシュフローが改善するため、より高額な物件の購入も可能になります。その結果、価格上昇の余地が生まれるわけです。

以上のように、今後の価格動向は、金融機関が融資対象にするエリアや物件種別にかなり左右されるといえるでしょう。


海外の金融不安も怖くない!? 2017年も買い時は続く

今後の市況を左右する要素としては、海外情勢も無視できません。2009年のリーマンショックは、それ以前のアメリカにおけるサブプライムローンを発端とした金融不安が原因でした。現在も、Brexit(ブレグジット:イギリスのEU離脱問題)を始め、イタリアやドイツの銀行破たんの火種がくすぶり、アメリカではトランプ大統領就任を巡り混乱が起きています。

こうした点が、日本国内の不動産市場にどの程度影響するのでしょうか。前述の日本不動産研究所の調査では、「Brexitは日本の不動産投資市場にどのような影響を与えるか」という質問に対して、75.9%が「影響しない」でした。世界的な経済の混乱は、むしろ日本の不動産投資マーケットにプラスに寄与するという見方もあります。

リーマンショックの時、金融不安にともなう貸し渋りや融資引き上げによって、倒産など経営上の深刻な影響を受けたのはデベロッパーや不動産関連の事業者でした。こうした企業が融資を受けているのは、短期の運転資金です。不況になって売れ残りが発生し、1~2年以内に融資を返済できなければ破たんするおそれがあります。

しかし、個人の不動産投資家で破たんした人はほとんどいなかったのではないでしょうか。個人の場合は長期融資を受けている上に、不動産の市場価格が大きく下がったとしても売却しなければ含み損にすぎません。

短期間に賃料が暴落したり、空室率が極端に悪化したりしない限りは、すぐに賃貸経営に影響を受けないといえます。賃料暴落や空室率激増は、直下型大地震の発生など以外では考えにくいでしょう。

以上の点から、エリアや物件を選別して投資するなら、2017年も不動産投資環境としては良好な状況が続くといえるのではないでしょうか。

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