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不動産投資の最新動向

不動産投資の物件選びのポイントや不動産投資の出口戦略、利回り・不動産価格・マーケット情報など不動産投資に関する最新動向をわかりやすく解説いたします。

宮澤 大樹
野村の仲介+
資産コンサルティング部
1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。
その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
不動産投資マーケット、物件価格・利回りの動向

2016年上半期、投資用物件の価格・利回りの動向

都心部の表面利回りが5%を切る水準の一方で、全体的には利回り低下に歯止めがかかりつつあります。金融機関の融資姿勢もさらに積極的になる中で、今後の価格や利回りはどうなるかを検証しました。

2016年8月 8日

【この記事のポイント】

•価格上昇の勢いが弱まりつつある?

•金融機関の融資姿勢が価格相場にも影響

•投資用物件は今「買い時」か?

•今後の投資用物件の利回りの行方は?

物件の種類によって、利回り低下の動きにブレーキ!?

まず、ここ数年間の投資用物件の価格相場の動きを振り返ってみましょう。現在は、一時の勢いはないながらも、価格上昇の傾向にあるといってよいでしょう。"アベノミクス"の影響を受けながら、2013年頃から続いています。2014年の消費税増税の悪影響はそれほどなく、外国人によるインバウンド投資を始め、富裕層の相続対策、個人投資家の資産形成の動きなどが、不動産投資市場の活況を支えています。

昨年(2015年)ごろには少し過熱気味の感もあり、「このまま値上がりが続くと、バブルになるのではないか」という声もあったほどです。価格上昇によって利回りの低下が進むと、投資家の購入意欲がしぼんでしまうという懸念もありました。

しかし、そこまで過剰な価格上昇には今のところ至っていません。現在も、投資用物件に対する購入意欲は衰えず、売出物件も豊富で、相変わらず活発に取引されています。マイナス金利政策に象徴される金融緩和と、それにともない一段と低下しているローン金利によるものと言ってよいでしょう。

また「価格上昇/利回り低下」の勢い自体が衰えていることも、活発な取引を下支えしているのではないでしょうか。2013年以降の表面利回りのグラフに、その状況が現れています。

図1は一棟マンションの表面利回りの推移です(不動産投資情報サイト「ノムコム・プロ」の掲載物件の表面利回り)。2015年の秋頃から、都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)や23区西(中野、杉並、練馬)は、利回り低下に歯止めがかかり、横ばいに近い状態です。横浜・川崎も今年に入ってやや上向いています。

一棟マンションの表面利回り推移(2012年~2016年)

売りアパートもほぼ同様です(図2参照)。都心5区は、物件数がやや少ないこともあり、上下の動きが激しくなっていますが、23区西と同様に、昨年春頃から横ばいに近い状態に移っています。5%より低い水準には下がりにくい印象です。その背景として、ハウスメーカーや建築会社による新築アパートが、都内でも表面利回り5~6%で販売されるケースが増えていることが挙げられるでしょう。

マンションの表面利回り推移(2012年~2016年)

区分マンションは一棟物件とはやや動きが異なります(図3参照)。23区西や横浜・川崎など周辺部は、2012年から2014年の間に急激に利回りが低下し、2015年春頃には低下傾向に歯止めがかかりました。しかし、都心5区では利回りが下がり続け、2016年に入ってついに5%を切っています。

区分マンションの表面利回り推移(2012年~2016年)

都心の区分マンションは、相続対策を目的とした層やインバウンドなどの買い手が多く存在します。キャッシュで購入し、継続的なインカムを主たる目的としない、つまり高い利回りにそれほどこだわらない買い手が多いのです。

また、一部の地方銀行やノンバンクが、3,000万円以下の新築ワンルームに対して、従来にない低金利での融資や売買価格を超える融資を行うなど、柔軟性を持って積極的に融資をしていることも影響しているかもしれません。


地方銀行の担保評価に変化。「収支」によって融資額が決まる

投資用物件の市況は、金融機関の融資姿勢に大きく左右されます。融資姿勢とは、単純な金利水準の違いだけではありません。昨年あたりから顕著になってきたのは、築年数や融資対象とする物件のエリアなど、立地や建物のスペック的な面での柔軟性です。それに加えて、新しい動きも出てきたのです。

投資物件への担保評価は、金融機関によって違いがあります(詳細はこちらの記事を参照ください)。地方銀行の場合、従来は積算価格が基本でした。土地は路線価を基に算出した金額、建物は再建築価格(築年数により減価償却)です。しかし最近では、審査の重きを担保ではなく、収支(収支が合うかどうか)にする金融機関も登場しています。

近年の不動産価格の上昇によって、実勢地価と路線価の乖離が大きくなってきました。路線価のほうが実勢地価より大幅に低くなっているのです。その結果、路線価ベースで出した担保評価では融資限度額が低すぎて、投資家の資金計画に合わなくなってきました。マイナス金利政策で、積極的に融資をしたい地方銀行にとってもミスマッチです。

そこで、金融機関によっては、収支計算上で黒字になる範囲なら融資を積極化するようになったのです(収支計算の方法は、金融機関により異なります)。この動きと並行して、新築や比較的新しい物件に対しては35~40年という長期融資を認めるようになってきました。返済期間が延びれば単月の返済負担は減るため、収支も改善します。新築や築浅物件ほど、融資限度額が高くなるわけです。

反対に、築年数の古い物件に対しては評価が低くなっています。古くなるほど修繕などの経費がかさんだり、空室リスクが高まったりする可能性がある分、収支を厳しく見るからです。ある金融機関では、耐用年数に近い木造アパートは実際の収入の半分しか評価せず、耐用年数を過ぎたものは、まったく収入として見てもらえないというケースもありました。

こうした融資姿勢があるため、新築や築浅物件は価格の上昇余地があるのに対して、築年数の古い物件は価格を抑え気味にしないと売れにくくなってきます。金融機関の融資姿勢には、買うときの資金計画のためだけではなく、常に注意を払っておく必要があります。

次のページでは、今後の価格動向や需給状況を展望します。>>

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