

マイナス金利どうみる~リート・住宅販売にプラス、官製需要期待
2016年04月01日

不動産経済研究所は、不動産・住宅主要各社を対象にした市場動向などに関するアンケート調査で「マイナス金利の影響」(自由回答)を尋ねたところ、有効回答29件を得た。このうち、ポジティブとみられる回答は11件(37.9%)に対し、ネガティブとみられる回答は7件(24.1%)あった。調査は今年2月25日~3月17日に実施。以下に紹介する。
[ポジティブ評価]▽マイナス金利の影響だけであれば、不動産価格にはプラスの作用がある▽景気全般の下支え効果に期待している▽オルタナティブ投資の1分野として、不動産には確実にポジティブな影響がある。諸金利低下による不動産投資、融資、住宅購入に好影響を及ぼす。金利低下により企業設備投資や個人消費増加を通じたマクロ経済からの好影響を期待したいところである▽開発における資金調達には有利に働いている。
▽不動産事業には有利に作用すると思う。とくにリート市場、住宅販売には追い風▽リートにプラスの影響▽購入意欲の喚起につながる▽住宅ローン金利の低下により、消費者のマインドが上向く。用地取得時の金利コスト低下▽消費税の増税による駆け込み需要と同様、マイナス金利による官製需要に期待している。
▽株価下落により都心高額物件では若干買い控え傾向が感じられるものの、その他ではマイナスの影響は限定的で、住宅ローン金利低下により購入マインドはむしろ高まっている▽顧客マインドにプラスに働く可能性がある。
[ネガティブ評価]▽すでに低金利が続いていたので特段大きな変化はなし。▽不良債権償却余力の低下により、金融機関の取引先選別姿勢は強まるものと思われる。▽愚の骨頂▽目先は少し住宅購入が推移されるも根本的な解釈にはならない。▽来場者、お客様からの声として影響はあるものの、今後の価格や消費税等を考えると持続するか不透明▽住宅ローン金利の低下は好材料ともとれるが、その他、特に長期的には悪影響が心配▽個人住宅取得ニーズの高まりは、一定程度見込めるものの、収入アップ、景気回復感の実感がないなかでは、大きな効果は生まないと思う。
[両論その他]▽金融機関が混乱しており、落ち着くまでもうしばらく時間が必要▽住宅ローン金利の一段の引き下げはあるものの、市場全体への影響は不透明▽資金面では調達金利低下の恩恵あり。
一方で、不動産利回り(キャップレート)のさらなる低下は懸念。投資行動は債権からリートや現物の収益不動産へのシフトが広がる可能性あり。
住宅では、購入マインドを上げるものとみるが、過度な価格上昇による市況不透明▽資金調達に際してコーポレートは容易になった一方で、社債の値付けが難しくなった。
▽住宅ローン金利が低下し好影響である一方、銀行の融資増加による土地価格の上昇が懸念される▽リスクフリーレートの低下・借り入れ金利の低下で投資資産として不動産の優位性が高まる。一方マイナス金利により景気不安は高まり、不動産投資・購入マインドは改善していない。資金調達面ではプラスの影響▽不動産価格は上昇すると思う。
▽リートの投資口価格には好影響を与えると思われるが、物件取得環境については厳しくなると思われる▽調達利率は下がると考えますが、不動産業界や市況に対する具体的な影響は現時点では測れない▽生保会社の投資動向等に影響がある▽用地や取得物件等にはプラスに働くと思われるが、住宅購入者への影響は限定的と思われる。
むしろ、個人の借り換え需要を喚起すると思われる。
(提供:日刊不動産経済通信)


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