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#マンションリフォーム

2020.08.25

これだけは押さえておきたい!「マンションリフォーム」ニーズの変遷と注意点

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中古マンションを購入するときにリフォームをする方、以前に新築マンションを購入して長く住むうちにリフォームの必要性を感じるようになった方など、リフォームのきっかけやニーズはさまざまです。

これまで多くのお客様のリフォームを手がけるなかで、近年、特に1980年代に建てられたマンションのリフォームニーズが高まっていることに気がつきました。この頃に建てられたマンションは築後30~40年が経過し、設備や内装の経年劣化が目立ってくるなど、生活に支障やストレスが生じる場面が増えます。また、その間に住む人のライフスタイルやニーズも大きく変化したことを感じることができます。

そこでこのコラムでは、今後数回にわたり野村不動産パートナーズのリフォーム部門に在籍する野口健が、1980年代に建築されたマンションと現在のマンションを比較することで、今と昔のニーズやライフスタイルの違いを明らかにしていきます。またそれらを踏まえたうえで、いま行うべきリフォームと押さえるべきポイントを紹介・提案します。

1980年代のマンションに注目する理由

1980年代と言えば、日本はバブル景気の真っただ中です。バブル期は不動産需要が非常に高まった時期で、マンション開発も盛んに行われました。当時のデベロッパーは、旺盛な需要に応えるため、できるだけ多くの住戸を短い期間で供給することを第一と考え、効率を重視しました。また、マンションを購入する人の多くがファミリー層で、長く住むことを前提としていました。その結果、1980年代に建てられたマンションの間取りは、似通った間取りが多く見られます。

ところが、現在マンションを購入するのは、ファミリー層に限らず、単身、DINKS、熟年夫婦などさまざまで、目的も居住用に限らず、投資用やセカンドハウスとしての利用など、多様化しています。マンションもそれらのニーズに応えるように、広さや間取り、サービスも多彩になり、今や買主の要望に応じて間取りをカスタマイズできる新築分譲マンションなども登場しています。

また建築方法や構造だけではなく、設備や仕様、素材など、さまざまな技術が年々進歩を遂げてきました。

しかし、建ってから30年40年が経過したマンションでは、目に見える部分はもちろん、目に見えない部分、たとえば配管などにおいても、水漏れなどのトラブルが発生する恐れがあります。

そのようなトラブル避けるためにも、リフォームを検討していただきたい対象として1980年代のマンションを取り上げ、現在のマンションと比較することとしました。

今 vs. 昔のマンションの特徴

それでは早速、1980年代のマンションと今のマンションを比較していきましょう。

●背景・住まいの考え方
新耐震基準が導入されたのが1981年6月で、これ以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準を満たしたマンションということになります。建築確認から完成まで1~2年かかるため、実際には1983年以降に建てられたマンションのほとんどが、新耐震基準を満たしていると言っていいでしょう。この当時は、住まいは長く住むもの、住宅購入は「一生に一度の大きな買い物」と考えられていました。

一方、現在のマンションの特徴の一つとして、建築技術の進歩により、都心での高層化が顕著になったことが挙げられます。また、ユーザーニーズが多様化したことや、最初に購入したマンションにずっと住み続けるという意識がそれほど高くないのも最近の傾向と言えそうです。単身者やDINKSの方は、家族構成の変化とともに、より自分たちの暮らしに相応しい住戸へと買いかえる傾向にあります。

●間取りの特徴
1981年に新耐震基準になって以降、バブル景気の影響もあってマンション開発が進み、間取りは効率を重視したいわゆる「田の字プラン」が主流となりました。平面図で見た場合に漢字の「田」の字に見えることから「田の字プラン」と呼ばれています。

「田の字プラン」の間取りは、玄関から奥のリビングに向かって縦長の長方形になることが多く、開発・販売する側にとっては、限られた敷地により多くの住戸を収められるというメリットがありました。

図1:「田の字」プランの間取り例

一方、現在、間取りは多様化しており、同じマンション内に単身者向け、DINKS向け、ファミリー向けの間取りが一通り揃っているところもあります。一つの物件内に、50m2~200m2まで、多彩な間取りがあり、同一マンション内で買いかえるというケースも見られます。

●設備機器の特徴
建物の内部にも目を向けてみましょう。1980年代のマンションでは、配管類の素材として鉄管や銅管が多く使われていました。鉄管は丈夫で耐震性にも優れるため、地震の多い日本では重宝されました。

また、銅管は熱に強く、腐食しにくい性質、抗菌効果もあることから、給湯管に多く用いられてきました。しかし、鉄管や銅管には経年劣化してしまうという弱点があり、そのまま使用していると、新築から数十年後には漏水の危険性があります。

画像2:排水管の経年劣化による水漏れの例

また間取り同様、建築の効率の面から、同一マンション内のキッチンや水回り設備の仕様はすべて同一の仕様になっていることが多くありました。

現在、建物内部の配管は樹脂管が一般的となり、老朽化による漏水の心配が少ないのが特徴です。また、キッチン一つを取っても独立型・オープン型・セミオープン型、アイランドキッチンやカウンターキッチンなど、ライフスタイルに応じてさまざまなタイプがあります。水回り設備も国内・海外のブランド・メーカーがそれぞれに多くの商品を揃えています。

●構造の特徴
1980年代のマンションの居室は「直床」「直天井」仕上げが一般的であったことも特徴の一つです。

・【直床仕上げ】とは
床のコンクリート板(スラブ)の上にフローリングやカーペットなどを直張りする仕上げのこと
・【直天井仕上げ】とは
上の階の床にあたるコンクリート板(スラブ)の裏側に直接天井材などを張って仕上げたもののこと

直床・直天井仕上げは天井高を確保しつつコストを抑えられる一方で、騒音や振動が伝わりやすい、リフォーム時に制限が多いといったデメリットがあります。

現在のマンションでは、居室の床や天井が二重になっている「二重床」や「二重天井」仕上げの物件も珍しくありません。

二重床・二重天井とも、スラブとは別に下地と仕上材が必要になるため、直床や直天井に比べ、手間や費用がかかる点がデメリットです。一方、配管類が隠れるため、天井の出っ張りや引っ込みがなくなり天井が「すっきり」すること、リフォームを行う際にも配管の移動が容易になるなどのメリットがあります。

図3:直床・直天井と二重床・二重天井の違い

これまで説明した1980年代のマンションと現在のマンションの特徴をまとめると、表3のように整理できます。

表4:1980年代 vs. 現在のマンションの特徴の例

マンションリフォームを検討する際の注意点

このように、以前に建てられたマンションと現在のマンションとでは、見える部分にも見えない部分にも異なる点が多くあります。また、1980年代のマンションでは、構造によってリフォームに制限が生じる場合があることも説明しました。

それでは、実際に築年数の経過したマンションをリフォームするときには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。ここからは、できる限り住む人の希望に沿うリフォームを実現し、工事をスムーズに進めるために押さえておきたいポイントを紹介します。

1)管理規約の内容をチェック
まず始めに、マンションでリフォーム工事を行う場合は、必ずマンション管理組合が定める「管理規約」を確認しましょう。この管理規約にリフォーム工事の際のルールが定めてあることが多く、そのルールに抵触しないよう注意しなければなりません。

たとえば、水回りの位置を変えるリフォームを行う場合、排水管勾配の確保や、換気ダクトの経路確保、躯体への影響や騒音など階下への影響にも配慮が求められる場合があります。

管理規約の厳しさは、物件ごと、管理組合ごとに大きく異なり、ケースバイケースです。釘一本打つのにも許可が必要な厳しい規約がある場合もあります。万が一、知らずに規約を破って工事をしてしまった場合、大きなトラブルになる可能性もあるため、どんな小さなリフォームでも必ず事前に管理規約を確認しておきましょう。

2)マンションの構造をチェック
希望のリフォームが管理規約に抵触しないことが判明したら、次はマンション購入時の資料などから、マンションがどのような構造になっているのかを確認しておきましょう。

例えば、水回りの位置を変更するには、新しい設備を設置する場所まで配管を通さなければなりません。床が直床仕上げの場合など、床下に配管を通すスペースがなければ、二重床にした上で配管し直す必要があり、その分天井高が低くなってしまうなど、別の箇所に影響が出るケースも考えられます。当然、二重床にする工事が増えれば、工事会社の準備の手間や予算が変わってきます。

さらに、水回りのリフォームをする場合には、浴槽やシステムキッチンなどを交換する前に配管を変えた方がいい場合があります。ところが、前述の通り、マンションの構造によっては配管を一切いじることができず水回りが移動できないなど、物理的に希望するリフォームができない場合があります。事前にリフォーム会社に現在の構造をふまえて希望のリフォームができるか、またどんな工事が必要かをよく確認しておく必要があります。

3)管理組合への確認・申請方法をチェック
リフォームの工事内容が決まったら、マンション管理組合への確認と申請が必要になります。多くのマンションでは、リフォーム工事の申請期限が決まっており、実際に工事を行う何日前までに申請しなければいけない、と規定されているケースがほとんどです。近隣住戸の承諾や理事会決議が必要な場合もあります。確認と申請の方法についても管理規約に定めがあるはずなので、しっかり確認しておきましょう。

リフォームをお勧めする部位、リフォームニーズの高い部位

次回からは、各部位ごとに1980年代のマンションと現在のマンションを比較して、より詳しく注意点やリフォームの実例、ポイントなどを紹介する予定ですが、複数の部位をリフォームしたい方や全体的に変更したい方もいるでしょう。住戸の全体を見渡して「どこをリフォームするか」「どこまでリフォームするか」を考えるとき、リフォーム工事には、「必然のもの」とそうでないものがあります。

必然のものは、リフォームをしないと快適な生活が送れないようなものです。配管の劣化による漏水などはその代表ですが、そのほかに給湯器やガスコンロ、換気扇、エアコンなども使いづらくなれば交換する必要があります。

画像5:排水管のリフォーム(交換)の例

必然ではないものの、近年、お客様からのリフォーム希望が多い部位としては、(1)ユニットバス、トイレ、洗面化粧台、キッチンなどの水回り設備の交換、(2)和室から洋室への変更、(3)LD(リビング・ダイニング)を隣の居室と一体化して拡張する間取り変更リフォーム、などがあります。リフォームしなければ困るというよりは「お手入れを簡単に済ませたい」、「家族と会話しながら料理がしたい」、「孫と一緒に遊べるスペースが欲しい」など、リフォームをしてより快適な暮らしを手に入れたいというニーズに基づくものです。

また、必然のものの中でも、メンテナンスやリフォームが必要なタイミングは部位によって異なります。複数の部位を同時にリフォームをしたり、全体的にリフォームを考えるときのために、設備機器ごとでリフォームが必要になる時期の目安をまとめました(表5)。

表6:リフォームの目安時期

例えば、給湯器やガスコンロなどのガス器具回り、またキッチン・バス・化粧台などの水回りなど目安時期が重なる部位は、同じタイミングで交換した方が工事を効率的に行うことができ、費用を抑えられるケースがあります。どこまで手を入れるか、についても信頼できるリフォーム会社に見積もりを取りながら相談するといいでしょう。

協賛:野村不動産パートナーズ
野口健(のぐち・けん)

野口健(のぐち・けん)

野村不動産パートナーズ株式会社
建築・リフォーム業界に携わり約20年、マンションのリフォームを数多く手がけ、リフォーム現場の最前線で豊富な経験と広い知見をもとにリーダーとして活躍中。
一級建築施工管理技士、一級管工事施工管理技士の資格を保有。

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