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2013年ヘルシー食卓宣言 美味しいごはんを食べよう!

  • 「美味しいごはん」とは? コラム・「美味しさの基準」・ごはんの栄養
  • 料理別お米の選び方 コラム・もっと美味しく「炊く」「保存」
  • 雑穀米とは 一般社団法人 日本雑穀協会理事・事務局長 中西学さん
  • INTERVIEW 人気のゆめぴりか JAとまこまい広域 コメ生産振興会 会長 安田憲司さん
取材協力

お正月と言えばおせちやお雑煮、また、鍋料理の締めでうどんや雑炊などを楽しむ機会も多くなります。思えば、ひさびさに食べる白いごはん・・・。そんな時、これは旨い!と言えるほかほかの美味しいごはんだったら、なおいいですね。
最近は、人気米の定番『こしひかり』や『あきたこまち』とは違う新しい銘柄も登場、ごはんの楽しみ方も広がっています。とはいえ「美味しいごはんを食べるためには、ちょっとした知識が必要です」と今回の取材先のお一人である西島さん。
それはどんな知識なのか、人気急上昇中の北海道米とともに取材しました。

「美味しいごはん」とは?

  • ゆめぴりかを炊いてつくったごはんです
  • スズノブの種類の多さは圧巻です

「ごはんってこんなに美味しいものなんだと思ったことがある人はとてもラッキーな人です」。とは美味しいごはんの食べ方の普及に日夜奮闘されている米穀店「スズノブ」の2代目・西島豊造さん。
西島さんは米穀店に生まれたせいもあって「お米が大好きです。ごはんくらい美味しいものはないと思っています」と公言するほどのお米好き。お米ソムリエの資格も取得されています。
そんな西島さんに美味しいごはんのポイントを教えていただきました。

「ポイントは3つです。(1)よいお米であること (2)よい精米をしてあること (3)炊き方がよいこと。
(1)は品種、生産者の技術、流通過程での適切な管理に左右されます。(2)はお米の性質に一番合った、お米の持つ特徴を最大限に引き出す精米をしてあるかどうか。(3)は適切な炊き方(後述)だけでなく、いろいろ試していけばちょうどよい自分好みの方法が身につきます」。

米穀店「スズノブ」の店頭には60種以上の銘柄が並んでいます。「自分が美味しいと思うお米をみなさんに食べていただきたいと思って並べていたら、数が増えていきました」。

お客様からの一番多い質問は?「高いお米を買っているのに、あまりごはんが美味しくないのはなぜですか?ということです」。
「美味しいごはんというのは人によって違い、高いからいいというものではありません。

理由としては、
(1)お米の持ち味が、その人の味覚に合っていない、
(2)お米の持ち味が、その人の食生活(おかず、調理法)に合っていない、
(3)水加減や炊き方が、そのお米に合っていない、
(4)お米が粗悪品

の4つが考えられます」。

また、「産地・品種・産年(収穫された年)が明記された単品種100%のお米を、好きな銘柄が見つかるまで、いろいろ試してみることです」とも。そのためには「少量を買って、食事のたびに違うお米を食べてみることもいいですね。炊き方も水加減だけでなく、冷めたときの食感、温め直したときの食感、またチャーハンや丼ものなど、自分がよく作る料理で試してみてください」。

さらに、これから5年の間に68銘柄のお米が市場に登場するとも。「私はお米戦国時代と呼んでいます。銘柄がたくさんでさらに迷いそうですが、究極『自分はどういうお米を美味しいと感じるか』に気づくことが美味しいごはんと出会う一番の『近道』です」。
奥深い、美味しいごはんへの道のりを熱く語ってくださいました。

ごはんの「美味しさ」の基準

判断基準

「美味しい」という感覚は、個人の好みによるということですが、客観的な基準はあるのでしょうか?
世界中の生産者が参加する「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」を主催する「米・食味鑑定士協会」の鈴木さんに、美味しいごはんの具体的な判断基準と審査内容をお聞きしました。

[審査内容]
機械の計測による審査を行い、ある程度の銘柄数に絞ります。
最終審査は、実際に食べてみて行います。精米されたお米を同じ条件(洗米回数・浸水時間・水・炊飯器・むらし)で炊飯し、30人の審査員(米・食味鑑定士、料理研究家、開催地の料亭の料理人)が香り・粘り・つや・食感・甘みなどを審査します。

ごはんの栄養

ごはん(精白米)1杯分(150g)252kcal

ごはんは、体を元気にするのに欠かせない食品です。エネルギー源である炭水化物をはじめ、体の基礎をつくるたんぱく質やカルシウム、鉄分、からだの働きを保つ食物繊維、ビタミンなど、いろいろな栄養素が含まれています。
お茶碗一杯分(150g)のエネルギーはおよそ252kcalです。(左図参照)

また粒食のごはんはパンに比べて、かむ回数が多い食べ物です。昔から「よく噛(か)みなさい」と親から言われたことのある人も多いと思います。
咀嚼することで脳の中に満腹感が生まれ、食べすぎを抑制。結果、ダイエットにもつながり、最近ではダイエット食としても人気が出ています。

料理別お米の選び方

お米の種類は230種以上あるといわれています。自分の「好み」といっても硬いごはんが好きか、やわらかめが好きぐらいまでで、どれを選んだらいいのか迷ってしまいますね。
そんな時、メニューとごはんの「相性」から、選んでみるのはいかがでしょうか?

「炊く」コツをつかんで、もっと美味しく!

(1)正確に量る
炊飯器に付属している計量カップにお米を山盛り入れてカップを左右に軽く振り、米粒がカップの中に詰まってから、箸などをカップの口に沿ってすべらせて、あふれたお米を取り除く。これで正確に1カップ(1合)となる。
(2)お米の汚れを洗い流す
ボウルにお米を入れて水を注ぎ込み、すべてのお米が水に浸かるように軽く1~2回かき混ぜ、すぐ水を捨てる。この間は10秒程度、2回繰り返す。
精米してから1ヵ月以上たったお米やあまりにも濃い汚れた水が出るときは、もう一度だけ繰り返す。
★3回洗う場合も1分以内に終えること。
(3)リズミカルに研ぐ
ボウルの中のお米に、ソフトボールを握ったような形に指を広げて差し込み、そのままの手の形を保ちながら、一定のリズムとスピードでシャカシャカと音をたてながら20回ほどかきまわすようにして研ぐ。
(4)手早くすすぐ
研いでいると乳白色の研ぎ汁がボウルの下に溜まってくるので、す早く新しい水を注ぎ込んで2~3回かき混ぜ、研ぎ汁を薄めて流す。これを2回行う。
(5)もう一度、研いですすぐ(研ぎ汁の色が白すぎると感じる場合のみ)
研ぎ汁の色が白すぎると感じるような場合は(全体的に米粒が見える場合は(6)の浸水へ)、再度(3)と(4)を繰り返す。この時の研ぐ回数は、1回目の半分程度に。すすぎは2回行う。
(6)浸水させる
お米は水に浸けることでデンプンが分解されて糖が出て、粘りがあるふっくらとしたごはんに炊き上がる。お米を炊飯器の釜に移して分量の水を入れ、夏場で20分、春や秋は45分、冬場は1時間くらいを目安に浸水させてから炊飯器のスイッチを押す。
(7)好みに合わせて炊く
炊き方は基本的には炊飯器にまかせてOK。取扱説明書に従って、「かため」や「やわらかめ」などの好みの設定に。
(8)あわてずじっくり蒸らす(炊飯器が自動的に蒸らしまで行う機種の場合は不要)
蒸らし機能が無い場合は10~15分程度、ふたを開けずに蒸らす。
(9)しゃもじでほぐして最後の仕上げ
蒸らし終ったらすぐに炊飯器のふたを開け、中の余計な水分をとばす。しゃもじを釜の内側に沿うように差し込んでごはんと釜を離し、その後、しゃもじでごはんを十字に切り、中のごはんを4等分にして、4分の1ずつ、底のごはんが上へくるように、しゃもじを返す。米粒の間に空気を入れるような感じで、やさしくほぐす。

お米の鮮度を保つには?

●常温保存なら10日程度

お米は常備食・保存食というイメージをもっているかもしれませんが、現在の高気密・高断熱の住宅の中は暑すぎて、保存に向きません。
精米したての鮮度のよさを保てるのは、常温保存で10日程度、冷蔵庫で保管する場合でも、1ヵ月半程度です。

●冷蔵庫保存がベスト

じつは、お米を買ったときの米袋には小さい空気穴があいていて密封状態にはなっていません。これを密封できる保存容器に入れ替えることで劣化を防ぎます。
保存場所は、低温で温度が一定している冷蔵庫がベストです。冷蔵室は極端に冷えすぎてしまうこともあるので、野菜室での保存をオススメします。
さらに、冷えることで旨みがぎゅっとしまってくるとともに、お米に付いている「ぬか」や「ほこり」が浮いてきて汚れが落ちやすくなります。結果、ごはんの旨みも増すという利点もあります。

●炊いた後の保存

炊いたごはんの場合、数時間後~翌日の間に食べきるなら炊飯器保温か冷蔵、長期保存したいなら冷凍、というように、いつ食べるかによって保存法を決めるといいでしょう。時間がたってからも炊きたてのような美味しいごはんを食べたい時は、ごはんが熱いうちに急速冷凍するのも手です。
ほぐし終わったばかりのごはんを、まだ粗熱があるうちに、冷凍庫保存容器に入れるか、1食分ずつラップで包んで冷凍します。ラップで包む時は、ラップの上に板状にごはんを均等に薄く広げて包みます。こうすることで早く冷凍でき、解凍もしやすくなります。

白米よりも歴史は古い?「雑穀入りごはん」

雑穀の種類

雑穀には、現代の食生活に不足しがちなビタミンミネラル食物繊維が多く含まれていて、最近は手軽にとれる健康食品として家庭で楽しむ方も増えてきています。そんな注目の雑穀とは一体どういうものなのでしょうか。
日本雑穀協会の理事・事務局長の中西さんに教えていただきました。

「日本雑穀協会では、日本人が主食としている白米や精白された小麦以外の穀物の総称を『雑穀』と定義しています。現在代表的なものだけで数十種類が流通しています
日本人が雑穀を食べるようになったのは古いですよ。日本最古の書物『古事記』にも重要な5つの穀物として『五穀(稲・麦・粟・大豆・小豆)』が登場していて、白米が主食になる江戸時代中期まで、ずっと庶民の主食でした」。

干ばつや乾燥に強く、長期保存ができる雑穀は、その高い栄養価や機能性を生かして、日本人の健康を長い間支えてきたんですね。
「最近では、お米に混ぜて炊くだけで簡単に雑穀ごはんを食べることができるブレンド雑穀が普及し、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な健康食品として女性を中心に人気を集めています。また、レストランのメニューとして見かける機会も増え、お弁当やおにぎり、麺類、スイーツなど、様々な加工食品として使われることがごく一般的なことになりました」と中西さん。
食や健康意識の高まりと共に、雑穀の可能性があらためて注目されています。

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