ブリキはレトロな雑貨のイメージが強く 暮らしの中に、あえて取り入れようと思う人は少ないかもしれません。
そういえば庭の片隅に錆びついたブリキのじょうろがあったような気がするけど
それ以外にブリキって何かあったかなあ…
一方で、年代やブランドに関係なく、時を経てきた道具たちを”ジャンク“と呼び、 自分流のライフスタイルを作り出し、楽しんでいる人たちもたくさんいます。
今回、取材・撮影に協力をいただいた吉原理映さんもその一人。
時間の経過とともに変化するブリキの質感が大好きな吉原さん。
「錆びひとつをとっても、それは時間が作ってくれるもので、 ゆっくりと付き合わないとできない風合いです。
そういうゆとりを教えてくれるところも好きです」
毎日の生活時間をていねいに過ごす吉原さんにとって ブリキは空間演出になくてはならないもの。
「ブリキって私にとっては男っぽいイメージです。
レースや花やクッキーのようにやわらかいものを演出する時にキリッと引き締めてくれる存在です」
さりげない中に、力強い存在感を秘めたブリキの魅力を自分流に取り入れて、楽しんでみませんか。
いつもの生活空間が今までにない味わいになるかもしれません。
- 左:キッチンには新しいブリキの缶を使ってスプーンやフォークを分類整理。錆びやすいので小まめに水分はふき取って。
- 右:ふた付きのブリキ缶なら湿気を避けられ、食べる分だけ小分けにできるのでおやつ入れにピッタリ。
- アンティークなブリキの箱に、華奢なレースやソーイング小物を入れて。
- リネンやレースの布は、畳んでブリキのストレージボックスに収納。
- 古いお菓子のブリキの缶に針山や糸を入れてソーイングボックスとして。
- 雑然となりがちなスリッパはバケツにまとめてさりげなく玄関に。
ブリキは「見せる収納」に活用してほしい
道具のひとつです。
もともと軽くて丈夫なブリキは、
形状も「丸」か「四角」が多いためしまいやすく、
見た目にもすっきりとした印象で
実用性に優れている雑貨です。
ただ、水や液体に弱く、錆びたり、
質感が変化するものとして
敬遠されるようになったのも事実です。
でもなぜかブリキは人々の暮らしのすぐそばで
いつまでも残っていて、今やジャンクスタイルの
生活道具の花形として君臨しています。
時間の推移がもたらす、深い味わいは
ブリキに宿る生命力そのものかもしれません。
そんなブリキを一度活用して、
普段使っている小道具とうまく調和させ
新しい収納術を取り入れてみてはいかがですか。
粉ふるい、パン、マドレーヌ、カップケーキの型など、ブリキのキッチン道具を棚に集めてみたら、こんなにたくさんありました。そんなブリキをインテリアのコーナーに飾れば、お菓子の型はキャンドル立てとして、錆びて古くなったブリキの質感がさりげなくインテリアに溶け込み、ナチュラルな空間を演出してくれます。さらに、テーブル上にも、ブリキのアンティークな水切りを活用して多肉植物を生けて飾ってみましょう。
ブリキは道具としてだけでなく
インテリアの演出用としても活用できます。
「見せる収納」と同じ発想ですが
あえて飾ることにこだわるのもおもしろいです。
大きなブリキのパイ皿は、
そのままおいても壁に立て掛けても素敵です。
小さなお菓子の型なら棚の上に無造作に並べれば
それだけで存在感は十分です。
男らしい渋さの加わったブリキには リネンやレース、
繊細な女の子らしい天然素材を 組み合わせてみてください。
それも、あまり形を整えようとせずにさりげなく。
素朴な雰囲気をかもし出してくれます。
あれこれ、使い方を工夫する時間が生まれるのも
ブリキだからこそかもしれませんね。
グリーンの演出に、古びたブリキのバケツが落ち着いた雰囲気を放ちます。
- 取材撮影協力 吉原理映さん
- フレンチナチュラルな雑貨を扱うインターネットショップ「powder」のオーナー。吉原さん自身で数年の歳月をかけて作りあげた自宅のリフォームは圧巻。タイル1枚から吉原さんが施工したものや、簡単にできる手作りインテリアの提案にも関心が寄せられている。現在、インテリア本「吉原理映さんの手作りで楽しむナチュラルインテリア」(主婦の友社)、「吉原理映さんの小さな手作りとナチュラルインテリア」(主婦の友社)が好評発売中。