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プロに聞く!不動産投資コラム 大家さん税理士が指南! 渡邊 浩滋氏(わたなべ こうじ)

第3回 平成28年度の税制改正。不動産投資におよぼす影響は?

2016年04月11日

先日、平成28年度の税制改正が国会で承認、決定されました。
さて、この税制改正によって不動産投資にどのように影響があるのでしょうか。
改正内容をピックアップしてくわしく解説していきます。

減価償却費制度の見直し

今回の税制改正で所得税、法人税の減価償却方法が大きく変わります。

(1)改正内容
平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備および構築物の減価償却方法については、定率法を廃止し、定額法のみになります。
個人も法人も同様の改正になります。

(2)改正の影響と対応策
建物については、平成10年4月以降に取得されるものは、すべて定額法になっていましたが、附属設備や構築物も定額法に統一されるということになります。

定額法がよいのか、定率法がよいのかという議論がありますが、長期的には定額法の方がトータルの税金が抑えられます。
定率法は、当初の税金が大きく抑えられるため、短期的な資金繰りを考えた場合にメリットがあります。

いずれにしても、どちらかが不利ということは一概に言えません。
出口戦略を含めた事業計画を元に定額法にすべきか、定率法にすべきか判断した方がよいでしょう。

法人実効税率の引き下げ

法人税の税率が下がります。

(1)改正内容
平成 28年4月1日以後の中小法人を除く普通法人(外形標準課税法人)の法人実効税率が20%台に引き下げになります。(平成28年度29.97%、現行32.11%)

(2)改正の影響と対応策
上記の改正は、大法人が対象です。
不動産投資家さんがつくる会社(いわゆる中小法人)には当てはまりません。

中小法人については、下記の実効税率(平成28年度)になります。

所得400万円以下      ・・・21.42%
所得400万円超800万円以下 ・・・23.20%
所得800万円超       ・・・33.80%

※中小法人の年間所得800万円以下に対する軽減税率を19%から15%にする措置は、平成29年3月31日まで適用されます。

法人税の実効税率が下がったことにより、法人化のニーズがさらに高まると思います。

個人の所得税・住民税は、課税所得が330万円を超えると30%の税率(所得税20%、住民税10%)になります。
中小法人であれば、所得を800万円以下に抑えれば、個人の税率よりも低くなる可能性があるので、今後は法人税を払って、法人に資金をプールしておくことがよいのではないかと考えます。

給与ベースが高いサラリーマン大家さんは、法人化して物件を購入していく方がよいでしょう。

消費税の還付の規制強化

(高額資産を取得した場合における消費税の中小事業者に対する特例措置適用関係の見直し)

賃貸経営にとって注意しなければならないのが、建築費や購入にかかる消費税の還付に規制がかけられました。

(1)改正内容
消費税の課税事業者である期間中に、1,000万円(税抜)以上の固定資産を購入した場合には、購入した年を含む3年間は、消費税の免税事業者および簡易課税制度を適用することができなくなります。

つまり、1,000万円以上の固定資産を購入して消費税の還付を受けた場合には、3年間は消費税の免税事業者になれず、原則課税が義務付けられ、3年目の消費税の取り戻し計算の対象になり、還付を受けた消費税を戻さなければいけない可能性があるということです。

なお、上記の改正は、平成28年4月1日以後に引き渡しを受ける物件について適用されます。
ただし、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき、平成28年4月1日以後に引き渡しを受ける場合には適用されません。

(2)改正の影響と対応策
そもそも、住宅用のアパート等は、そのままでは消費税の還付はできません。
住宅の家賃は非課税売上です。
非課税売上に対応する課税仕入(建物等購入)分の消費税が控除できないことになっているためです。

そこで、アパート等の建築する際に自動販売機を設置するなどして、課税売上である販売手数料収入等を発生させることにより課税売上割合(課税売上/課税売上および非課税売上の合計)を調整して消費税の還付を受けるケースがありました。

しかし、平成22年度税制改正により、平成22年4月1日以後に課税事業者の選択の届出を行って課税事業者となる期間に100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を購入した場合には、購入した課税期間を含む3年間は、課税事業者の選択の取りやめや簡易課税の選択ができなくなりました。

その結果、取得から3年目の課税期間において、課税売上割合が著しく変動している場合に該当し、還付された消費税が取り戻されることになります。
つまり、消費税還付はできるけれども、3年後に取り戻されることになることになります。

非課税売上がほとんどの賃貸住宅における消費税還付スキームは、いかに3年目の消費税の取り戻し計算の対象から外れるかがカギとなり、そのための事前準備をするのが一般的でした。

例えば、下記のような場合には、3年後の取り戻しされることを回避できたのです。

1.取得する前々年の年末までに課税事業者選択届を提出している場合
2.前々年の課税売上高が1,000万円を超えるなどで、届出を提出せずに、取得する年に課税事業者になる場合
3.他に課税売上がある場合(課税売上割合分が還付の対象になります)

今回の改正では、平成22年の改正よりも厳しくなる改正になっており、上記1および2の方法でも、3年目の消費税の取り戻しの対象になってしまいます。

なお、上記の3や、課税売上高に変動がない店舗・事務所物件や太陽光発電設備の購入の場合には、今までどおり消費税還付しても 3年目の消費税の取り戻しはありません。

また、課税売上割合が著しく変動しないように、課税売上を調整できれば、3年目の消費税の取り戻しを免れる可能性があります。

ただし、消費税還付ばかりに目がいって、その後のコストやリスクを度外視するのは本末転倒になりますので注意が必要です。

消費税増税の影響について

平成28年の税制改正ではありませんが、平成29年4月1日から消費税が10%に増税される予定です。(平成28年3月末日時点では、一部報道機関で増税延期の報道がされています)
住宅用の家賃は非課税なので、賃貸経営には影響がないと思っていませんか?

受け取る家賃は非課税でも、リフォーム代や管理料などの支払う費用は消費税がかかってきます。
コンビニ経営などの一般の事業であれば、支払う費用の消費税が上がっても販売する商品の消費税も上がるので、消費税の増税分を消費者に転嫁することができます。

しかし、賃貸経営は、支払う費用の消費税が上がっても、受け取る家賃の消費税に転嫁できないため、単純なコストアップになります。
つまり、家賃収入に変動がなければ、支出にかかる消費税が上がる分、収益が下がることになります。
ですから、今後、消費税の増税がされた際にはさらに賃貸経営の収益改善が求められていくことになるでしょう。

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