不動産投資、どんな物件がどんな人に向いている?
初めて不動産投資をしようと考えても、どこからアプローチすればいいかわからない人もいるかもしれません。そこで、まずは投資先として、どんな物件があるか、どのような特徴があるかを知ることから始めましょう。
木造アパートよりRC(鉄筋コンクリート)造マンションのほうが融資は受けやすい
一棟物件には、居住用とオフィスや店舗などの事業用があります。居住用は、木造アパートとRC造マンションが代表的です。費用面では木造アパートのほうが安くて購入しやすいように見えますが、必ずしもそうとはいえません。というのも、RC造マンションに比べて中古の木造アパートは比較的融資がつきにくい傾向にあるからです。つまり自己資金(頭金)が多めに必要になる可能性が高くなります。
融資の受けさやすさは、物件の担保力と築年数が関係します。借入可能額は担保評価額に比例し、返済期間は耐用年数から築年数を引いた年数が目安です。中古の木造アパートは、RC造に比べると建築コストが低く、建物の評価額が低めになる上に、耐用年数も短くなっています。そのため、借り入れ可能額が小さくなり、かつ返済期間も短くなってしまうのです。
RC造マンションのほうは、木造アパートに比べると建築コストが高いため、建物の担保評価額が高くなることに加えて耐用年数が長いので、借り入れ可能額が大きくなります。返済期間も長めにとれるため、月々の返済負担も軽減できるわけです。そのため、価格が高くなっても一棟物件はRC造マンションのほうが購入しやすいというケースもあります。

中古木造アパートはキャッシュの多い年配の人向き
RC造マンションは30~40代の若い人向き
木造アパートの耐用年数が短いことは、逆にメリットとなることもあります。減価償却を早くできることです。短期間に多めに減価償却費を計上できれば、その分だけ不動産所得を圧縮できますから、所得税・住民税の節税になります。減価償却費は経理上の計算で実際には支出しません(※)。しかも、木造アパートは共用設備がほとんどないため、メンテナンス費用も少なくてすみます。その結果、手取り収入を多めに確保できるケースが多くなるでしょう。
(※)木造物件は、RC造に比べて建築費が安いため、償却できる金額自体はRC造に比べて少ない点に注意が必要です。
もちろん、物件規模や価格総額に占める建物割合など、個別物件によって異なります。その点を前提に、一つの考え方として、年代に応じた対象物件の向き不向きがあることを紹介しておきましょう。
中古の木造アパートは、リタイア間近の会社員やキャッシュの多い富裕層に向いています。たとえば55歳で定年間近の方の場合、耐用年数47年のマンションを買って、のんびり減価償却するより、早めに償却メリットが出たほうが良いからです。また融資が受けにくいため、キャッシュを多くもっているほうが購入しやすくなります。
これに対して、RC造マンションは、キャッシュの少ない30~40代の会社員に向いています。安定した収入のある会社員で、購入対象がRC造マンションなら、比較的長期の融資を受けやすいからです。早い時期に長期のローンを組み、安定した賃貸収入をベースに返済実績を作れば、さらに借り入れを起こして投資物件を増やしていくことも可能になるでしょう。
※なお、本文は一例であり、必ず木造が富裕層、RC造が30代会社員に向いていると断言しているものではありません。ご購入する方の個別属性及び物件特性により変わります。
オフィス・店舗の一棟ビルは初心者には不向き
一棟物件には、他にオフィスビルや店舗もあります。ただ、一棟全部がオフィスや店舗のテナントになっているビルは、利回りが高い物件も多いですが、不動産投資の初心者の方にはあまりお勧めできません。景気動向に大きく左右されるリスクがあり、足下では不景気で空室率が高まっているからです。特に、2階以上のフロアが空いているビルが増えています。1階が店舗で、2階以上が賃貸住宅という複合ビルなら、リスクは少なくなります。
この他、外国人留学生向けのゲストハウス、水回りや共用スペースを共同利用するシェアハウス、サービス付き高齢者向け賃貸住宅なども、投資物件として注目を集めています。いずれも通常の賃貸住宅よりも、高めの賃料を設定できるからです。
ただ、ゲストハウスは外国時留学生の動向次第で空室が高まるおそれがあり、シェアハウスは一時の流行の可能性があり、競合が増えると旨みがなくなるかもしれません。サービス付き高齢者向け賃貸住宅は、今後の高齢化社会の加速につれてニーズは高まりますが、介護サービスのオペレーションをどうするか、ソフトサービスの面で難しい点は残ります。これらの特徴のある物件も、やはり初心者よりプロ向きといえるでしょう。
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1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。