写真集「ダカフェ日記」の著者、森 友治さんご一家
(左から)父親の友治さん、息子の空くん、娘の海ちゃん、愛犬のワクチン、母親のだぁちゃん(愛称)
デジタルカメラが登場して、
写真の楽しみ方の幅が広がってきました。
いつでも気軽に楽しめることから、
生活道具のひとつになりつつあるような気もします。
イベントの記念撮影だけでなく、
ちょっとした散歩の途中で、
家族との団欒の時間で、
カメラと一緒に過ごしている方も多いのではないでしょうか。
もっと感覚的なことを求めたいと思ったら、
空が青くてきれいだった日、
庭の花がはじめて咲いた日、
そんな何気なく過ごした1日の中で出会う、
感動の瞬間にシャッターを切ってみてください。
ステキな自分らしい世界が撮れるかもしれません。
インスタントカメラ、
一眼レフだけでなく、
まだまだ根強いブームが続くトイカメラなど、
どんなカメラでもいいのです。
あなたの感じた、
喜びや楽しさ、
「いいな」と思った気持ちを、
写真に撮っていきませんか。
家の中でもカメラを持ち歩いて楽しんでいる、「ダカフェ日記」の著者、森友治さん。例えば、家族との何気ない団欒の時間などに、カメラを持ち出してみてはいかがでしょうか。カメラ越しに、自然と親子の会話も弾みます。
暮らしの中にはシャッターチャンスがいっぱいです。気構えず、自然にまかせてシャッターを押すのが、森さん流。決定的瞬間が訪れるのをカメラと一緒にじっくりと待つのも写真の楽しみの一つかもしれません。
父、母、娘、息子と犬一匹。
どこにでもありそうなふつうの家族が過ごす
日常の一コマを切り取った写真を載せたブログが反響を呼び、完成した写真集「ダカフェ日記」。
それを撮影するお父さん、森友治さんに、
家族を撮り続ける理由についてお伺いしました。
――家族を撮り始めたきっかけは何だったのですか。
「夫婦揃って出不精だということもあって、家の中や家の周辺で過ごすことが多いんです。休みの日は早めにお風呂に入って、その後は家族と一緒にベランダでのんびり夕焼けをみたりとか。散歩に出ても、そのまま近くの公園で遊ぶとか。喜びを分散するというか、一年に一回のデカイ喜びよりも、毎日ちょっとずつ小さな幸せを楽しみたいな、というのが森家の日常なんです。そんな暮らしの中でもともと写真が好きだったということもあって家族といる時間を楽しむ方法の一つとして家族の写真を撮りはじめました」
――なぜブログで家族の写真を一般公開しようと思ったのですか。
「僕の場合は性格もあって、家でのんびりするのが好きだからいいんですけど、ふつうの人は休みの日にゴロゴロするのって不安ですよね。ほんとは、旅行にも行きたいし、おいしいものも食べに出かけたいんだけど・・・と思ってる方たちが、ダカフェ日記を見て、家って意外とおもしろいんだなって、ホッとひと息ついてもらえたらいいかなと思ったのが公開しようと思ったきっかけです」
――一般に公開して、得たこととは。
「一番驚いたのは、ホームページを見てくださった方たちから、『感動しました』とか、『家族のこんなことで悩んでいるんですが』みたいなメールが毎日10通位届くんです。最初は人のために撮り始めたわけでは無かったけれど、今は誰かの役に立ってるということが素直に嬉しいです」
――娘の海ちゃんが2歳のときに、体調をくずされたそうですが。
「過労による心筋梗塞になったんです。でもね、不思議にその時『死にたくない』とは思わなかった。逆に『今死んでも後悔することは無いな、いい人生だったな』って思ったんです。不思議な体験でした」
――元気になってから変化したことは何かありますか。
「あくせくする自分を反省して、もっとゆっくり生きていこうと心にゆとりができました。病気は、何でもない毎日をふつうに暮らすことの幸せにも気づかせてくれました」
――森さんにとってダカフェ日記とはどういうものですか。
「ひと言で表すとライフワークです。ダカフェ日記は生きて呼吸している感覚と同じで、生きてる証みたいなものですね。」
――今後もずっとダカフェ日記は続けていかれるんですか。
「最近は、海(娘)も大きくなって、おちゃめっぽくしてもワザとらしさが出てくる年頃になってきました。ダカフェ日記はもともと長いスパンで考えて始めたもので、無理して子供にこだわらず、ふつうの家族の日常の一コマが撮れたらいいなと思っています。例えば、僕が一人寂しく買ってきた花の写真を載せても、それは僕の日常なわけですからそれでいいんです。そんな感じで、細々とでもいいから続けていって、海や空が大人になったときにも『孫が生まれました』みたいな感じで、ずっと家族の写真を撮り続けていきたいと思っています」
『ダカフェ日記』森友治著/集英社2,310円(税込)