前ページのような土地価格の動向を受け、中古マンションの市場はどうなっているのでしょうか。端的にいうと、中古マンションの価格も、昨年後半から横ばい地点が増え、現在も同じ傾向が続いています。
図4は、市場調査会社の東京カンテイが1都3県の中心都市の中古マンション価格の推移を調べたものです。東京23区と千葉市はほとんど横ばい、横浜市とさいたま市はごく緩やかに上昇していることがわかります。
図4.東京カンテイ「中古マンション70m2価格月別推移」のデータより作成
営業現場の感覚としては、春の住みかえシーズンである1~3月は非常に取引が活発で、成約件数も昨年より増えました。購入希望者のニーズに合った条件の良い物件が、スムーズに取引される例が多かったからです。
売り主の中には、そろそろ価格相場がピークに来ていると見て「今のうちに高く売れるなら売っておこう」という人も増え、中古マンションの売り出し物件数も増加しています。ただ、購入者の選別は厳しく、割高な物件は売れていません。
新築マンション価格も、ここ数年の値上がりで高値に張り付いているため、以前に比べれば売れるスピードは落ちています。かといって、在庫が増えて値下げする例が増えているほどでもありません。
このように新築、中古ともに、今のところマンション価格に大きな変動は起きていないといえるでしょう。
新聞や雑誌では「不動産バブル」といった表現も見られ、「現在が価格のピーク、少し待てば価格は下がる」という意見も出ています。その半面、売却を検討している人の中では、「今後、不動産価格が下がると思う」という人の割合が減っているという調査もあります(図5参照)。
不動産価格の相場は数年単位で大きな波を繰り返していますが、それが正確に何年なのか予測はできません。相場のピークがいつだったかは、あとからデータを振り返ってわかることです。相場観を持つことは大切ですが、振り回されるのは賢明ではありません。
エリアの平均価格が横ばいだとしても、特定のプレミアムマンションは値上がりし、その隣の築年の古いマンションは値下がりするという例も少なくありません。数年前に「もうこの価格がピーク」と言われ、坪1,000万円で分譲されたマンションが2年後に坪1,250万円で売れた例もあります。
売り手としては、少しでも高いときにというのが自然な心理ですが、買い手としては「この先の不動産価格がどうなるか」より、「自分の欲しい物件が売りに出るかどうか」を重視する傾向が強くなります。人気の高いマンションは、購入希望者が集まりやすいため、売りに出たタイミングを逃さないことがポイントになるからです。
都心のお客様は、「この金額なら買ってもいい」というラインがはっきりしていて、価格が予算より高いと思えば値下げ交渉をし、合意できなければ無理して購入することもしません。
そういう意味では、今後は物件ごとの価格動向をウォッチしていくことが重要になってきます。下図のような、不動産テックを駆使した物件検索サイトでは、希望エリア内のマンション毎の参考相場価格情報が確認できることとあわせ、希望物件の売り出し情報のお知らせ機能もあります。情報を集めるためにこのようなサイトを活用するのもおすすめです。
人気マンションの売り出し価格、参考相場価格などがわかる「マンションデータPlus」