物件選びのポイントについては、この1~2年で大きな変化が起きています。大手の不動産会社を中心に、中古住宅の売主に対して「検査保証サービス」を始めたことです。中古マンションの場合は、室内の設備機器の故障の有無を点検し、引渡し後1年間のアフター保証を付けるもの。故障があった場合、売主負担で補修する場合と、不動産会社のサービスで補修する場合があります。
いずれにしても、このサービスを受けた物件なら「設備のチェック済み・アフター保証付き物件」ということになります。購入検討者から見れば、保証付きかどうかが物件の良し悪しを見極める一つのポイントになるでしょう。
従来は、現地見学の際に購入者自身でチェックして、買うかどうかを判断するのが一般的でした。購入申し込みをした後、価格や引き渡し条件の交渉が終わってから、不動産会社の担当者が故障の有無をチェックして、契約書に添付する「付帯設備表」を作成するという流れです。設備の故障があるかどうか曖昧な段階で、購入の決断をしなければならなかったわけです。
現地見学の時点で、室内設備のチェックが済んでいる「チェック済み・保証付き」物件であれば、引渡し後の瑕疵(隠れた不具合)をめぐるトラブルを回避できます。現地見学の際に自分で細かくチェックする必要もありません。つまり、スムーズな購入には、保証付き物件を選ぶことが近道になるのです。
もちろん、全ての物件が保証付きではありません。希望条件に合う物件が保証対象でない場合は、従来通りの手続きを踏むか、有料でインスペクション(住宅検査)を依頼することになります。
リフォームの有無を現場で判断
中古マンションを購入してリフォームをするケースも増えています。現地見学の際には、内装設備の現況をチェックするだけでなく、どの部分をどのようにリフォームしたいのかをその場で検討して、同行した営業担当者に伝えることも必要です。
リフォームの取り扱いに慣れた不動産会社なら、2~3日でリフォームの見積りやラフプランを用意してくれます。それを基に、予算やスケジュールの調整をしましょう。
ローンの借り方で、スケジュール調整に大きな影響
住宅ローンをどこから借りるかによっても、スケジュールの立て方が変わります。銀行の場合は事前審査がありますから、融資の内諾を得てから売買契約に進めます。「予定した融資が下りない場合は契約を白紙撤回する」旨を定めた「ローン特約」を契約条項にいれるのが一般的ですが、事前審査が通っているので本審査で否認される可能性は低いといえます。
これに対して、金利の低さが人気のネットバンク系のローンは、契約後の本審査が実質的なもので、融資承認が下りるかどうかはこのタイミングまで五分五分です。しかも審査に2週間から1ヵ月かかることもあります。審査が通らなければ契約は白紙になります。スケジュール調整が非常に難しいため、銀行ローンとネット銀行の二本立てで進めるなど、ローン手続きをうまく進める工夫が必要です。
まれにではありますが、事前審査済みの銀行ローンでも、本審査や融資実行直前で承認されないケースがあります。それは、契約後に転職やリストラなどで申込者の属性が変わってしまう場合と、健康問題で団体信用生命保険に加入できない場合です。これらの事情が予めわかっていれば、早めに営業担当者に伝えて、対策を練っておく必要があります。
以上のように、どのステップでも、不動産会社の営業担当者との情報共有が十分にできていることが重要といえます。信頼できる不動産会社を選び、何でも話せる営業担当者と出会うことが、スムーズな購入の最大のコツといえるかもしれません。
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