「中古マンション購入+リフォーム」を実践する人が着実に増えています。その傾向を後押しするポイントのひとつが「定額リフォーム」です。
これまでは「どんな工事をするとどのくらい費用がかかるのか」「同じ内容なのに、依頼する会社によって金額が大きく違うのはなぜなのか」というように、リフォームにかかる費用がわかりにくい状態でした。これに対して、壁紙や床材の張替え、キッチン・バス・トイレなどの水回りの設備交換、間取り変更を含めて内装設備を全て入れ替えるフルリフォームなど、ニーズの高い工事をセットにして金額を明示したパッケージ商品「定額リフォーム」が、ここ1~2年の間で登場してきました。
定額リフォームの登場により、予算が立てやすくなり、リフォームの内容も把握しやすくなったと言えます。そこで今回は『定額リフォームPICCA(ピッカ)』を提供している野村不動産リフォーム(以下「NR」)に、「中古マンション購入+リフォーム」の最近の傾向についてお聞きしました。
定額リフォームをきっかけにリフォーム市場は拡大
――中古マンションを買ってリフォームする購入者は増えていますか?
NR:中古マンションの取引件数が増加しているという追い風もありますが、取引に合わせてリフォームをする件数は着実に伸びています。
――定額リフォームの中では、どのタイプが人気ですか?
NR:浴室やトイレ、キッチンなど、100万円以下で収まる「水回りリフォーム」の人気が高いですね。直接肌に触れる設備を一新したいというニーズはもともと根強いのですが、『この程度の金額で収まるなら』という感覚で、以前よりも件数はかなり増えています。
――お客様のニーズの変化はありますか?
NR:やはり、ニーズが多様化してオリジナリティを求める傾向が強くなっています。そのため、既存のパックの中に収まらないケースも少なくありません。
――その場合は"定額"ではなくなるんですね。
NR:そうですね、パッケージからは外れます。ただ「定額リフォーム」ができたことによって、工事内容に応じた費用の目安がわかるようになり、これをきっかけに検討しやすくなったという声が聞かれるようになりました。
『このパックのこの部分はもう少しグレードを上げたい』あるいは『ここは節約したい』など、設定された「定額」を基準にプラス・マイナスすることによって、納得したうえで依頼できるようになった、というわけです。
築浅中古マンションでも自由な発想のリフォームが増加
――ニーズが多様化しているとのことですが、たとえば、どういったケースがありますか?
NR:以前は、築10年以上たたないと我々リフォーム会社の出番はない、と言われていました。「設備が古くなって劣化したから」とか「機能が陳腐化しているから」という理由が多かったからです。しかし最近では、築浅の中古マンションのリフォームも増えています。たとえば、ある新築マンションのモデルルームを見て『あのシステムキッチンが気に入ったから、同じものを入れてください』というリクエストもあります。
――なるほど、『今出ている新築マンションは希望の立地に合わない』とか、『予算をオーバーしているから』という理由で中古マンションを購入するケースはありますが、『新築も同時に検討しているので、建物は中古でも設備は最新のものにしたい』というわけですね。
NR:そうですね。まだ築3年くらいで、設備も十分に機能する状態でも、インテリアやライフスタイルに合わせて変えたいという要望が多いですね。
――他に、新しい傾向はありますか?
NR:間取り変更のニーズでは「和室から洋室へ」というのが一般的です。南に面した和室をなくしてリビングを広げたいというニーズも高いです。ところが最近、「洋室を和室に」という依頼が立て続けにありました。ご夫婦二人だけの時に全室洋室のマンションを買った後にお子様が生まれて『やっぱり和室のほうが何かと便利に使いやすいから』というお話でした。家事室や客間など、和室ならさまざまな用途に柔軟に対応できるということだと思います。
また、築浅物件では収納の相談をよくいただきます。入居したら思っていたより荷物が多くて、収納場所に困ったということでしょう。壁面収納や、カウンター下の収納などのいわゆるデッドスペースに収納を設けることが多いです。
壁の一面だけにアクセントのタイルを貼る、といったご依頼もあります。「リフォーム」というより、ちょっとした「カスタマイズ」ですね。
――家族構成やライフスタイルの変化に応じて、自由な発想でリフォームする方が増えているようですね。