大規模マンションは資産価値が落ちにくいといわれます。新規分譲時の契約率も一般のマンションより高く、中古として売却される時にも周辺相場より高めで取引されることが多いという実績があったからです。
ただ、最近は「大規模だから売れる」といった"神話"は崩れてきました。大規模マンションの中でも、たとえば、郊外の最寄駅からバス便で、周辺にショッピングセンターなど生活利便施設が乏しいような物件は、売るのに苦戦するケースも出てきました。マンション自体の規模が大きいだけでなく、駅周辺の再開発と一体的に整備される、ショッピングモールや商業・文化施設を併設するなど、何か人を惹きつける魅力や特徴がないと、資産価値の維持が厳しくなっているのです。
一方、人気の高い大規模マンションは、ある程度の利便性が確保され、敷地内のオープンスペースの造り込みにも力を入れているケースが多いようです。築年数の新しい物件の場合、以前なら、新築時に植えた樹木が十分に育っていないため、植栽スペースが貧弱に見えることも珍しくありませんでした。しかし最近では、初めから大きな木を移植してシンボルツリーにしたり、四季折々の変化を楽しめる花や落葉樹を配したりするなど、ランドスケープに凝った物件も増えてきました。
こうした設計上の工夫は、マンションの所有者にとって居住性が上がるだけでなく、周辺環境との調和、周辺住民との共生にもつながります。それがひいては資産価値の高さにも結びついていくのです。
よい大規模マンションの見極め方
以上のように、大規模マンションでも資産価値が落ちにくい物件と、そうでない物件に分かれるようになってきました。立地や共用スペースの充実度は物件概要でも知ることができますが、それ以外にもチェックしておきたいポイントがあります。
一つは「賃貸率」の高さです。物件価格が下がって売却しにくくなると、住みかえるために所有者が自宅を賃貸に出すケースが増えてきます。所有者以外の賃借人の割合が高くなると、管理運営が行き届かなくなってくるおそれがあるのです。
また、マンション敷地内の共用施設に商業テナントなどを入れているケースでは、運営状態に注意しましょう。入れ替わりが激しい場合、購入するときにあった店舗が撤退して好ましくない別の店舗が入るなど、環境が悪化するかもしれません。
駐車場の利用率もチェックポイントの一つです。大規模マンションでは「駐車場充足率100%以上」という例も多いのですが、実際には何割か空いているケースが珍しくありません。その分、管理費や修繕積立金に充当する費用が少なくなるため、将来、管理費等が値上げされるおそれがあります。
最後に、良い大規模マンションを見分けるコツを紹介しておきましょう。2LDKから3LDKへ、あるいは低層階から高層階へというように、同じマンション内での買いかえが多いかどうか。これは「全体の居住環境は気に入っているため他に移りたくないが、家族構成やライフステージの変化によって居住スペースだけを変えたい」という意向を反映しているからです。周辺の賃貸住宅からの住みかえ、マンション内での買いかえが頻繁に行われている大規模マンションは間違いなく良い物件といえるでしょう。
【関連サイト】
ノムコム・大規模マンション特集