大規模マンションは人気が高いといわれます。今回は、超高層タワーマンションは除き、中高層の大規模マンションに絞って、魅力や資産価値について考えてみましょう。
まず、大規模マンションは中小規模のマンションとどこが違うのでしょうか。実は、その定義は必ずしも一定していません。インターネットの物件検索サイトで「大規模マンション特集」と表示されているコーナーを見ると、戸数の区分は「100戸以上」だったり「200戸以上」だったり。最近では、1棟で500戸以上の「超」が付く大規模物件を「メガマンション」と呼ぶことも増えてきました。
しかし単に戸数が多いだけでは、公共住宅のマンモス団地のように高密度に集積しているというイメージになって、あまり魅力的に映らないかもしれませんね。また、小規模でも大規模でも各住戸の中身はそれほど変わらないでしょう。開発規模の大小で違いが出るのは、住戸以外の共用スペースの広さと、その造り方です。
たとえば、エントランス、共用廊下、管理室などは、マンションに一般的に備わっている共用部分です。この他に、大規模マンションにはキッズルーム、フィットネスジム、シアタールーム、ゲストルームといったプラスアルファの共用施設があります。規模が大きくなるほど、こうした施設の数や種類は増えます。通常の共用部分についても、二層吹き抜けのエントランスホールなど、豪華な造りになっています。
また、中小規模マンションでは敷地が限られるため、建物以外のオープンスペースは駐車場くらいしかありません。大規模マンションでは敷地にゆとりがあるので、中庭、ポケットパーク、植栽スペース、池やせせらぎ、遊歩道など、生活環境に潤いを与えてくれるスペースを設けることが可能になります。
このように共用スペースが充実していることが大規模マンションの最大の魅力といるでしょう。
少ない負担で充実した管理サービスを受けられる
施設や設備などの目に見える部分だけでなく、ソフトの部分でも大規模マンションにはメリットがあります。たくさんの居住者で管理コストを頭割りすることによって、充実した管理・サービスを少ない負担で受けることができるのです。
たとえば、100戸に満たない中小規模のマンションでは常駐の管理スタッフを置くケースはほとんどありません。しかし200戸、300戸を超える大規模マンションなら、管理員常駐に加えて、夜間も警備員が巡回してくれる24時間管理体制が可能です。あるいは、フロントにコンシェルジュが待機して各種の手配や取次をしてくれるホテルライクなサービスを提供している大規模マンションもあります。
建物のメンテナンスについても、大規模になるほど管理会社が手厚いバックアップ体制を敷いて、保守点検や長期修繕を実行していくため、しっかりと資産価値が守られるという期待が持てます。戸数が多いと、居住者同士のコミュニティ意識が希薄になり、管理に無関心になりやすい面もあるかもしれません。
ただ、施工会社や管理会社などの経験やノウハウを持ったプロが組織的に動かしていくため、管理運営に支障が出ないともいえるのです。
また大規模マンションは、広大な用地の仕入れから設計施工、販売まで、何年もの期間がかかりますから、事業主の体力も必要です。一定の企業規模がある大手デベロッパーや大手ゼネコンでなければ手がけられません。こうしたブランド力のある大手が関わることへの安心感を持っている方にとっては、魅力が大きいといえるでしょう。