【大阪市住吉区】大和川氾濫対策を中心に地域ぐるみの取り組みを進める大阪市住吉区の防災対策
「住吉大社」大阪市の南部に広がる住吉区は大部分が上町台地上にあり、東側と西側には平地がみられます。区の南端を流れる大和川を挟んで、堺市と接しています。大和川は江戸時代に付け替えが行われ、現在の位置になりました。
上町台地では、古くから人の営みが行われた痕跡が残っています。なかでも「帝塚山古墳」は比較的当時の形をとどめている貴重な存在です。「住吉津」を中心に港町としても発展を遂げ、航海の神を祀る「住吉大社」も創建されました。平安時代から鎌倉時代にかけて流行した熊野詣に使われた熊野街道も、区内の上町台地上を通過しています。当時、沿道は多くの人々でにぎわいました。
明治時代になると、区内には相次いで鉄道が開通します。大阪市中心部へのアクセスが確保され、上町台地は郊外の住宅地として注目されます。こうして、現在の住宅地の基盤が形成されました。
水害ハザードマップ(住吉区)(大和川が氾濫した場合)住吉区では大和川の氾濫、寝屋川流域(寝屋川・第二寝屋川・平野川・平野川分水路・古川)の氾濫、高潮、内水氾濫、南海トラフ巨大地震による津波により浸水する可能性があります。そこで、災害別に「水害ハザードマップ(住吉区)」が作成されました。これらのハザードマップには、それぞれの災害で浸水が想定される場所と深さのほか、浸水時に避難できる「災害時避難所」「水害時避難ビル」「災害時避難所・水害時避難ビル」の場所・施設名も記されています。
特に区内に大きな影響をもたらすと考えられる大和川氾濫については、「地域ごとの水害ハザードマップ(大和川の氾濫時)」も作成されています。
住吉区防災マップ災害時に必要な情報をまとめた地図が「住吉区防災マップ」です。表面は住吉区の地図になっており、「災害時避難所」「一時避難場所」「広域避難場所」「水害時避難ビル」といった災害時に身を守る場所が示されています。さらに防火水槽・プール・池、AED、公衆電話、マンホールトイレ、救助資器材など災害時に役立つ施設の場所も記されています。
裏面は「防災お役立ち情報」で、災害が起きる前に知っておきたいことがまとめられています。災害への備えとして非常持ち出し品や家庭での備蓄品を解説し、リストにチェックしながら準備状況を確認できるようになっています。さらに、地震、水害、台風といった災害の種類ごとに利用できる避難所の一覧図を示し、災害情報収集ツールも紹介しています。
住吉区では、身近なエリアの防災情報をまとめた「地域ごとの防災ハンドブック」も作成しています。一部地域を除き表面と裏面で構成されており、表面には区内で大きな被害が懸念される大和川氾濫を念頭に、警戒レベルごとの必要な行動や、災害が起きる前に準備すべきことなどを解説しています。
裏面には大和川氾濫時の浸水想定、防災マップ、地域ごとの避難場所が示され、災害時の行動をイメージできる作りです。避難場所は、町会エリアごとの一時避難場所や災害時避難所が一覧表で示されています。
住吉区では区民の防災意識向上にも力を入れています。その中心が防災動画コンテンツで、数多くの動画が作られています。例えば、「住吉区防災動画」では南海トラフ巨大地震、上町断層帯地震、大和川氾濫といった区内で想定される災害のメカニズムと発生した際の被害を分かりやすく説明し、必要な備えも解説しています。また、「大和川氾濫等の水害に備えて」では、堤防決壊地点別に想定される浸水エリアを示し、身を守るための避難行動を説明しています。これらの動画はYouTubeの「住吉区公式チャンネル」で公開されています。
大和川が氾濫すると、区内でも浸水する可能性があります。そこで、区内の電柱や広報掲示板などに浸水想定の深さを記載したプレートを貼り、地域の浸水リスクを認識しやすいようにしています。
浸水から身を守るためには、その場所の標高を知っておくことが重要です。「住吉区役所」の窓口に区内の住宅の浸水想定を問い合わせると、ハザードマップなどから想定される浸水の深さを調べ、回答する取り組みも行っています。その結果を記載した「浸水想定表示プレート」の交付も行っており、自宅などに取り付けることができます。
大和川地域の防災力を高める取り組みも進めています。その中心は区内全12地域活動協議会、各種関係団体、大阪市職員が合同で行う「住吉区総合防災訓練」です。会場は「住吉区役所」のほか、区内の一時避難場所、災害時避難所も使われます。
防災スピーカーから地震発生を知らせるサイレンが鳴ると、訓練が始まります。参加する区民はまず自分の身を守り、家族の安全を確認する練習をします。無事の印として、玄関先にタオルなどを付け、町会エリアの一時避難場所へ集合します。
一時避難場所では安否確認訓練、救助資器材の点検・使用訓練、担架を使った搬送訓練、無線通信訓練などを行います。続けて、一時避難場所から災害時避難所への避難訓練に移ります。災害時避難所に到着したら、地域災害対策本部や避難所運営委員会の設置訓練、災害時に使用する部屋の整備や簡易トイレの設置、受付などの訓練を進めます。
大和川周辺の自治体では、集中豪雨や津波、高潮などによる水害を最小限にするため、「大和川右岸水防事務組合」を結成しました。実際に堤防の監視・警戒、防潮扉の開閉作業などを担うのが水防団員で、対象区域内の住民や勤務する人なども加わっています。水防訓練も随時行われ、地域ぐるみで災害対策を行う体制づくりを進めています。
住吉区では大きな被害が想定される大和川氾濫を中心に、さまざまな災害に対して地域ごとの防災力向上を目指した取り組みが行われています。
- 掲載日
- 2026/08/19
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。





