中古マンションの成約単価は6期連続の上昇で過去最高を更新 2024年度下期の東京23区 坪381万円

Ⅰ.都心6区は前期比+7.7%の坪549万円

当社がまとめた2024年度下期の中古マンションの平均成約坪単価は、東京23区が前期比+4.3%の381万円となりました1。集計開始の2021年度下期以降、6期連続で最高値を更新しています。前年同期比では+8.5%でした。特に都心6区2は549万円(前期比+7.7%)で大きく上昇しました。

東京23区の中では、都心6区とその他エリアの差が広がっています。各エリアの平均成約坪単価は、城南が前期比+4.3%の367万円、城東が同+3.2%の294万円、城西が同+4.0%の291万円、城北が同+5.2%の294万円でした。最も上昇した城北でも、都心6区より2.5pt上昇率が小さい状況です。
都心部の新築マンション販売市場では取得競争が過熱しており、中古マンション市場はその影響を強く受けています。特に、立地・品質などに優れた都心6区のタワーマンション・ブランドマンションでは、多数の高額取引がみられました。

【図表1】平均成約単価 単位:万円/坪

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1レインズ(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産情報ネットワークシステム)の掲載データより当社流通事業本部が集計(成約坪単価4,000万円以上および成約価格100万円未満は異常値として除外)。上期は4~9月、下期は10~3月。
2都心6区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区 城南:品川区、目黒区、大田区、世田谷区 城東:台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区 城西:中野区、杉並区、練馬区 城北:豊島区、北区、板橋区

Ⅱ.都心6区の中で成約単価が上昇した区と下落した区

都心6区では千代田区が大きく上昇しました。千代田区の平均成約坪単価は650万円、前期比+21.6%で集計開始以降最大の上昇率となりました。中央区は573万円(同+10.5%)、港区は672万円(同+13.7%)、渋谷区は589万円(同+7.2%)で、同じく上昇しました。一方、新宿区は417万円(前期比▲1.4%)、文京区は398万円(同▲3.4%)と下落し、都心6区の中においても成約単価の推移は異なる傾向を示しました。
その他エリアでは、城南の品川区(平均成約坪単価452万円、前期比+9.6%)、城北の豊島区(同386万円、同+11.7%)で、集計開始以降最大の上昇率となりました。大規模な新築タワーマンションの販売による影響が考えられます。

Ⅲ.在庫成約倍率は前年同期比で大幅に低下、最も倍率が低いのは江東区

在庫成約倍率は在庫数を成約数で除して算出3したもので 、中古マンション市場における需給バランスを表し、値が大きいほど需給が緩和した状態、値が小さいほど需給が引き締まった状態を示します。
2025年第1四半期、東京23区の在庫成約倍率は大幅に低下しました。2025年第1四半期の在庫成約倍率は11.1倍で、前年同期(16.2倍)比で5.1pt低下しました。在庫数が1割減少した一方、成約数が3割以上増加したことによるものです。特に城東は9.9倍で、集計開始以降初めて10倍を下回りました。

2025年第1四半期、在庫成約倍率が20倍を超えた区はありませんでした。その中で、最も在庫成約倍率が低かったのは江東区です(6.8倍)。
江東区では豊洲・有明の湾岸部を中心に、数多くのタワーマンションが立地します。これらのタワーマンションは、築年数が浅く、立地条件や品質が分かり易いため、購入検討しやすい商品特性を有すると言えるでしょう。江東区の成約数は23区中最多で、成約により在庫が抑制された結果、需給がタイトな状態にあると考えられます(在庫数の多さは23区中5番目)。

【図表2】在庫成約倍率

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米政権の関税政策は、株式・債券・為替市場のみならず、実体経済にも影響を及ぼしつつあると考えられます。その余波が引き起こすマンション需要の減退は、それが一時的な現象だとしても、足元の中古マンション市場を確実に冷やします。直近の営業現場では、売却検討数が増加する一方で、購入検討者が大きく減少する現象が観察されました。経済見通しの不確実性が高まる中、今後の在庫成約倍率の動向が注目されます。


3在庫数は各月中旬頃の時点。

提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部

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