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2008.12.17:Vol.202税金
※各制度の活用に際しては、税理士等の専門家にご相談の上実行して下さい。

平成21年度 与党税制改正大綱
~土地住宅税制の拡充・創設予定を中心に抜粋

去る12月12日、自民党より「平成21年度税制改正大綱」が発表されました。土地住宅税制については、減税額が過去最高の600万円となった『住宅ローン減税制度』の期限延長及び拡充が目玉ですが、話題に挙がっていなかった制度『土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除』等も盛り込まれました。年明け以降、当該予党案に基づいて衆参両院で審議が始まります。国会の動向次第では、内容が変更される場合があります。法案が成立する来年3月までは動向に注目しながら、与党案に基づいた対応をする必要があります。

◆『住宅ローン減税制度』の延長及び拡充

年末で期限切れとなる住宅ローン減税をH25年まで5年間延長した上で、「一般住宅」は最大500万円、「長期優良住宅」は最大600万円を所得税、個人住民税から10年間、税額控除できるようにする、というものです(控除対象借入限度額:一般/長期優良ともに5,000万円、控除率:一般1.0%、長期優良1.2%)。最大減税額の適用を受けるには「一般住宅」でH21年1月1日から2年以内に、「長期優良住宅」では3年以内に入居することが条件となります。それ以降の入居分については減税額が段階的に引き下げられます。現行の制度では10年間で最大160万円の所得税控除という制度ですので、表面的には大幅な拡充といえます。また、現行制度はあくまで所得税額控除が条件であり、各年の所得税額が上限です。こうした中、最大600万円という謳い文句の一方、所得税控除だけでは減税規模を拡充しても中低所得者には減税効果が及びにくいという意見もあり、新制度では所得税に加えて個人住民税も税額控除の対象とし、中低所得層にも減税効果が及ぶような制度に改められました。所得税で控除しきれない場合について、9万7500円を上限に個人住民税から控除する案となっています。

◆良質な住宅への投資を促進するための緊急措置の創設等

住宅ローンを利用しなくとも、長期優良住宅を取得した人や一定のリフォームを行なった人については、減税措置を受けられるようにする主旨で創設される制度です。(一次取得層のうち住宅ローンを利用しない世帯および二次取得層(団塊の世代の買換え)をイメージ)
○長期優良住宅を取得してH21年からH23年中に居住の用に供した場合、一定の要件下で当該優良住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用相当額(1,000万円上限)の10%相当額をその年分の所得税額から控除(控除しきれない額は翌年に繰越可能)する、という制度が創設される予定です。
  ※「長期優良住宅」:住宅の用に供する長期優良住宅の普及の促進に関する法律(通称「長期優良住宅促進法」)に規程する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの
○一定の省エネ改修・バリアフリー改修工事を行なった場合(H21年4月1日~H22年12月31日の間に入居)、要した費用と当該工事に係る標準的な工事費用相当額の何れか少ない金額(上限200万円(併せて太陽光発電装置設置の場合300万円))の10%に相当する額をその年の所得税額から控除するというものです。

◆譲渡益課税の特例措置の創設

○土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除
個人・法人ともにH21年からH22年の間に取得した土地で、所有期間が5年を超えるものを譲渡した場合、一定の条件下で譲渡所得の金額から1,000万円を限度に控除する、という制度です。個人の場合には、これまでも自宅を売却する際に適用される「3,000万円特別控除制度」がありますが、居住用財産にしか使えません。今回の新制度は、単純な土地の売却をする場合などに効果が期待できると考えられます。
○土地等の先行取得をした場合の課税の特例
法人(個人事業者についても適用する)がH21年からH22年中に取得した土地については、取得した日の属する事業年度終了後10年以内に他の土地を譲渡等した場合、その譲渡益の80%(H22年中に取得の場合60%)を限度に、先に取得した土地の価額を圧縮記帳ができるという制度です。圧縮記帳により課税が繰延べられます。

事業用資産の買換え特例-現行制度を3年延長
10年超所有の土地・建物等を土地・建物・機械等に買換えた場合、譲渡益の8割を課税繰延べすることができるという制度です。本年末が期限の制度ですが、3年間延長される見込みです。
土地関連税制:税率軽減措置の延長
H20年度末に期限切れ予定の不動産取得税の軽減措置(本則4%→3%に軽減)は、3年間延長される予定です。また、H21年4月1日から引き上げられる予定の土地移転登記時にかかる登録免許税の軽減措置は、2年間据え置かれH23年4月1日以降段階的に引き上げられる予定です。
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