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国税庁は、平成18年の相続・贈与により財産を取得した人の相続・贈与税の申告の速報について公表しています。 被相続人(死亡者数)の数は約1,084千人で、前年とほぼ同数となっていますが、相続税の申告対象となったのは、45,322人(4.18%)でした。この課税件数割合は平成3年の6.8%をピークに毎年低下してきています。 また、納付税額もバブル以降の地価の下落に伴って、減少の一途をたどっていましたが、2004年を境に、上昇傾向が見られます(図1)。全国ベ―スの平均路線価の対前年変動率は2年連続して06年0.9%⇒07年8.6%と大幅に上昇しており、本年も変動率はプラスで推移すると予想されることから、引続き上昇傾向となることでしょう。
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相続財産額に占める種類別構成比は、5年前との比較で、平成13年(土地59.1%、預貯金15.6%)⇒平成18年(土地47.8%、預貯金20.6%)と、その構成が大きく変化してきています(図2)。 |
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一方、贈与税の方は、平成15年の税制改正で、「相続時精算課税制度」が創設されていますが、この制度も着実に利用されてきているようです。従来の暦年による課税方式である暦年課税分と相続時精算課税制度分の課税状況を比較してみると、暦年課税を選択した人29~32万人に対し、精算課税制度を選択した人は8万人強となっており、申告した人の約2割強の人が精算課税制度を選択していることがわかります。ところが、財産価額ベースでは、精算課税制度を利用した贈与は5割強にのぼっています(表3)。 |
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また、従来の暦年課税による住宅取得資金贈与の特例は、平成17年末をもって廃止されていて、現在は相続時精算課税制度にのみ特例が存続していますが、暦年課税の住宅特例が廃止された平成18年は相続時精算課税制度による住宅取得資金贈与の利用人数が急増していることがよみとれます(表4)。 |
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なお、相続時精算課税制度は、贈与時の価額が相続時に加算されますので注意が必要です。 |