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法人向け不動産コラム Column

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2018.08.20

非上場株式の譲渡における税務上の時価の考え方(事例による整理)

1.はじめに

上場株式であれば、不特定多数の者による自由な取引の結果、日々の成立する売買価格がその時価であり、税務上も当然に時価として扱われます。非上場株式の場合は、そのような時価が把握できませんが、独立当事者間で様々な調査や検討、交渉をして成立した価格であれば、それは税務上も妥当な価格(時価)として認められると思われます。

一方、親族間など特殊な関係にある当事者間で非上場株式を譲渡する場合は、上記のような検討等が行われることはまれで、経済合理性と無縁の価格での譲渡になりがちです。その場合、当事者間ではそれでよくても、税務署がその譲渡価格は高過ぎる・安過ぎる、その時価との差額は実質的に贈与だとして課税してくる恐れがあります。

そこで、そのような課税処理を受けないレベルの対価となっているかを意識しておく必要があり、以下代表的な事例でそのレベルを探ります。

2.個人Aが個人Bへ非上場株式を譲渡するケース

表題のケースで、所得税と相続税のいずれにおいても課税を受けない対価の基準となる時価は、相続税法上の時価です。相続税法上の時価を譲渡の対価としておけば、いずれの課税問題も生じません。

所得税法上、株式の譲渡は譲渡所得等となりますが、各種の所得の(総)収入金額とするべき金額は、所法36条1項により「その年において収入すべき金額」とされています。金銭で(譲渡の対価を)収入する場合、この「その年において収入すべき金額」とは、AとBとの間で対価として合意した金額ですから、個人間の譲渡では、所得税法上は、譲渡の対価が時価より低くても(又は著しく低くても)、その譲渡を時価譲渡に引き直されることはなく、譲渡者はその合意した対価を収入金額として譲渡所得を計算します。

ところが、相続税法の7条が、譲渡の対価が著しく低い場合は、譲受人個人Bは、譲渡者個人Aから贈与を受けたみなす旨規定しています。そこで、相続税法上の時価を対価に譲渡しておけば「著しく低い」との認定はありえませんから、相続税法上においても、Bに贈与税の課税が生じることはない、ということです。

相続税法上の時価とは、財産評価基本通達(評価通達)に則って、株式の取得者=譲受人の立場で算定されるもので、相続税法上の時価より例えば10数%程度低い対価でも、「著しく低い」とはいえないので同じです。

3.個人Aが法人Bへ非上場株式Xを譲渡するケース

まず、表題のケースに少し条件を追加します。すなわち、個人Aは、Xの発行会社(X社)において評価通達188の(1)の「同族株主以外の株主」に該当する少数株主であり、法人Bは譲渡後にX社においていわゆる支配株主であるとします。ここで支配株主とは同通達の(1)から(4)のいずれにも当たらない株主(188(1)が定める同族株主など)のことをいいます。

個人AのXの譲渡は法人に対するものなので、所得税法59条により、譲渡対価が時価より著しく低い場合は、譲渡対価を時価に引き直して譲渡所得の金額が計算されます。Aにとってのその時価は、所得税法基本通達59-6の後段の(1)により、譲渡者Aの立場で譲渡直前のその有する議決権の数により評価通達の例によって計算されますが、Aは少数株主であるため配当還元価額となります。

一方、法人Bは、支配株主であり、Bにとっての時価は、法人税法基本通達4-1-5、4-1-6に基づき、原則として評価通達が定める原則的評価方式による評価額(純資産価額、類似業種比準価額又はその折衷価額。いずれにしても配当還元価額よりもずっと高くなります。) となります。

仮に、Bが配当還元価額でXを取得すれば、Bでは、その取得のための支払額にかかわらず、原則的評価方式による評価額を取得価額とし、支払額との開差は法人税法22条2項により受贈益となります。Aにとっては、その対価=配当還元価額は(税務上の)時価に等しいですから、対価が「著しく低い」という認定はありえないので、その対価をそのまま収入金額として譲渡所得の金額を計算します。

結果的に課税上は一物二価なりますが、それは、個人が法人へ資産を譲渡する時に、譲渡者である個人がその資産を保有していた期間の価値の増加額に対する課税を行おうとする所得税法59条に対し、法人税法は資産の取得に関しても時価取引の原則に立っていること(同法22条2項等)によってもたらされる結果であって問題ではありません。

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