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法人向け不動産コラム Column

税制改正、不動産に関するニュースや、相続対策、事業承継等の情報について解説・紹介します

2016.10.11

被相続人の住所地認定の誤りにより重加算税の処分が取消に

1. はじめに

老人ホームに入居していた被相続人の相続税の納税地について争われ、納税者の主張する老人ホームが納税地であると判断され、税務署が行った相続税に係る重加算税賦課決定の処分を取り消す裁決が下されました。今回はその内容についてご紹介します。

2. 裁決までの経緯

(1)相続開始前

この事例の被相続人は成年被後見人であり、平成20年6月頃まで従来から居住していた自宅(以下「本件家屋」)で生活していました。平成20年6月23日、被相続人の後見人は、介護付有料老人ホーム(以下「本件施設」)に被相続人が入居して各種介護サービスを受ける旨の契約を締結し、同年7月1日に被相続人は本件施設に入居しました。契約内容のうち入居期間については「利用者は、死亡や契約解除等の一定の契約終了事由が生じない限り、介護居室及び共用施設を終身利用することができる。」とあります。後見人は、被相続人が本件施設に入居した後も住民票や社会保険関係及び金融機関の届出の住所を本件家屋から異動せず、後見開始申し立てや確定申告等の手続きについても本件家屋を被相続人の住所として行っていました。

(2)相続開始以後

本件家屋の住所地を所轄する原処分庁(以下「A税務署」)は被相続人の相続人のうちの1人である請求人(以下「B氏」)に対し平成26年9月に「相続税についてのお尋ね」を送付し、B氏はその際「遺産総額が相続税の基礎控除額に満たない」旨の回答を行いました。その後の調査によりB氏は平成26年12月、A税務署に相続税の期限後申告書の提出を行いました。これに対しA税務署はこの相続税額について、重加算税の賦課決定処分を行いました。

3. 争点

(1) 国税通則法第33条第1項により、相続税の重加算税の賦課決定は、その賦課決定の際の相続税の納税地の所轄税務署長が行うとされ、相続税の納税地は相続税法附則第3項で被相続人の死亡時における住所地とされているのであるが、その被相続人の死亡時における住所がどこであるか

(2) B氏が、国税通則法第68条第2項に定めるような課税要件事実を隠ぺい、仮装したところにより法定申告期限までに申告書を提出しなかったかどうか

上記2点が争点になり、そのうち争点(1)についての両者の主張、審判所の判断は次の通りです。

4. 原処分庁(A税務署)の主張

次の理由から相続税の納税地は本件家屋であり、その所轄庁はA税務署であると主張しました。

  • ・被相続人は本件家屋の近隣住民と血縁者以上の貴重な関係を築いていたので本件家屋が被相続人の生活に最も関係が深い
  • ・住民票、社会保険関係、金融機関の手続きや後見開始申立て、確定申告等も全て本件家屋を住所として手続きしていたこと
  • ・B氏も相続税のお尋ねの回答や相続税の期限後申告を本件家屋の所在地を住所地としていること

5. 納税者側(B氏)の主張

相続税の納税地は本件施設であり、その所轄庁は本件施設の所在地を所轄する税務署であるから、A税務署に重加算税の賦課決定権限はないと主張しました。

6. 審判所の判断

相続人の納税地について定める相続税法附則第3項について、審判所は被相続人の死亡の時における住所地とは、「生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関連の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり(中略)、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきもの」と解釈しています。

その上で、1.本件施設は生活全般にわたる介護サービスを受けることができ、終身的に利用することができること、2.被相続人の体調面からみて本件家屋で起居することは不可能な状況で、入居時から死亡時まで帰宅したことは一度もないこと、等の事情を照らせば生活の本拠たる実体は本件施設にあり、本件施設が被相続人の死亡時における住所地であると判断しました。

前述3.(1)により、「賦課決定は、その賦課決定の際におけるその国税の納税地の所轄税務署長が行う」とあり、そのため争点(2)については判断するまでもなく、A税務署に賦課決定権限がないので、A税務署の重加算税賦課決定は全部が取り消されるべきとしました。(平成28年5月17日裁決・大裁(諸)平27-59)

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