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法人向け不動産コラム Column

税制改正、不動産に関するニュースや、相続対策、事業承継等の情報について解説・紹介します

2016.5.23

法人が会計で計上する前期損益修正の法人税法上の取扱い

1. はじめに

例えば、平成28年3月期(当期)の法人税の確定申告をするに当たり、過年度(ここでは平成26年3月期とします。)の売上原価の性質を持つ外注費1000の計上漏れ(いわゆる失念)が判明し、それを当期の決算において、特別損益の部に「前期損益修正損1000」として計上した場合又は売上原価に含めた場合、その1000は法人税法上そのまま当期の損金の額に算入されるでしょうか。先に結論をいえばNOです。

法人税法は、各事業年度の所得の金額の計算で「益金の額」から控除される「損金の額」に算入する金額を同法22条3項で規定しており、その1号が当該事業年度の収益に係る売上原価等の原価の額を挙げ、2号がいわゆる販管費等を、3号が当該事業年度の損失の額(で資本等取引以外の取引に係るもの)を挙げています。また、同条4項はそれらの損金の額について、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(公正処理基準)に従って計算されるものとする旨を定めています。

2で、過年度に計上漏れとなった外注費をその後の事業年度で損金の額に算入した処理が税務署に否認され、その当否が争われた訴訟の東京地裁平成27年9月25日判決をもとに、上記NOの理由を整理します。

2. 前期損益修正損をそのまま当期の損金の額に算入した原告(法人)の主張と裁判所の判断

原告は、前期以前の外注費が何らかの原因によって本来計上すべき事業年度において計上漏れとなった場合は、その計上漏れを認識した決算期において、前期損益修正項目として費用計上する処理が企業会計上の慣行として広く受け入れられているから、そのような処理は1の「公正処理基準」に該当し、法人税法上、前期損益修正損をその計上年度の損金の額に算入することは適法と主張しました。

裁判所は、この主張に対し、益金の額や損金の額に算入される収益や原価等の計算に当たって採った会計処理の基準(ここでは、過年度に計上漏れとなった外注費を前期損益修正損等として当期の損費とすること)が同法22条4項の公正処理基準に該当するといえるか否かについては、法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする法人税法独自の観点から判断されると解すべき、と判示し、同条3項1号に規定する特定の収益との対応関係を明らかにできる売上原価等については、その収益が計上された(されるべき)事業年度(1の例でいえば26年3月期)の損金の額に算入されるべきものだと判断し、過年度に計上漏れとなっている外注費につき、当期に前期損益修正損等として計上しても、当期の売上原価等(法人税法上の損金の額)に該当するとはいえないから、当期の損金の額に算入することはできないと判断しました。

企業会計において、前期損益修正として、過去の損益をその後の会計年度において特別損益として処理することが慣行として広く行われてきたとしても、このような企業会計の慣行は、企業会計固有の問題(その修正項目につき計上漏れのまま当初の株主総会での承認や報告を経て確定した過年度の財務諸表は、配当制限その他の規制等に既に利用されているから、過去の財務諸表に遡って修正することになれば、既に行われたそれを利用した行為の基盤が揺らぐことになるという問題)に基づく慣行であり、法人税法の上記目的を有する法人税法独自の観点からすれば、公正処理基準に該当するとはいえないとしています。また、企業会計上の前期損益修正の処理を法人税法上も是認し、後の事業年度で(も)損金の額に算入することを認めると、計上時期を納税者の恣意的な選択に委ねることも可能になってしまい、法人税法がそのような事態を容認しているとは解されないとも述べています。

そして、裁判所は、「法人税法上、修正申告や更正の制度があり、後に修正すべきことが発覚した場合、過去の事業年度に遡って修正することが予定されているのであって、企業会計固有の問題に基づき行われているに過ぎない前期損益修正の処理を、それが企業会計上広く行われているという理由だけで採用することはできないというべきである。」と結論し、税務署の主張をほぼ認める結果となっています。また、この事件は控訴されましたが、高裁 (平28.3.23東京高裁判決)においてもほぼ同じ判断がなされています。

3. おわりに

以上の通り、前期損益修正が発覚した場合は、税務上は、修正申告(税額が増える場合)又は更正の請求(税額が減少する場合)により対応すべきことになります。

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