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2016.2.08
平成28年度の住宅取得促進関連の税制の改正動向
Provided by 税理士法人タクトコンサルティング
株式会社タクトコンサルティング
1. 不動産取得税・登録免許税の改正
政府の平成28年度税制改正大綱(以下、大綱といいます。)によると、不動産の取得を促進する特例について改正が行われます。たとえば不動産取得税の以下の特例について適用期限が2年延長され、平成30年3月31日までとされます。
- ・住宅の新築から宅建業者等が取得したものとみなす経過期間を6月から1年に延長する特例(地方税法附則10条の2第1項)
- ・住宅用土地の減額措置の特例(特例適用住宅の2年以内に新築が困難な場合の最大4年間への延長を認める特例、地方税法附則10条の2第2項)
- ・新築認定長期優良住宅の課税標準の特例(1,300万円控除、地方税法附則11条第10項)
一方、登録免許税については、以下の特例について適用期間が2年延長され、平成30年3月31日までとされます。
- ・特定認定長期優良住宅の所有権保存登記等に対する登録免許税の軽減措置(租税特別措置法74条)
- ・認定低炭素住宅の所有権保存登記等に対する登録免許税の軽減措置(租税特別措置法74条の2)
- ・特定増改築住宅家屋の所有権移転登記に対する登録免許税の軽減措置(租税特別措置法74条の3)
2. 固定資産税の改正
固定資産税については、次の特例の適用期限が平成30年3月31日まで延長されます。
- ・新築住宅家屋の減額措置(地方税法附則15条の6)
- ・新築認定長期優良住宅家屋の減額措置(地方税法附則15条の7)
- ・耐震改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置(地方税法附則15条の9第1項)
- ・バリアフリー改修・省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置(地方税法附則15条の9第4項、5項、9項、10項)
なお、バリアフリー改修・省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置については、改修後の住宅の床面積につき50㎡以上の要件が追加されるほか、工事費要件については、国や地方公共団体からの補助金等がある場合にはそれを除いた金額で50万円超とされます。
3. 三世代同居のための住宅改修を促進する税制
三世代同居を後押しする優遇税制が平成28年4月1日からスタートします(大綱)。同税制は、表の2つの制度内容を拡充する形で創設されます。具体的な優遇内容と主な要件は表の通りです。
特例 | 特定増改築にかかる住宅借入金等特別控除 | 既存住宅に係る特定改修をした場合の特別控除 |
適用期間 | 平成28年4月1日から 平成31年6月30日まで |
同左 |
控除対象金額 | 償還期間5年以上の一定の住宅借入金等(1,000万円を限度) | 三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額 (250万円を限度) |
控除額 | 年間12万5千円(5年間) (250万円まで2%、250万円超1,000万円まで1%) |
25万円(250万円×10%) |
工事費用要件 | 50万円超(増改築にかかる費用から国又は地方公共団体から交付される補助金等を除いた金額) | 50万円超(改修にかかる費用から国又は地方公共団体から交付される補助金等を除いた金額) |
工事要件 | 「一定の三世代同居改修工事」とは1.調理室、2.浴室、3.便所又は4.玄関のいずれかを増設する工事(改修後、1から4までのいずれか2つ以上が複数となるものに限る。 | 同左 |
添付書類等 | 所定の機関等が行う三世代同居改修工事等の証明書等を申告時に添付 | 同左 |
所得要件 | 合計所得金額が3千万円以下 | 同左 |
適用関係 | ○住宅借入金等特別控除・既存住宅を特定改修した場合の税額控除と選択適用 | ○住宅借入金等特別控除・特定増改築をした場合の住宅借入金等特別控除都の選択適用 ○その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けた者は、その年分においては本税額控除の適用を受けることはできない。 |