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2015.05.18
平成27年度税制改正:法人税の受取配当等の益金不算入制度の見直し
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株式会社タクトコンサルティング
1.平成27年度改正前の受取配当等の益金不算入制度の概要
法人税の計算上、内国法人が受けた配当等については確定申告書等への記載等を要件に、(1) 完全子法人株式等(配当等の額の計算期間を通じて内国法人との間に完全支配関係があった他の内国法人の株式等として一定のもの)に係る配当等は、<その配当等の全額>、(2) 関係法人株式等(内国法人が他の内国法人の発行済株式等の総数の25%以上に相当する数の株式等を有する場合として一定の場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のもの)に係る配当等は、<その配当等の額-その株式等に係る負債利子の額>、(3)(1)及び(2)以外の株式等に係る配当等については、<(その配当等の額-その株式等に係る負債利子の額)×益金不算入割合(50%)>が、それぞれその配当等を受けた事業年度の所得金額の計算上、益金不算入とされます(改正前の法人税法(法法)23条1項、4項~7項)。
公社債投資信託以外の証券投資信託(以下「株式投資信託」という。)の収益の分配金は、原則、その1/2相当額が益金不算入額の計算上、(3)の「配当等の額」とされます(改正前の法人税法施行令19条1項)。
2.平成27年度改正後の受取配当等の益金不算入制度の概要(改正後の法法23条1項、6項、7項外)
平成27年度税制改正において、法人税率の引下げに伴う財源の確保のため、上記1について下図の通り見直しが行われました。改正前の(2)と(3)(2区分)が、改正後はB、C、Dの3区分に再編され、それぞれについて、益金不算入割合に差がつけられました。改正後の関連子法人株式等の配当等について、改正前の関係子法人株式等の配当等と同様に、負債利子控除後の配当等の額の100%相当額の益金不算入の適用を受けるためには、発行法人の発行済株式等の総数の3分の1超を有することが必要とされます。
また、内国法人において保有割合が発行法人の発行済株式等の総数の5%以下の株式等は、新たにD「非支配目的株式等」とされ、その配当等の益金不算入割合は20%とされました。
株式投資信託の収益の分配については、原則、本制度の対象外(全額益金算入)とされました。ただし、租税特別措置法(措法)67条の6第1項より「特定株式投資信託」(措法3条の2第1項)の収益の分配の額は、D非支配目的株式等に係る配当等の額とされますので、その20%相当額が益金不算入となりました。
なお、Cその他の株式等及びD非支配目的株式等に係る配当等については、益金不算入額の計算上、負債利子がある場合の控除計算(負債利子控除)は行われないことになりました(法法23条4項)。
上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度において適用されます。
