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2014.01.20.
平成26年度税制改正大綱:医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予の創設
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株式会社タクトコンサルティング
持分の定めのある医療法人(「持分あり法人」)の出資者は、退社時に出資額に応じた払戻請求権を行使でき、またその出資持分の相続税法上の評価は取引相場のない株式における原則的評価に準じて計算されます。このため、その出資持分の相続税評価額はしばしば高額になり、出資持分に対する相続税や贈与税も高額となります。持分あり法人から持分の定めのない医療法人(「持分なし法人」)へ移行しようと準備中であっても、出資者に相続が発生すれば、出資持分に対する相続税の納税のために出資者の相続人から医療法人が出資の払戻しを請求され、その資金負担の重さから医療法人の継続が困難になる懸念があります。そのような懸念が一つの要因となり、持分あり法人から持分なし法人への移行が進まないとの指摘がありました。
このため平成26年度税制改正大綱で、1.個人(相続人)が持分あり法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合、又は2.持分あり法人の出資者が持分を放棄したことにより、他の出資者が持分の増加という経済的利益を受けた(贈与)とみなされ、贈与税が課される場合において、その持分あり法人が持分なし法人への移行計画につき厚生労働大臣の認定を受けた「認定医療法人(仮称)」であるときは、担保提供を条件に、その持分に係る相続税と他の出資者に対する贈与税の納税を移行計画(仮称)の期間満了まで猶予する制度の創設が盛り込まれました。同大綱によれば、その納税が猶予された相続税や贈与税が最終的に免除されるためには、移行計画の期間満了までに他の全ての出資者が出資持分を放棄することが必要とされ、移行計画の期間満了までに持分なし法人に移行しなかった場合には、納税が猶予された相続税・贈与税額と利子税の納付が求められるとされています。この改正は、移行計画の認定制度の施行の日以後の相続、遺贈又はみなし贈与に係る相続税又は贈与税について適用されます。
【制度創設のねらい】 医業の継続に支障をきたすことなく、持分なし法人へ円滑に移行することに より、地域医療の担い手として、住民に医療を安定的に提供できる。 |