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法人向け不動産コラム Column

税制改正、不動産に関するニュースや、相続対策、事業承継等の情報について解説・紹介します

2013.07.22.

業者の底地買取価格を底地の相続税の課税価格とすることの当否

1.はじめに

今号は、二つ前のタクトニュース506号「業者の底地買取価格が相続税で時価と認められなかった事例」のパート2です。同号が取り上げた裁決につき、小職の私見を述べます。今一度同号を読まれてから以下を読んでいただければと思います。

2.審判所の判断(506号「4」参照)

506号の事件の納税者は、借地権がある土地=底地の相続税の評価額として、相続後ほどなく行われた底地買取り業者による当該底地の実際の買取りの対価額(自用地(更地)価額の12%程度だったようです。) を主張しましたが、審判所はそれを認めず、評価通達によるより高い価額 (更地価額×30%) が正当と判断しました。506号を読まれた皆さんの中には、「それはおかしいよ、買取りの対価額は時価でいいはず!」という疑問・義憤を抱いた方もおられると思います。

その事件の裁決では、初めに、相続税の課税価格となる「時価」(相続税法22条)とは「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち客観的な交換価値」だとしています(判例・通説)。課税実務において、その時価の意義に沿うものとして定められている国税庁の評価通達により、財産の種類ごとに画一的評価が採用されているのは、個別に評価する方法をとると、評価のやりかたによって異なる評価額が生じる結果となって1.税負担の公平を害する恐れがあり、2.納税者及び課税庁の双方ともに過大な負担と費用等を強いることになるからであり、一定の合理性を持つ評価通達による画一的評価によれば、課税の適正や納税者間の公平を図ることができるからだ、と述べています。

 また、同通達に定められた評価方法以外の評価方法によることが認められる場合もあることを認めていますが、それは、同通達に定められた評価方法を「画一的に適用することによって、明らかに当該財産の客観的交換価値とは乖離した結果を導くことになり、そのため、実質的な税負担の公平を著しく害」する場合である旨述べています。

3.なぜ「業者の底地買取価額」ではだめか

その事件で、底地の評価額として、同通達以外の評価方法による評価である底地買取業者の買取価額を主張する納税者は、鑑定評価書等も提出してその評価の妥当性を主張しました。鑑定評価書で展開された論理のなかで、小職が‘弱いな’と思うのは、業者(底地買取業者)による買取り実例こそ「正常価格」の柱となるべきものとみて、その場合の底地取引価格の更地価額に対する割合を重視して12%を正当な底地割合としていることです。それらの実例は、同通達25「貸宅地の評価」における底地価額の一般的理解として裁決の中で紹介されている「将来、借地権を併合して完全所有権とする潜在的価値に着目して価格形成されている」ということと整合しません。なぜなら、業者は、借地権者へ利益を上乗せしての転売を予定している者(実質的に仲介者)であり、借地権を併合して完全所有権とする者ではないからです。むしろ、業者の借地権者への転売価額のほうが底地価額の上記の一般的理解と整合すると言えます。

また、別の事件の東京地裁判決(平成24.3.2判決)で示された、同通達に定められた方法以外の方法の適用可能性に係る一般的判示に照らした検討からも‘業者の底地買取価額ではだめ’との結論に至ると思われます。

同判決では、要旨「評価通達の定める評価方式が形式的に全ての納税者に係る相続財産の価額の評価において用いられることで、基本的には租税負担の実質的な公平を実現することができるものと解される。相続税法22条の規定も租税法の基本原則の1つである租税平等主義を当然の前提としているものと考えられることに照らせば,特段の事情があるときを除き,特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ同通達の定める評価方式以外の評価方式によってその価額を評価することは,たとえその評価方式によって算定された金額がそれ自体では同条の定める時価として許容範囲内にあるといい得るものであったとしても,租税平等主義に反するものとして許されない。」と判示しています。ポイントは下線部で、業者の底地の買取価額は、底地の時価の一つ(「許容範囲内にある」)と言えるかもしれませんが、そうだとしても、506号の事件の底地自体、相続時において他の一般の底地と変わらず、何か特別な権利や債務が付着しているものではない(「特段の事情」がない)から、他の相続の場合の他の底地と同じように評価しないと租税平等主義に反するからだめだ、ということです。

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