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2013.5.13.
平成25年度改正:株式・公社債に係る譲渡所得の損益通算の見直し
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株式会社タクトコンサルティング
1.現行制度における個人の株式・公社債の譲渡損益の通算制度
個人に係る上場株式の譲渡損益と非上場株式の譲渡損益はともに分離課税の譲渡所得等とされますが、同じ株式等に係る譲渡所得等に該当することから、これらの損益は通算されます(旧措法37の10)。一方、個人に係る公社債の譲渡損益は原則非課税とされ、他の所得との損益通算ができません(旧措法37の15)。ただし、一定の公社債の譲渡損益は総合課税の譲渡所得とされ(旧措法37の16)、他の所得と損益通算されます。
2.平成28年1月1日以後の譲渡における個人の株式・公社債の譲渡損益の通算制度
株式等に係る譲渡所得等の分離課税については、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等(一般株式等)に係る譲渡所得等が別々の分離課税制度とされ、これらの所得間の損益通算は不可となります。また、これらの所得と他の所得との通算については、現行と同じく不可とされます(新措法37の10①、37の11①)。
公社債の譲渡については原則非課税とする制度が廃止され、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税となります。この場合において、国債、外国債、平成27年12月31日以前に発行された公社債など一定の公社債(特定公社債)の譲渡損益は上場株式等に係る譲渡所得等に含められ、上場株式の譲渡損益と特定公社債の譲渡損益は通算されます(新措法37の11-1、2)。また、確定申告を要件とする上場株式等に係る譲渡損失の配当所得の損益通算の特例の対象に、特定公社債に係る利子所得及び譲渡所得等が追加されました。(新措法37の12の2-1)。
特定公社債以外の公社債(一般公社債)の譲渡損益は一般株式等に係る譲渡所得等に含められ、非上場株式の譲渡損益と通算されます(新措法37の10①)。
<個人の株式・公社債に係る譲渡所得等の損益通算の改正イメージ>