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プロに聞く!不動産投資コラム 大家さん税理士が指南! 渡邊 浩滋氏(わたなべ こうじ)

第7回 リフォームにいくらかければよい?「修繕費」か「資本的支出」か

2016年08月08日
大家さんの頭を悩ませるのが修繕費用です。
お客様から「修繕にいくらくらいかければよいですか?」という質問をよく受けます。
私の判断基準としては、まず、修繕の必要性です。
下記のようなリフォームであれば実施すべきでしょう。

最低限お金をかけなければいけないリフォーム

近隣の競合物件と比べて設備が古いのか、新しくすることで競合物件と対抗できるのかが判断ポイントになります。
修繕することで入居が見込めるのであれば、ある程度金額がかかってもリフォームした方がよいと言えます。

家賃がアップもしくは長期的に家賃が維持できるリフォーム

リフォームをすることによって、競合物件との差別化が図れ、家賃アップが見込めたり、家賃の維持に貢献できるかが判断ポイントになります。
修繕にかかるお金と家賃アップ(維持)と比べて判断をすることになります。

ただし、上限なく修繕費をかけるとキリがありません。
リフォーム会社から提案された修繕を全部するのではなく、一部だけ修繕するという方法もあります。
例えば、クロスを全部張り替えるのではなく、一面だけアクセントクロスを張るとか、棚を設置するなど、ポイントを絞ってリフォームを行うのも効果が出ることが多いです。

また、空室の原因が部屋の設備ではないことがよくあります。
例えば、募集をお願いしている不動産会社さんが1社で、その会社がインターネットで募集告知を出していないなどがあります。

募集している部屋の情報がお客様に届かなければ、いくらリフォームしても入居にはつながりません。
まずは、空室の原因が何かを調べるようにしましょう。
原因の改善できるところを改善してから、リフォームを考えてもよいかと思います。

修繕における税金の問題

修繕をする際に気を付けなければならないのが、税金の問題です。
修繕による支出は、内容や金額により「修繕費」と「資本的支出」に分けられます。

修繕費とは、元の状態に戻すという現状回復のための支出です。
例えば、クロスの張り替え、床の補修などです。
修繕費に該当するものは、支出した年に全額、必要経費に計上することができます。

資本的支出とは、価値が上がったり、耐用年数が延長するような支出です。
主にリノベーションが該当します。

資本的支出に該当するものは、全額必要経費とすることはできず、資産に計上することになります。
つまり、減価償却費として毎年耐用年数に応じて必要経費に計上されます。

この場合の耐用年数ですが、原則として、その資本的支出を行った資産本体と同じ耐用年数で償却を行うことになります。

例えば、耐用年数が47年の建物を1,000万円かけて修理して、その支出が全額資本的支出に該当した場合には、1,000万円で新たに取得した資産として、その支出をした年(修繕した年)から耐用年数47年で減価償却していくことになります。

たとえ、当初取得したときから25年目に修理したとしても、47年-25年=22年の耐用年数にはなりませんので、注意してください。
建物は定額法での償却になりますので、47年の耐用年数なら、1年あたりの償却額はたったの22万円です。

経費にできる金額は、修繕費でも減価償却でもトータルは同じですが、減価償却費として計上できる金額が、1年当たり少なくなる可能性があります。
すると、税金が高くなり、キャッシュフローが悪くなることがあります。

(例)1,000万円を借り入れて大規模修繕をした場合
借入条件は、金利2%、返済期間10年
不動産収入は1,500万円で、物件の減価償却費は140万円とします。
所得控除は考慮していません。

図 1,000万円を修繕費に該当した場合と資本的支出(資産計上)に該当した場合の比較
                             (単位:万円)

全額「修繕費」に該当した場合の手残りは、1,251万円、全額「資本的支出」に該当した場合の手残りは、894万円です。
このようにキャッシュフローを考えるのであれば、一括損金に計上できる修繕費に該当する方が有利といえます。

「修繕費」と「資本的支出」の区分方法

では、「修繕費」と「資本的支出」はどのように分けたらよいのでしょうか。
形式基準のフローチャートを使用する場合が多いです。
そのポイントは下記のとおりです。

≪形式基準のポイント≫
①資本的支出に該当しても20万円未満ならすべて修繕費
②おおむね3年以内の周期で修繕・改良等が行われているものはすべて修繕費
③金額にかかわらず明らかに現状回復工事といえるものは全額修繕費
④区分不明なものは、60万円未満または取得価額の10%以下ならすべて修繕費
⑤区分不明なもの(①~④の適用を受けるものを除く)は、継続適用を条件に支出金額の30%か取得価額の10%のいずれか少ない金額を修繕費、残額を資本的支出

なお、エアコンや給湯器などの設備が古くなったものを、新しいものに取り替える場合には、原状回復工事ではありません。
古い設備を撤去して、新たな資産を取得したことになります。
つまり、資産計上して減価償却をしていきます。

ただし、下記に該当する場合には、一括で経費にすることが可能です。

①1個につき10万円未満のもの
②青色申告者の場合1個につき30万円未満のもの(総額300万円まで)

これらの基準を使って、できる限り修繕費にできるものは修繕費に計上した方が、税金が抑えられ、キャッシュフローはよくなります。

具体的には、リフォームの見積書を項目ごとに区分することです。
明らかに現状回復の工事項目や20万円未満の工事項目は修繕費、資産価値が上がる工事項目で20万円を超えるものは資本的支出としていきます。

決して金額だけで判定するものではありません。
工事内容によって修繕費か資本的支出に分けるのが原則ということを覚えておきましょう。

≪見積書を修繕費と資本的支出(資産計上)に分けた例≫

資本的支出に備えて資金を準備しよう

節税を考えるなら、できる限り修繕費になるようなリフォーム工事をした方がよいのですが、資本的支出となるリノベーション工事が必要な場合はあります。
古い間取りや設備で空室が埋まらないなど抜本的なリノベーションが必要な場合があるからです。

資本的支出はキャッシュフローが悪くなります。
しかし、それを気にしていたら空室は埋まりません。
キャッシュフローが悪くなることをあらかじめ想定して計画立てることが重要です。

例えば、3年後に100万円の工事をすることを計画した場合、逆算して月3万円ずつ修繕積立金を積み立てるようにするのです。

まずは修繕計画を作ることから始めましょう。

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