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第8回 気になる平成27年度の税制改正。不動産投資に絡む改正内容を解説

執筆者:塩田 雅人2015年1月15日

毎年年末になると「税制改正大綱」というものが政府から発表されます。これが国会へ提出され、翌年可決されるという流れになります。そのため、この税制改正大綱はあくまで予定ということになるのですが、ほぼ可決されていくので、改正内容を把握するにはもってこいです。「平成27年税制改正大綱」も昨年12月30日に発表され今年の1月~3月の国会で可決されていくことになります。

消費税率や法人税率の変更については、すでにニュースなどでご存知の方も多いかと思いますが、実は毎年ものすごい量の税制が改正されています。今回はその主な内容をまとめてみましたので、みなさんの不動産投資の判断材料に活用していただければと思います。

1.不動産取得税、登録免許税
不動産投資でインパクトの大きい税金といえば、「不動産取得税」「登録免許税」の2つではないのでしょうか。どちらも不動産の取得時にかかってくる税金です。これらが下がれば、不動産投資家もとても助かりますし、不動産の流通量も多くなるのですが、実はこれらはすでに軽減措置がとられています。その内容は以下のとおりです。

〈不動産取得税〉

軽減前軽減後
土地 固定資産税評価額×4% 固定資産税評価額×1/2×3%
建物(住宅のみ) 固定資産税評価額×4% 固定資産税評価額×3%

〈登録免許税〉

軽減前軽減後
土地 固定資産税評価額×2% 固定資産税評価額×1.5%

ただし、これらの軽減内容は、有効期間が定められた時限立法になるので、いつかは廃止されてしまいます。廃止されると税額が上がるということになります。

まず、不動産取得税の軽減措置は平成27年3月31日で廃止予定でした。しかし、2年延長され平成29年3月31日まで適用されることになりました。登録免許税の軽減措置も平成27年3月31日まででしたが、こちらも2年間延長されます。
また、J-REITなどの投資法人や特定目的会社の場合、不動産取得税は2/5に減額となります。この軽減措置も平成27年3月31日まででしたが、2年間延長されます。

2.固定資産税
サービス付き高齢者向け賃貸住宅にかかる「固定資産税」については、新築した場合は5年間、固定資産税額の1/3に減額されていたのですが、これが1/2~5/6の範囲内で市町村の条例で定める割合に減額されることになります。自治体によっては、通常の固定資産税額の1/6になるという場所も。
また、この軽減措置も平成27年3月31日まででしたが、適用期限が2年間延長され、平成29年3月31日までとなります。

3.消費税
ご存じのとおり消費税は、平成26年10月の税率改定は見送られ、平成29年 4月1日から10%での執行となりました。5%から8%へ改定されたときにもありましたが、請負工事などにかかる適用税率の経過措置は平成28年10月1日までとなりました。つまり、平成28年10月1日までに請負工事の契約を終えていれば、平成29年4月1日以降に工事が完成したとしても、適用される税率は8%ということになります。
ここで駆け込み需要が発生し、慌ただしくなることが予想されますので、新築をお考えの方は前もって準備をしておきましょう。

4.法人税率
これも報道のとおり、現在34.62%の法人実効税率(法人税+復興特別法人税+法人住民税+法人事業税)を20%台まで引き下げることを目標にしています。その第1弾として、以下のような軽減がされます。

現行平成27年度平成28年度
法人税率(※) 25.5% 23.9% 23.9%
外形標準課税の所得割 7.2% 6.0% 4.8%
その結果↓
法人実効税率 34.62% 32.11% 31.33%

中小法人に関しては、800万円超の利益に対してのみ上記の税率が適用されます。800万円までの利益に対しては、今までどおり中小企業特有の軽減税率が適用されますので、投資規模の小さい不動産投資家にはあまり影響はありません。

また、外形標準課税というのも資本金 1億円超の会社特有の税制で、中小企業に関係ありません。ただし、今後この外形標準課税を中小企業にも取り入れようという動きがありますので、もし取り入れられることになれば、影響は出てくるでしょう。実は、そのときのために今回の税制改正が行われたのかもしれません。
外形標準課税とは、「資本割」「付加価値割」「所得割」という3つの税金からなるのですが、「資本割」と「付加価値割」は赤字の企業でも納めなくてはならない税金です。今回の改正は「所得割」を軽減して「資本割」と「付加価値割」を重くするという改正でした。儲かっている会社を優遇して、赤字の会社は淘汰していくという方向とも見えます。

5.ふるさと納税
今回の目玉改正かもしれません。「ふるさと納税」の概要ですが、これは地方自治体(自分の出生地でなくてもよい)に寄付をすると、その寄付金額とほぼ同額が税金から控除されるという仕組み。そしてさらに、寄付先からその土地の名産などが送られてきます。つまり、これまでは、税金として納めていたものを寄付に変えることによって、負担額はほぼ変わらずに名産物をもらえるというものです。
もちろん、無限に寄付できるわけではなく、これまでは住民税の約10%が上限でしたが、これが2倍の約20%になるようです。ただし、2,000円だけは自己負担しなければいけないので、その点はご注意ください。

そしてさらに、今までふるさと納税は確定申告をしなければいけなかったこともあり、サラリーマンには少しハードルが高かったのですが、これが簡略化されます。寄付先の自治体で手続きをしてくれるようになり、翌年の住民税から自動で差し引かれるようになります。 より一層、広まると思われますので、いい商品は早くGETしておきましょう。12月になってからでは遅いですよ。

6.教育資金贈与の使途緩和
これは以前からある制度で、1,500万円までの贈与が非課税となる制度ですが、その使途は教育関係に限られます。そうなると1,500万円も使い切れないのでは?となりますが、この使途に、通学定期代と留学渡航費等が加えられました。

7.結婚・子育て資金の一括贈与
以前、教育資金贈与というものがありましたが、それの結婚・子育て版です。対象は20歳から50歳の方への贈与。1,000万円が非課税となります。信託を使わないといけない点が、少しハードルが高いですね。

8.住宅取得等資金の贈与
省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の場合には500万円までの贈与が非課税になるという制度で、平成26年までの適用だったのですが、平成31年6月30日まで延長されます。

9.住宅ローン控除
住宅ローン控除は平成31年6月30日まで延長されます。消費税UPによる景気対策ですね。

10.個人の電子申告の電子署名不要
個人事業主さんにとっては、住基カードを取得する必要がなくなるので、少しだけ手間が省けます。住基カードを取得するのには、本人が取りにいかないといけないので、忙しい自営業の方には意外にハードルが高いものです。

11.検討事項
(1)マイナンバー制の採用
預貯金にマイナンバーをつける義務を課すというものです。

(2)減価償却費の定額法一本化
現在の定率法などを廃止していく方向になるようです。

(3)事業税の損金不算入化
事業税は支払った事業年度の経費とされていましたが、これができなくなります。

(4)租税特別措置法の廃止
通常の税法ではなく、「租税特別措置法」という法律は、期限が到来するものを中心に廃止を含めてゼロベースで見直しを行います。租税特別措置法には、例えば中小企業の軽減税率(大企業よりも低い税率)、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(30万円未満の減価償却資産の経費算入)など、意外と身近なものが多く、もしこれが本当に廃止されていくと、中小企業には相当な影響が生まれるでしょう。

毎年たくさんの改正が行われる税制ですが、不動産投資という的に絞れば、上記で紹介したものが主なものに。税制改正の内容だけではなく、その改正により今後不動産市場がどのように推移するか、前もって準備する必要がないかどうかを検討されるとよいでしょう。
また、大きな流れとしては、所得税・相続税・消費税を重くし、法人税・贈与税を軽減。政府の意図は、とにかくお金を動かして景気を回復させることにあります。そういう大きな流れの中で不動産投資家がどのように動いていくべきなのかを考えるようにしましょう。このまま個人名義で不動産を持ち続けるのか、売却するのか、法人化していくのかなど、不動産投資の判断材料になれば幸いです。

執筆者

塩田 雅人

塩田 雅人

不動産投資 専門税理士

不動産投資に関する税務をさまざまな角度(所得税・法人税・消費税・相続税など)から検討し、トータルでサポートを行う。個人所有物件の法人化や消費税の還付に精通。銀行との良好な関係を築き、顧問先の借り換え提案や金利交渉に力を発揮する。

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