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  • 不動産投資で失敗しない税金術

第16回 不動産投資で失敗しないためのシミュレーション

執筆者:塩田 雅人2015年9月29日

不動産価格が高騰する中で物件を取得するには、スピードが重要になってきます。時には、物件紹介を受けたその場で答えを出さなければいけない場合もあるでしょう。

しかし、不動産投資で最も怖いのはキャッシュフローが回らなくなることです。いくらよい物件、よい立地の物件を相場よりも安く購入できたとしても、キャッシュフローが回らなければ、手元資金を取り崩さなくてはなりません。ゆえに、スピードが重要視される今だからこそ、質の高いシミュレーションを素早く行う必要があるのです。

やってはいけない購入基準

不動産投資の成否は購入価格で決まるといっても過言ではありません。通常の事業であれば、うまく運ばなければ途中で仕組みを見直し立て直すこともできますが、不動産の場合は、既にビジネスの仕組みがある程度固まったもの(立地、相場家賃、物件のスペックなど)を購入することになります。

つまり、通常の事業に比べて、改善する要素が少ないのが不動産投資の特徴です。簡単にいうと、一度買うとある程度収支が確定してしまうということです。シミュレーションをせずに購入するということが、いかにリスクが大きいかお分かりになるでしょう。

シミュレーションするうえで、単純だけれど最も危険で陥りがちな購入基準があります。「相場との比較」です。いろんな物件を見ていると、「割安」に見えてくる物件があります。もちろん、売却を見据えた場合、「相場」というのはとても重要なのですが、保有時のキャッシュフローなどを考えると、「相場と比較して割安だから購入する」というのは、とてもリスキーと言えます。ましてや表面利回りだけで考えるなんてもってのほかです。立地や入居者の属性、修繕などに必要なコストなど、どのような物件なのか必ずいろんな角度から検討するようにしましょう。

事実調査をしっかり行う

「シミュレーションなんて予測に過ぎないから、やってもあまり意味がない」
「ある程度、頭の中ではできている」
「まだ経験を積んでいないから、シミュレーションの仕方が分からない」
そんなことを考えて、シミュレーションをしっかり行わない方が多いのではないでしょうか。

確かに、シミュレーションをするにあたって「予測」という要素は必ず入ってきます。予測を行うには、ある程度経験が必要かもしれません、しかし、シミュレーションのすべてが予測というわけではなく、事実もあります。事実を把握することなく、予測を行うことはとても危険なことです。言い換えれば、事実をしっかり調査すれば、経験がなくてもある程度確度の高い予測を行うことができます。

例えば...
・大規模修繕の有無
・間取り
・入居者の属性(単身、学生、性別、ペットなど)
・修繕の状況(3点ユニットで今後分離させる必要があるなど)
・備品の状況(エアコン、給湯器など)
・敷金や礼金の有無

・現状家賃と相場家賃の相違
・固定資産税評価など

これらは、シミュレーションを行う上で「事実」に該当します。今後大きな利益を生むことになるのか、損失を生むことになるのか、とても重要な要素ですので、決して手を抜かないようにしましょう。

キャッシュフローを予測

事実を調査した後は、得られた情報に基づいた予測を行います。

例えば...
・大規模修繕を行っていなければ、物件に足を運んで何年後にどれくらい費用をかけないといけないのか予測する。
・間取り、属性から平均入居期間を考えて1年当たりの入退居件数を算定する。

・敷金や礼金の有無、リフォームやハウスクリーニング、仲介手数料など入退居1件当たりの収支を予測する
・現状家賃と相場家賃の相違から家賃下落率を予測する。
・固定資産税評価額等から物件価格に占める建物金額を算定し、そこから1年あたりの減価償却費を算定する。
 ※詳細は第3回コラム「不動産の土地と建物の値段はどのようにして決まる?」を参照
・金融機関への事前打診を行い、借入金額、借入期間、金利などを設定し、毎月の返済額を計算する。
・上記の要素を含めて、年間のキャッシュフローや一定期間経過後の売却金額を予測する。

事実をしっかり押さえれば、予測はそれほど人によって変わってくることはありません。

注意したいシミュレーションの仕方

シミュレーションを行う際に注意していただきたいのが、前提を設定することです。楽観的に見るか、保守的に見るかという前提です。

・空室率、家賃下落率
・1件当たりの修繕費
・1年あたりの入退去件数
・家賃下落率
・売却金額など

最終的には、どちらの前提でもシミュレーションを行っていただきたいです。保守的に見るのはとても大切です。例えば、もし不動産投資(経営)がうまくいかなくなった時にどの程度リスクを負うことができるのか。これは投資家にとって欠かせない視点ですね。一方で、楽観的に見る必要もあります。仮に楽観的に見て、キャッシュフローが年間300万円発生するとします。その金額が、リスクに見合った数字でなければ、物件に手を出す必要はありません。

ここで注意点したいは、楽観的な見方と保守的な見方を混同しないことです。一つのシミュレーションの中で、楽観的にしてみたり、保守的にしてみたりする方がいます。例えば、空室率は楽観的に満室予想をしてみたが、修繕費は保守的に見るなど。これでは、どういったシミュレーションだったかよく分からなくなりますね。シミュレーションの目的をはっきりさせて、前提をぶれないようにしましょう。

次回は、不動産投資家なら誰もが検討する金利についてお話しします。金利が低い今だからこそ、選択肢があり、考えるべきことはたくさんあります。金利について対策を考えている人はぜひご覧ください。

執筆者

塩田 雅人

塩田 雅人

不動産投資 専門税理士

不動産投資に関する税務をさまざまな角度(所得税・法人税・消費税・相続税など)から検討し、トータルでサポートを行う。個人所有物件の法人化や消費税の還付に精通。銀行との良好な関係を築き、顧問先の借り換え提案や金利交渉に力を発揮する。

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