不動産投資の最新動向
2014/8/21

不動産投資のリスクと対策

リターンにはリスクはつきものです。不動産投資にも当然リスクはありますが、きちんと対処すれば怖がる必要はありません。そこで今回は、どのようなリスクがあり、どう対応すればいいかを紹介します。

「収入を減らすリスク」と「支出を増やすリスク」がある

不動産投資にもさまざまなリスクがあります。大きく分けると「収入が減ってしまうリスク」と「支出が増えてしまうリスク」といえるでしょう。賃貸住宅を前提に、それぞれの主なポイントについて解説しましょう。

図1不動産投資のリスクの種類


収入が減る要素でもっとも大きいのは「家賃下落リスク」です。マクロ的に見れば、日本全体が少子高齢化で人口減少社会に入っているわけですから「家賃は上がらなくなる」、あるいは「下がって行く可能性が高い」と考えておいたほうがいいでしょう。

しかし、地域物件よって大きな差があります。まず、地域でいえば、たとえば東京のように人口が増え続けている場所があります。県全体では減少していても市町村単位では、また特定の街では人口が増えていることもあります。インフラ整備も進んでいれば、家賃下落リスクは小さいといえるでしょう。

郊外は一般に家賃下落リスクが高いといわれますが、一概には決めつけられません。大学や企業の研究所が集まっているようなエリアでは、安定した賃貸需要が続き、値下がりしていないケースもあるからです。先入観にとらわれず、調べてみるといいでしょう。

また、同じエリアでも物件ごとに動きは違います。最寄り駅からの所要時間、コンビニやスーパーなどの生活利便施設の充実度、物件の間取りプラン管理状態などによる差です。これらの条件を踏まえ、入居者ニーズのある物件をきちんと選別すれば、家賃下落リスクを抑えることができます。

物件ごとの家賃の現状をより詳しく知るには、賃貸物件の部屋ごとの家賃や敷金、契約日などの貸出条件を一覧表にした「レントロール」をチェックするのが一番です。同じ間取りの家賃を比べて、契約日の新しい部屋のほうが安ければ、今後の入居者募集では、家賃を下げなければならない可能性があることがわかります。

空室リスクの中身を検証できる「トラックレコード」

収入が減るリスクで、家賃下落と並んで影響が大きいのは「空室」です。これについても、人口動態など大きな意味合いでの賃貸需要の動向と、個別の物件による差があります。したがって、マーケティング調査を綿密に行い、良い立地と物件を見極めることによって、リスクの大きさをある程度はコントロールできるといえるでしょう。

立地や物件もそれほど悪くないのに、空室率が高いケースもあります。このような物件の良し悪しを判断するには、空室の内訳をチェックすることが大切です。そのために役立つのが、各部屋の空室期間や家賃の入金状況などの運営履歴を記した「トラックレコード」です。トラックレコードからは、いろいろなことが読み取れます。

たとえば、10室の一棟マンションAとBがあるとします。どちらも、年間の空室率は1割です。これだけでは違いがわかりません。そこで、トラックレコードを見ると、Aは1室が1年間ずっと空いていて、Bは6室が2カ月ずつ空いていることがわかりました。

空室率は、満室時の総月数「12カ月×部屋数10室=120カ月」に対する空室月数の割合で計算。
A:12カ月×1室=12カ月
B:2カ月×6室=12カ月

→空室月数では同じ「12カ月÷120カ月=1割」

同じ1割の空室率でも、Aは一度空くとなかなか埋まらない状況がわかります。別の部屋が空いたら、同じように空室が続くおそれがあるでしょう。Bは退去者が出ても短期間で次の入居者が決まっています。回転が速く、入居者が入れ替わる一時的な空室しか発生していません。つまりこの場合、Aの空室リスクのほうが高いと推測できます。

また、なぜ空室が続いているのか、その間にどう対応したかについて、管理会社にヒアリングすることも必要です。物件情報を広く公開してきちんと募集活動をしたのか、集客の工夫をしたのかなど、管理会社の対応の内容を確認します。

募集活動をし、その内容に問題がなかったにもかかわらず空室が埋まらないとすれば、構造的に厳しいマーケットかもしれません。逆に、管理会社が怠慢で消極的な募集活動しかしていない場合は、購入後に自分の努力で入居率を高められる可能性があります。表面的に空室率が高いからといって悪い物件とは限らないのです。リスクをチャンスに変えられることも覚えておきましょう。

滞納リスクは怖くない? サブリースのメリット・デメリット

収入に関係する項目としては、滞納リスクもあります。これもトラックレコードに記載されています。ただ、最近では入居者に保証会社滞納保証を付けるケースが多いので、それほど大きなリスクと考えなくてもいいかもしれません。

管理会社の対応によっても滞納率は左右されます。ポイントは、入居時の審査をきちんと行っていること、迅速に督促などの手続きをとっていることです。こうした管理会社に依頼していれば、それほど深刻な滞納は起きないでしょう。

それでも、空室や滞納のリスクが怖いという場合は、サブリース(一括借り上げ。家賃保証)を利用する方法もあります。中古の場合は、新規入居者から順次サブリース契約に転換していくケースが多いかもしれません。既存入居者は、サブリース会社が入居審査を行っていないため、保証対象にならないからです。

サブリースはリスクを減らせるメリットがある一方で、査定家賃の85~90%の家賃保証を行うケースが一般的です。そのため手取り収入が減るというデメリットがあります。また、家賃は2年ごとに見直されるのが普通ですから、市場家賃が値下がり傾向にあるエリアでは、家賃下落リスクを抑えることはできません。立地、物件、管理会社を選べば、空室や滞納リスクはそれほど怖くないはずですから、ガイドとしてはお勧めしていません。

次のページでは、「支出が増えるリスク」について解説します>>

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ガイド:宮澤 大樹
(野村の仲介+ 資産コンサルティング部)

1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。

他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。