月100万円の副収入、サラリーマンでも可能?
不動産投資を始めるにあたって、手取り収入の目標を立てると、おのずと探すべき物件の条件も見えてきます。毎月の金額目標を「5万円/25万円/50万円/100万円」に設定、それぞれどうすれば実現できるかを考えてみましょう。
「出口戦略」と「法人化」で年収の壁を突破する
金融機関の与信の上限「年収の壁」を突破する方法とは何でしょうか。キーワードは「出口戦略」と「法人化」です。
≪方法1≫出口戦略を組み合わせて手元資金を持つ
購入した2~3棟のうち、所有期間が5年を超えた物件1棟を売却して資金を作る方法です。個人の場合、不動産の所有期間5年で譲渡税率が変わります。5年超の不動産の譲渡税率は5年以下の約半分になる、そのタイミングを活かすわけです。
売却する物件が値上がりしていなければ資金など作れないのでは?と考えがちですが、そうではありません。保有期間の5年間の返済によってローン残高が減っているので、売却してローンを精算した後に、手元資金が残ります。たとえば、1億2,000万円の一棟マンションをフルローンで購入(年利2%、30年返済)、5年間の返済で、ローン残高は約1,500万円減っています。購入価格と同じ金額で売れれば、その分が手残りです。※譲渡所得税がかかる場合があります。
また、手取り収入も使っていなければ、かなり貯まっているでしょう。月50万円なら年間600万円、これを5年間貯めれば3,000万円になります(実際には、入退去に伴う諸経費や建物の修繕費などがかかるため、多少は目減りしていることを考慮しておきましょう)。
これらを合わせて3,000~4,000万円の潤沢な資金を提示すれば、銀行の融資枠を拡大することができるはずです。それによって、ひとまわり大きな物件を購入できるようになります。より大型で高収益の物件に組み替えることによって、手取り収入を増やすスピードを上げて行くことができるでしょう。
≪方法2≫資産管理法人の活用
個人としての「年収の壁」を乗り越える2つ目の方法は「法人化」です。
たとえば、1棟目を購入する時点で「資産管理会社」を設立、その会社が賃貸住宅をサブリース(一括借り上げ)する形にして、家賃収入の15~20%を手数料として支払います。会社は手数料収入をストックし、少なくとも3年以上は黒字決算を続けます。
銀行は過去3年間の決算書をチェックして会社の評価をするので、法人(会社)に対するプロパー融資(外部機関による信用保証を受けない融資)が受けられる可能性が高まるでしょう。
なお、起業した年からすぐに黒字になり、安定して3年以上も黒字決算を維持できる会社はきわめて珍しいですが、不動産投資なら難しくありません。勤務先の兼業禁止規定など、本人が法人の役員になれない場合は、親か配偶者を役員にし、手数料収入のすべてを役員報酬にせず、一部を法人の内部留保にして黒字計上することが大切です。
資産管理法人が個人よりも大きな融資を受けられるようになれば、法人として大型の収益物件を購入します。その段階で「資産保有会社」になります。個人の給与所得が多い場合(課税所得が900万円超で適用税率が33%以上など)、まず資産所有法人を設立し、1棟目から法人で購入したほうが、メリットは大きいかもしれません。
また、家賃収入は法人の会計に入るので、所得分散や適用税率の引き下げによる節税効果も生まれます。法人の場合は、個人より経費計上の幅が広がるなど、さまざまなメリットがあるため、手取り収入が増えるスピードに加速度がかかるでしょう。
こうした手法を組み合わせることによって、サラリーマン大家の「年収の壁」を乗り越え、「手取り月100万円」の達成が夢ではなくなります。40歳から不動産投資をスタートし、スムーズに行けば10~15年、50~55歳で実現できるのではないでしょうか。早期退職、セミリタイアという選択も見えてきます。
家賃以外のプラスアルファ収入で手取りを増やすアイデア
手取り収入を増やす方法は、物件を購入して総資産を増やすことだけではありません。詳細までは触れませんが、以下にポイントを列挙します。
■物件選び
・「減価償却費」の高い建物を購入する →現金収支には影響せず、課税所得の圧縮に効果。
物件価格が同じであれば、耐用年数が短いほうが減価償却費は高くなります。建物の構造別では、鉄筋コンクリートのマンションより木造アパートのほうが有利。
・「維持管理経費」の低い物件を購入する →現金の出費を抑え、手取りが増加。共用設備の少ないほうが保守点検、補修費が少なくて済みます。3階建て以上の高層マンションより、2階建て以下の木造アパートのほうが有利。
ただし、上記の観点ではマンションよりアパートが優位にありますが、融資面や出口戦略ではアパートよりマンションのほうが有利になります。詳しくは、少し前に公開した「メリットを比較! アパートVS一棟マンション」をご覧ください。
■プラスアルファの収益
賃料上昇が見込めない場合に、遊休スペースで収入を得ることによって、利回りのアップを可能にします。
・敷地内のわずかな余ったコーナーを活かす
バイク駐車場(月極)、移動販売者への時間貸しなど。こうしたスペースを専門に探せるサイト(「軒先ビジネス(R)」)も登場しています。
・貸し看板、看板広告で収入を得る
分譲マンションの広告、各種商店の看板広告などを設置。
・太陽光発電で売電収入を得る
太陽光発電システムの機器・装置の価格は下がってきています。機器等の購入価格に対して5~10%程度の利回りが期待できこともあるようです。
・民泊に対応
「住宅宿泊事業法(民泊新報)」が2017年6月成立。年間180日までは都道府県への届出のみで合法的に民泊ができることになりました。長期契約の家賃よりも高収益が期待できます。マンスリーマンションなどを主体にして、その隙間の期間を民泊で埋める"二毛作ビジネス"も可能性があります。
いろいろなアイデアを駆使して、「手取り月100万円」達成のスピードアップにつなげてみてください。
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1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。
他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。