不動産投資の最新動向
2016/10/19

プロのノウハウでチェック!【投資物件の現地見学ポイント】

不動産投資の成功のために知っておきたい「物件調査のノウハウ」。事前の情報収集から現地でのチェックポイントまで、数多くの投資物件を見ている仲介のプロならではの目の付けどころも紹介します。(2ページ目)

ここだけは見落とせない、現地調査の重要ポイント

いよいよ現地での物件調査です。私達が同行する現地案内では、最寄り駅で待ち合わせて該当物件まで歩くようにしています。歩いてみることで、どのような賃貸需要があるかを見ることができます。自動車利用が中心のエリアでは、自動車でアクセスを確認するのもよいでしょう。

また、物件の周辺100メートルくらいは歩いてみます。事前に調べたインターネットの情報には載っていない施設や、反対になくなっている施設もあります。車などの交通量や町の雰囲気など、肌で感じる情報も大切です。

現地に到着したら、物件そのものをチェックしていきます。おおむね30分程度は必要と考えたほうがよいでしょう。敷地内に入るには、オーナーの許可を得て案内する仲介担当者の同行が必要です。無許可の立ち入りは不法侵入になりますので注意してください。

<敷地回り>
・敷地の境界標(石)の有無を、わかる範囲で目視チェックします。境界があいまいになっていると、後々の売買、建て替え、遺産分割などの際にトラブルになるおそれがあります。
越境のチェックも重要です。建物の屋根や庇(ひさし)、植栽、工作物(電柱、フェンス、ブロック塀など)がないか、隣地からの越境、隣地への越境を調べます。

■プロの目
水道管などの地下埋設管が隣地へ越境している場合、修繕が必要になったときに隣地所有者の許可が必要になったり、費用が余計にかかったりするおそれがあります。

マンホール
の蓋を見ると、上下水道菅がどこから引き込まれているか、他人地を通っていないか、逆に他人の排水管がこちらの敷地に入っていないか、などがわかります。必要に応じて、越境物確認書、協定書(越境物に関わる同意書)の有無を確認します。

また、現行法に適合していない「既存不適格建築物」になっていると増改築や同じ規模での建て替えはできません。接道状況や、まれに、前のオーナーが土地を切り売りして、建物が他人の土地に越境しているケースなどもあるので、図面と現地を照らし合わせてチェックします。

<管理状況>
・管理の良し悪しは入居者の印象を大きく左右し、稼働率に影響する重要な要素です。敷地内や共用部分の清掃がきちん行われているか、ポストが荒れていないか、ゴミが散乱していないか、不法投棄はないか、などをチェックしましょう。不審な車や人の出入りがないかも見ておきましょう。

■プロの目
建物の中に入れれば、共用部分の清掃状況も確認します。ペット飼育を認めていない物件でも、隠れてペットを飼っている入居者がいる可能性もあるため、臭いがついていないかをチェックします。

<建物の劣化状態>
・外壁のクラックがないか、敷地に入れる場合はバルコニーの裏側や廊下の淵など、雨掛かり部分にコンクリートの爆裂(割れて中の鉄筋が錆びて露出している状態)が無いかなどをチェックしましょう。劣化部分がきちんと修繕されているかどうかがわかります。

■プロの目
屋上防水の状況なども、点検口から上がることができれば見ておきたいところです。将来的な大規模修繕の時期やコストが予測できます。

<共用施設・設備>
・一棟マンションの場合は、受水槽やタンク、消防設備、エレベータの有無、きちんと点検されているかを確認します。

■プロの目
法定点検が義務付けられている設備についてはそのランニングコストを考える必要があります。一例ですが、受水槽が年間6~7万円、消防設備は年2回で8万円、エレベータは月2~4万円です。アパートの場合は、水道は各戸へ直結ですし、消防設備も消火器くらいしかありません。非常警報器があれば、年に2回の法定点検が必要です。

<入居状況>
・総戸数のうち、実際に何戸入居しているかを、わかる範囲でチェックします。

■プロの目
郵便ポストもヒントの一つですが、名札を出しているとは限りません。建物内の廊下側に水道・電気メーターが出ていれば、その稼働状況で入居中かどうかを推測できます。

<住戸内>
・建物内に入れる許可があり空室がある場合は、部屋の中に入って設備の種類や稼働状況などをチェックします。部屋の向き、日当たり、眺望など、賃借人が住む観点で見てみましょう。

■プロの目
この部屋ならいくらで貸せるか、周辺相場とも合わせて考えます。現状の募集賃料と比べて高い場合は、賃料を下げる必要がありそうかなどを推測します。また、共用設備と同様に、住戸内設備(エアコン、給湯器、照明、調理器具など)について、リフォーム費用がどのくらいかかるかを予測します。

たとえば、給湯器がバルコニーや廊下に出ている場合は、製造年月をチェックできます。製品寿命は15年程度で、1台当たり8万~10万円ですから、あと何年で何台の交換が必要になるか、いくらかかるかを予測することが可能です。室外から見えない場合は、売主に「今まで給湯器は何台変えていますか」とヒアリングして調べることになるでしょう。

最後は、多くはないけれど「知らないと怖い話」です>>

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ガイド:宮澤 大樹
(野村の仲介+ 資産コンサルティング部)

1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。

他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。