不動産投資の最新動向
2016/4/22

夢ではない? サラリーマンから「メガ大家」への道

保有物件が総額10億円を超える不動産投資家を「メガ大家」と呼びます。どのようにして「メガ大家」になったのか、サラリーマン時代から不動産投資を始め、資産総額25億円に達している白井知宏氏に秘訣を伺いました。

■お話しを伺った「メガ大家さん」プロフィール
<白井 知宏>
1961年生まれ、神奈川県出身。不動産コミュニティ「The Club」会長。
学習院大学卒業後、1984年に外資系企業に入社。在籍中、47歳(2007年)からサラリーマン大家となり、数年後に資産管理法人を設立。52歳(2012年10月)で独立して専業大家に。その後3年間で飛躍的に投資を拡大、総資産25億円、年間家賃収入は2億4,000万円に及ぶ。保有物件は22棟(ファミリー40室、シングル140室程度)。著書『元外資系サラリーマン 家賃収入「1億円」構築術』(ごま書房新社)を上梓

サラリーマンでも「メガ大家」は夢じゃない

――宮澤(以下略):「メガ大家」と呼び始めたのは、人気不動産投資ブロガーの寺尾恵介さんだそうですね

白井さん(以下敬称略):寺尾さんが2012年に主催したセミナーの中で"メガ大家"とネーミングされたのが最初ですね。私はちょうどその年の9月に会社を退職して、翌月から専業の大家になりました。サラリーマン時代に何億円か買っていて、独立して半年で8億円分くらいの不動産を買わせていただいたので、「メガ大家」が有名になった同じタイミングで私の保有資産も10億円を超えていました。実は同じ頃に「メガソーラー」も流行っていて、"ダブルメガ"になりたいと、東京ドームの倍くらいのメガソーラーの購入を検討したこともあります。結局は買いませんでしたが(笑)

――野村不動産アーバンネットのお客様にも「メガ大家」さんはいらっしゃいますが、さすがに10億円を超える個人投資家は少ないですね

白井:会社勤めで3~4億円まで行くと、ちょっと壁にブチ当たる。そこを突き抜けるのがけっこう難しいようです

――「3億円の壁」「年収30倍の壁」などと言われていますね。会社勤めの方が「メガ大家」を目指すのは無謀なのでしょうか

白井:やり方次第で不可能ではありません。私の友人で10億円を越えている人の条件がいくつかあります。3億円を超えて買っていく場合は、法人化されているケースが多いですね。後でお話ししますが、それによって資産形成のスピードが速まります。会社勤めのままでも、親族名義で法人化して、本人は株主として連帯保証に入りながら10億円を超えている方もいます

「物件を選ぶな、選ばれる人になれ」

――白井さんは最初から「メガ大家」と呼ばれる資産規模を目指していたんですか

白井:不動産を買い始めたきっかけは、会社で出世するのに限界を感じた47歳のときです。株やFXなど会社勤めをしながらできる投資案件にいろいろと手を出してみました。ただ、後ろ向きの気持ちというか、付け焼き刃で取り組んだせいもあってことごとく失敗して。その中で不動産だけ、何とかうまくスタートが切れたのです

――なぜ、不動産はうまく始められたんですか

白井:良いパートナーに出会えたからですね。野村不動産アーバンネットさんもそのひとつです。最初はネットを見て、セミナーに行って、本で勉強して、いろんな方とお会いしてお話を聞いた。そうすると、「積算価格が出ている物件がいい」「収益還元法で回る物件がいい」「節税になる物件がいい」など、人によって話す内容が違う。どれが本当に自分に合っているのか、初心者なので訳がわからなくなった。そのうちに、『売りたい物件があって、それに合った話をしているんだ』と、だんだんわかってきました

――金融の世界でいう「ポジショントーク」に近いですね。売りたい商品を持っているところが、自分の立ち位置に有利になるように誘導する情報を出す。その点、不動産仲介会社は特定の物件を売るわけではないので、「ポジショントーク」をする必要はありません

白井:そこなんですよ。後ろに特定の物件が付いていない仲介会社の方は、変な警戒をしないで付き合える。それで、自分が信用できる仲介の営業担当者に任せるのがベストだと気づいたわけです。自分でイチから不動産を勉強してもプロに追いつくことは難しい。それより、優秀な営業担当者のアンテナに引っ掛かった物件をすぐに教えてもらえる関係を作るのが一番いいはずだと。そうすれば自分でパソコンを叩いて、毎日ネットで物件を調べる必要はありません。しかも、その人から紹介してもらえる物件はプロのスクリーニング(ふるい分け)を通過しているので、自分で選ぶよりもクオリティが高いわけです

――なかなか自分に合った営業担当者が見つからないという声もありますね。どうやって見分けるか、難しいのでは

白井:そんなに難しいことではないでしょう。私は最初に不動産投資を始めた時点で47歳でした。それまでの人生の中で、生活や仕事を通じてたくさんの人と接しながら付き合う相手を選んできているので、「この人は信用できる・できない」というのは何となくわかります。不動産に関するプロではないが、ある意味では誰しも「人付き合いに関するプロ」ともいえます。その中で、自分なりの感性に合った人を選べばいい。彼女を選ぶのと一緒ですよ(笑)。
私はその当時、不動産フェアにいくと、セミナー講師の話を聞くより、そこにスタンバイされている営業の方を見に行っていました。彼らの顔を見ながら『誰が信頼できそうかな』と見定めていたんです

――我々は"人付き合いのプロ"から選ばれているわけですね。気が抜けませんね

白井:投資家が一方的に仲介会社を選んでいるわけではないですよ。自分たちも、できる営業担当者から選んでもらわないといけないという意味では、より厳しいともいえます。扱う物件はたくさんあるし、お客さんもたくさんいる。100人いるお客さんのなかで『この人に良い物件を紹介したい』と優先順位を高めてもらう必要があります。ですから私は常々"物件を選ぶな、選ばれる人になれ"と言っています

――なるほど名言ですね。仲介会社の営業担当者から優先的に物件を紹介してもらうコツはありますか?

白井:"自分と付き合うとメリットがある"と思われることですね。そのためには、自分がどういう心境で不動産投資を始めて、どういう目標に向かっているか、金融資産はいくらあって、銀行からの評価はどうか、そして「今はこんな物件が欲しい」という条件を明らかにしておくことです。それが営業担当者の頭の中に入っていれば、どのタイミングでいくらの物件を紹介すれば買ってもらえるだろう、とピンと来るようになりますから

――我々営業担当の側からいうと、条件や意志があやふやな方より、「こういう条件に合う物件が出たら必ず買う」という購入意思が明確な方に紹介しようと頑張るのは確かですね

次ページでは投資用物件の「購入のタイミング」について伺います>>

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ガイド:宮澤 大樹
(野村の仲介+ 資産コンサルティング部)

1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。

他の投資商品との比較から不動産投資の具体的な投資・運用方法まで、初心者の方にも、経験者の方にも参考になる内容を、わかりやすく丁寧にご説明いたします。