売却成功のためには、少しでも購入希望者によい印象を持ってもらうことが大切。そのポイントのひとつとして、すっきり感が挙げられます。室内だけでなく収納内部までも片づけるなど、ちょっとした工夫と気遣いが好印象の秘訣です。
片付かない我が家。
好印象を与えるためにも、すっきりと見せたい!
収納不足の悩みが住みかえのきっかけに
ある日の週末、家で掃除をしていた奥様はため息をつきました。「片付けても、片付けても、片付かない! 」。それもそのはず、4人家族のKさんの家は収納量が圧倒的に足りていなかったのです。ご主人はゴルフと釣り、長男は野球が趣味なので、納戸の中は趣味の道具でいっぱいに。その上、長女はおしゃれに目覚めて、クローゼットの中は、新しい洋服でいっぱいになりました。奥様の悩みはキッチンにもありました。約3畳のスペースにあるキッチンは、1800mmI型タイプ。作業スペースが限られていて収納部分も少なめ。ワゴンや食器棚をダイニングに置いていますが、見た目にも圧迫感があり、作業効率もはかどりません。奥様は、「もっとすっきりと暮らしたい」という思いを募らせました。そんなとき、近所に新築一戸建て分譲が発売されるというチラシが。興味津々の奥様は、ご主人を誘って見学へ行きました。開放的なだけでなく、造りつけ収納やアイランド型キッチンに目を奪われた奥様。緑の多い街並みも快適な暮らしを彷彿とさせました。
悩み解消のために住みかえを
早速、買いかえるか否かを話し合ったご夫婦。購入当時は十分な広さに感じた持家も子どもたちが大きく成長し、手狭に感じてきたところ。住まいの手入れはこまめにしてきたので、外観、内装ともに古さを感じさせませんが、収納不足の悩みは解決できません。しかも奥様は見学した新築一戸建て分譲の購入意欲満々。ご主人も、持家より駅から近いロケーションが気に入りました。とりあえず、査定をしてから決めようと、不動産会社に査定を依頼。不動産会社は、まず訪問査定で物件を下見し、法務局で登記簿謄本を取得、市役所では周辺道路や用途、法令規制の確認、周辺物件の相場なども調査。それを元に算出された査定価格は3000万円。Kさんが予想していた価格に近かったので売却を決意しました。
すっきりとさせる工夫で好印象度をアップ
不動産会社の営業担当者は、売却のコツとして「使わない荷物はトランクルームに預けるなどしてよい印象をもってもらうことが大切です」と提案しました。ご夫婦は早速、家中を整理整頓するために、持ち物をリストアップ。納戸に収納したシーズンオフの寝具や衣装ケースなど、当分使わないモノをトランクルームに預けるように手配しました。
ですが、奥様はダイニング・キッチンの圧迫感が気がかりでした。それを不動産会社の営業担当者に相談すると、その場で提携のリフォーム会社に連絡を取り、アドバイスを仰ぎました。その日のうちに駆けつけたリフォーム会社の「ダイニングとリビングの壁を撤去しては」との提案を受け入れ、工事を依頼しました。壁を撤去した後は、リビングとダイニング・キッチンが一体となり、すっきりとした佇まいに。トランクルームやリフォームでかかった費用、30万円分を売り出し価格に上乗せして販売開始。広告を打ち出してその日に反応があり、早速見学者を迎えることになりました。
見学に来られた方から「すっきりとして開放的」と、リビング・ダイニング・キッチンをほめていただきました。リフォームしなくても住めるという理由で、気に入っていただき、商談はとんとん拍子に進展。Kさんは「思い切って売却を決断してよかった」と、安心して新居を購入できる喜びに胸を踊らせました。

売却物件を見学してもらうことが成約の第一歩。購入する方は、これから数年、数十年、住む家として見学されます。自分達の住まいを「商品」と考え、見学の際に良い印象を持っていただくことと、「今まで大切に住んでいた」ということを印象づけることが大切です。そのための手段として、荷物を他の場所に預ける、リフォームするなどもひとつの方法。自由に見学してもらうためにもすっきりと片付け、室内のどこを見られてもいい状態にしておくことがポイントです。
2008年10月制作
家族構成

- profile
- ご夫婦共働き、2人のお子さんは高校生。物件は最寄駅からバス20分の立地に位置し、ショッピングセンターなどが充実した便利な住環境。住まいは築10年の一戸建て。敷地面積30坪、2面の道路に接道する角地。間口は12mと横長の長方形の土地で、陽当り良好。
知っておきたい不動産用語
- ▼納戸
- 部屋状の収納スペースのこと。建築基準法で定められた居室の基準に、採光や通風などの面で当てはまらないことから、不動産広告などで「納戸」と表記するケースもあります。
- ▼クローゼット
- クローゼットには、ハンガーパイプが設置された収納庫や、大型クローゼットなどさまざまなタイプがあります。人気が高いのは、部屋状になったウォークインクローゼット。収納量が多く、吊り下げた形で収納できることが特徴。主に衣類の収納に使われ、寝室の中に隣接して作られるケースが多いです。
- ▼アイランド型キッチン
- キッチンの配置方法の一つで、流しや調理台など機器の一部または全部を壁面から離し、キッチンの中央に置いたスタイル。その部分が、島(アイランド)のようになっているので、アイランド型と呼ばれています。
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