買換保証制度、つなぎ融資で、希望の住みかえを実現。
買い主が見つからないまま、購入物件が決定。
買いかえの資金繰りを行うためには?
妊娠を機に住みかえを決意
Mさんの持ち家は、東京23区内に隣接する郊外型マンション。物件周辺は、視界を遮る高い建物もなく、ベランダからは田園風景が広がる眺望が楽しめます。そんな住環境を気に入っているMさんですが、妊娠中の奥さまが産後も働き続けるために、現在は通勤時間が1時間20分かかるところを30分ほどに短縮したいと希望していました。子供が2人欲しいと思っている奥さまは今後、新しい家族が増えると住まいも手狭になるので、この機会に住まいの買いかえを決意。
買換保証「不安」を解消
Mさんの物件周辺で取引事例を多数持つ不動産会社を訪ねました。売却の最優先事項として「早く住みかえたい」「仮住まいはしたくない」ということを希望。さらに「万が一売れなかったらどうしよう」という不安も打ち明けると、買換保証サービスを勧められました。後日、物件の訪問査定を受け、買換保証付きで専属専任媒介契約を締結。不動産会社は、チラシ、インターネットなどに掲載して売り出しを開始しました。
購入物件が先に決定
「売却を待っているだけでは希望する期間に住みかえできない」と焦ったMさんは、物件探しも同時進行。インターネットで情報を集め、通勤時間がドアツードアで30分程度の気に入った物件を見つけました。
一方、売却の方で営業担当者はまず、不動産会社独自のネットワークによる購入希望者への案内を実施。早期売却を焦るMさんにオープンハウスの実施を勧めました。居住中の家を公開することになるため、あえて避けてきたのですが、営業担当者の意見を何とか承諾。オープンハウスへ一番に見学されたBさんが、予算や間取りなどを気に入ってその場で申し込みをされました。
住宅ローンの事前審査が通れば契約していただくことになったのですが、事前審査が通らないという問題が発生。その理由は個人情報保護のため教えてもらえなかったそうですが、Bさんは他の金融機関に住宅ローンの申し込みをすることもなく、購入を断念されました。
つなぎ融資で問題を解決
次の物件の売買契約締結をしなければならないのに、住宅ローンの残金の返済ができなければ、購入代金も借りることができません。「残金を完済するための手段として、つなぎ融資という方法もあります」という営業担当者のアドバイスを受け、つなぎ融資を申し込むことに。2週間後にはつなぎ融資が実行され、その資金で住宅ローンを完済し、購入代金のための住宅ローンを申し込みました。同時に、再度オープンハウスを実施。以前来場した購入希望者が再び来場し、申し込みをしてくれました。
この買い主さんは事前審査もスムーズに通り、売買契約を締結。売却代金でつなぎ融資も完済しました。Mさんは「転ばぬ先の杖を用意しておいてよかった」と安堵のため息をつきました。

住宅ローンを借りるためには、購入する物件を担保にする必要があります。さらに、住みかえの場合、持ち家の住宅ローンをまず完済しなければ、新たに住宅ローンを組むことができません。今回のケースのように買いが先行する場合、つなぎ融資を利用してひとまずローンの残金を支払うことで、気に入った物件を購入することが可能となります。
2008年6月制作
家族構成

- profile
- 結婚11年目の共働き夫婦。子供がいなかったため、旅行やグルメを楽しんでいたが、11年目にして妊娠。出産後の職場復帰を望む奥さんは、現在の住まいから1時間以上かかる職場で仕事を続けていくために、職場から30分圏内で、今よりも広い3LDKのマンションを購入したいと考えている。
知っておきたい不動産用語
- 買換保証
- 定めた期間内に売れなかった際、査定価格の一定割合で買い取るサービス。住宅を買いかえる場合、手持ち物件を売却する前に購入先が決まってしまい、残金決済までに確実に物件を売らなければならないような場合に有効。このシステムは、まず専任(または専属専任)媒介契約を結んで、通常どおり売り出します。
※07年10月号にも掲載しています。 - 事前審査
- 住宅ローンの融資を希望する金融機関で事前に受ける審査。この事前審査は、インターネット、郵送、FAXなどで申し込みができ、融資可能と結果が出たら正式に住宅ローンの申し込みをし、本審査が行われます。
- つなぎ融資
- 住宅が売れるまでの間、半年~1年程度の短期間だけ借りる融資のこと。住まいの売却代金から手付金と既存の住宅ローン借入金残高を差し引いた額が融資限度とされ、借入期間に応じた利息がかかります。
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