きっと役立つ不動産売却成功術

17年前のバブル期に、新築マンションを購入したSさん。物件価格は下がっており、ローンの残債が売却価格を上回っているという状況の中、ご両親の介護をするために、住みかえを決意。不動産会社からのアドバイスにより、一番心配していた資金計画がクリアになり、税金の優遇制度を活用することで、納得のいく住みかえを実現しました。

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残債の返済と購入資金の両方をカバーできる、買いかえローンがあります!

ローン残債が売却金額を上回っている!
それでも住みかえは実現可能?

予想外の住みかえ計画

Sさんが、お子さんの小学校入学をきっかけに持ち家を購入したのは、平成3年のバブル期でした。敷地内にいくつもの住宅棟が建ち並び、そこにはショッピングゾーンや公園などもある大規模なマンション団地で、間取りは南向きの3LDK。当時の物件価格は、今とは比較にならないほど高く、高金利の時代。元利均等返済を利用していたため、これまでのローンの支払いは利息ばかりで元金はなかなか減りません。ローンの残債は半分以上も残っていたこともあって、当分は住み続けるつもりでいました。ところが、昨年、離れて住むご主人のお母さんが軽度の認知症になり、外出先で迷子になることも度々起こるようになりました。介護をしていたお父さんも高齢ということもあり、Sさんは二人だけで生活させることが不安になってきたことから、いつでも様子を見に行くことのできるよう、ご両親の近くに住むことを決心。

予定外の計画だったので、何よりも気がかりなことは資金計画でした。残債があっても買いかえができるかどうか。まずは不動産会社を訪問し、確認することを急ぎました。

「バブル期に購入した方は、売却金でローンの残金を返済できない方が多くいらっしゃいます。だからといって、住みかえが無理ということではありません」と営業担当者。「計画的に返済できる範囲内で次の物件を想定されるのであれば、大丈夫です」と力強いアドバイスを受け、計画を予定通り進めることにしました。

買いかえローンと優遇税制を活用

不動産会社から提案されたのは、買いかえローン。これは次に購入する物件の購入資金に加え、売却する持ち家の住宅ローン返済分も同時に融資するローンで、2重ローンを防ぐことが出来ます。さらに、買いかえによる「譲渡損失の繰越控除」という優遇制度も活用することも。これは、買いかえに伴って発生した譲渡損失(売却損)を、譲渡した年の所得から向こう3年間にわたって繰越控除が出来るという制度。給与所得と譲渡損失を通算し、0円ないしはマイナスになっていたら税金を納めなくてもよくなります。しかも「住宅ローン控除制度」との併用ができるので、2つの特例を利用して住みかえると数年は減税効果が望めます(※バックナンバー3号参照)。Sさんはこの話を聞いて資金計画の不安も和らぎ早速、仲介を依頼しました。

不動産会社は、早期売却に向けて顧客への案内や広告などで営業活動を開始。広告を見て問い合わせのあった見学希望者には、現在の住まいやマンション購入の動機、資金計画のことなどを丁寧にヒアリングし、ニーズを把握したうえで物件の案内をしました。その中で大規模マンションを希望する方がおられ、思ったよりも早く売却できました。気に入った物件も見つかり、ご両親はSさんと一緒に暮らせる日を楽しみにされています。

知っておきたい不動産用語

元利均等返済
住宅ローンの返済方法の一つ。返済開始当初は、返済額に占める利息の割合が多く、元金はなかなか減らないですが、毎月の返済額は一定なので返済計画が立てやすいのがポイント。
譲渡損失の繰越控除制度
購入価格より売却価格が安くなった場合、適用条件をすべて満たせばその損失と他の所得を損益通算として所得税・住民税が控除される制度。例えば、所得価格600万円の人が、6000万円で購入した住宅を4000万円で売却した場合。(購入価格6000万円-売却価格4000万円)=譲渡損失2000万円を通算4年間、所得金額から控除することができます。※諸経費等は考慮せず
譲渡損失の繰越控除制度
住宅ローン控除
住宅ローンの借入残高の一定割合の価格を、所得税から控除する「住宅借入金等特別控除」。すでに払っている所得税の一部が戻ってくる仕組みになっています。※確定申告が必要
その他の不動産用語はこちら
成功のポイント

買いかえローンを組むことで売却損によって生じる二重ローンを防ぎながら、売却と購入の両方で税金の優遇措置を受けたことが大きなポイント。返済計画が立てやすくなり、税金も戻ってくるようになるので、売却損のダメージを軽減することが可能となりました (※バックナンバー3号参照)。

2008年5月制作

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