相場に準じた査定価格ズバリで販売し、価格交渉の関門を乗り越える!
売り出してから販売価格を下げるのはイヤ!
価格交渉なしで売却するには?
慎重に住みかえを決断
坂本さんは二度目の住みかえでした。以前は、3ヶ月以上経っても売却できず、不動産会社に販売価格を大幅に引き下げられ、やっと売却したという苦い思い出がありました。その資金を元手に住みかえした持ち家は、7年前に購入した総戸数250戸の大規模マンション。周辺に買い物施設や教育機関等が整う便利な立地が気に入っていました。そんな坂本さんが、住みかえを考えたきっかけは長女の私立高校合格。片道2時間という通学を不憫に感じたのです。長男が来年、中学校に入学するタイミングや住宅ローンの金利が上昇基調ということもあって「今しかない」と住みかえを決断。
納得のいく不動産会社を選ぶ
早速、2社に査定を依頼。それぞれの不動産会社から、すでに同マンションで3軒も売りに出されていることを聞かされました。
査定結果は両社で200万円の開き。A社のほうが高かったのですが明確な根拠がなく「他の3軒と比較してこれくらいなら売却可能だろう」という説明。それに納得できず、A社に対して不信感を持つことに。
一方B社は、他3軒の売り出し時期や反響状況も把握していただけでなく、同マンションにおける過去2年分の取引事例や分譲した際の価格比較などを元に「きめ細かく調査した結果の価格です」と詳細な説明がありました。しかもB社は、買主もストックしている様子。坂本さんは「B社なら安心して任せられるかもしれない」と考えました。
ただ、価格交渉されることを想定し、「査定価格の110%で販売できませんか」とB社の営業担当者に相談しました。すると「買主様は必ず他の物件と比較されます。少しでも高いと感じられると反応を示してもらえなくなります」と営業担当者。査定価格で売り出し、価格交渉には応じないほうが、結果的にスムーズに売れるというアドバイスを信じることにしました。
情報公開前に集客活動を
販売にあたって、B社の営業担当者はまず、同社がストックしている購入希望の登録顧客へのアプローチ。チラシやインターネットなどで、物件情報を公開する前に、そうした登録顧客へ電話やDMなどで新規売り出し情報として見学を呼びかけてくれました。営業活動が始まってから1週目で4組もの見学希望者が現れました。各営業担当者と4組ともあえて同じ日の同じ時間帯にし、希望者が多い印象を訴求することに。
見学当日は4組とも各営業担当者に間取りや周辺環境のことなどを熱心に質問していました。後日、そのうちの2組から購入希望の打診がありました。
坂本さんの予想通り、価格交渉をされたのですが、営業担当者は複数の購入希望者がいるため値下げはむずかしいと買主を説得。それに納得した1組の買主さんと無事契約を結ぶことに。
いよいよ契約当日、マンションの外に出ると、前々から売り出していた3軒のオープンハウスののぼりが立っていました。「3軒の方々もB社さんに頼めば良かったのにね」と夫婦で顔を見合わせ、予想以上に早く売却できた喜びを実感しました。

仲介会社を決める段階で、ただ単に査定結果だけで選ぶのではなく、その説明に納得できるかどうかを見極めることが大切。価格査定の際に同マンションでの販売実績を確認することも重要です。また、確実に売却するテクニックとして、相場通りに設定した査定価格で売り出し、物件が旬の時期(新規売り出し時)に一気に集客し、価格交渉には極力応じないというスタンスも成功の秘訣。結果的に、検討者との条件調整もスムーズに進めることができます。
2008年4月制作
家族構成

知っておきたい不動産用語
- 金利
- 住宅ローンなどの借入金に対してかかる利息の割合。その時点での市場金利によって決まるが、返済期間中金利が変わらない固定金利型のローンもある。
- DM
- ダイレクトメールの略。顧客に向けて、郵便などで直接郵送する広告。
- 価格交渉
- 売主と買主で物件の価格を掛け合うこと。通常、不動産会社(仲介会社)が間に立って行われる。
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