趣味で描いていたイラストをソーシャルネットワーキングサイトで発表していた奥様は、1年前にプロに転向。仕事が忙しくなるにつれて、部屋は散らかる一方。広い家に住みかえしたいと願うようになりました。とはいっても査定価格はシビア。「早急に売却したい。でも買取りは避けたい」。そんなご夫婦の売却術とは。
旧モデルの水廻りを一新。自分でできるプチリフォームも行い魅力をアピール!
早期売却のためにあえてリフォームを決断。
演出にもこだわって売却に成功。
住まいの不満を解消したい
Tさんの住まいの悩みは、モノが増えすぎたこと。在宅のイラストレーターである奥様が仕事用に購入した本が増えすぎてしまったためです。仕事場として使っていた6畳の洋室の片隅には、本が山高く積まれていました。「本を収納できる部屋が欲しい」という奥様の気持ちをくみ、Tさんもそこを書斎として活用する計画をたて、今より広いマンションへ住みかえをすることに。
Tさん宅は築15年、総戸数200戸の大規模マンション。15年もたつと同じマンション内で住みかえをする人も多く、売りに出されている中古物件のチラシをTさん自身何度も見てきました。同物件を数多く扱っていた不動産会社もチラシをみてわかっていたので、そこに査定を依頼。
訪問した営業担当者は、開口一番「使いやすい間取りは評価が高いと思いますが、荷物の多さと水廻りのヨゴレが気になります」と率直にメリットもデメリットも、話してくれる姿勢に安心感を覚えたTさんは、その営業担当者にすべてを任せることに。より有利に売却するためのアイデアを求めると、リフォームが提案されました。「買主様の好みもあり、一般的にはリフォームせずに販売するケースが多くあります。ただし、水廻り設備は生活感が強く残りますのでリフォームすることで印象が良くなり、早期売却が実現しやすくなります」とアドバイスをもらいました。
リフォームして販売開始
悩んだ末、リフォーム業者を紹介してもらい、予算300万円で浴室とキッチンをリフォームすることを決心。使いにくかったI型キッチンは、対面式のシステムキッチンに。浴室は、浴槽を一回り大きなサイズにしたユニットバスに変えました。さらに営業担当者が、見事な眺望とほめた北側のルーフバルコニーには、ご主人がホームセンターで購入した木製ブロックやガーデンテーブルなどで、カフェテラスのような演出を。午後は日当たりの悪い東側の部屋が、少しでも明るく見えるよう、照明とカーテンも取替えました。webサイトにリフォームした写真を多数掲載し、販売を開始。営業担当者の対応は熱心で、徒歩圏内にある公共施設やデパートなどの商業施設、小中高などの教育施設、総合病院、大小さまざまな公園といった周辺環境の資料を作成してくれました。都心まで最速で15分の交通アクセスは、朝夕・終電の交通シミュレーションまで調査。その資料は、オープンハウスに来た見学者に配布。2組が購入を希望され、うち1組は価格交渉を申し出られましたが残り1組の若い夫婦は10階からの眺望の良さと、中古にもかかわらず、リフォーム済でこれ以上手をかける必要がないことから、売却価格そのままで申し込みされました。
中古物件に対する不安を解消するため「売るためのお金のかけ方など、メリット・デメリットをキチンと話してくれたことが売却をスムーズに進行させた秘訣だったと思います」と語るTさんの表情は安堵感にあふれていました。

全面改装すれば見学者に良い印象を与えることができますが、予算面を考えると必ずしもそれが得策とはいえません。一部だけ業者に任せたり、自分でできるリフォームをしたり、インテリアを変えたりすること、状況によっては、荷物を貸倉庫に預けることなどにより、イメージアップを図れます。また、あらゆる面から訴求ポイントを明確にすることも大切。資料を用意して周辺環境をアピールする、物件の魅力が引き出せる時間帯に案内するといったアイデアも、早期売却に結びついた秘訣といえます。
2008年2月制作
家族構成

知っておきたい不動産用語
- システムキッチン
- 流し台、調理台、ガス台、吊戸棚などの要素を寸法や機能に合わせシステム化した台所設備。
- ルーフバルコニー
- 階下の住戸の屋根を利用したバルコニー。一般的に屋根はなく、通常のバルコニーより面積が広め。
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