「譲渡損失の繰り越し控除」をご存知ですか?活用すれば、一定期間所得税・住民税などがゼロになります。(注/条件があるので詳しいことは、国税庁のホームページか、不動産会社の担当者に必ず確認して下さいね)。今回、それを活用したMさんの例をみてみましょう。
譲渡損失の繰越控除と住宅ローン控除を上手に利用するのがポイント
売却価格が購入時よりも安くなってしまっても税金でしっかり戻ってきます。
買ったときより安くなっても無理なく住みかえはできる!
6年前、郊外のマンションを購入したMさんご一家は、ご長男の小学校入学を機に、住みかえを計画。希望通りの価格で売却することができず、またタイミングをずらすこともできないということで譲渡による損失は2000万に。「どうしても子供部屋を作ってあげたかった」というMさんは新たに住宅ローンを活用して、都内にマンションを購入されました。
Mさんの年間所得は600万円。譲渡損失と新たな住宅ローンでダブルパンチです。奥様もパートに出ようか真剣に悩まれたそうです。
そんな時です。Mさんが以前、不動産会社の担当者から聞いていたアドバイスを思い出されたのは。「マイホームを買いかえる時、前のマンションが購入時より安い価格でしか売れなかった場合、税金が戻ってきますよ」ということを。
それは『譲渡損失の繰越し控除』制度というもの。そもそも所得税の計算は所得額にかかってきますが、所得額よりも損失が大きければ、所得額がゼロになり、源泉徴収された税金がもどってくるしくみです。
Mさんの場合、年収以上の損をされたわけですから、その制度の活用が可能になりました。
ただ、この制度の場合、売却したマイホームについて、細かい条件がいろいろあるので詳しくは国税庁のホームページをチェック。
住宅ローン控除も強い味方に!
ちなみにMさんご一家の場合、(1)譲渡損失があり、(2)所得金額が3000万円以下、(3)マンションを売った年の1月1日に所有期間が5年を超えている、(4)買いかえ先の住居を買うのに住宅ローンを使った、(5)買いかえ先の住宅の居住用部分の床面積が50m²以上、という買いかえの場合の譲渡損失の繰り越し控除の条件に当てはまっていました。
「ほっとしました。子どものためとはいえダブルパンチはサラリーマンにとって頭の痛くなる状況ですからね」とMさん。下記のように、マンションを売ってから3年目までは所得税がゼロ、2年目から4年目までは住民税がゼロ。また新しいマンションを住宅ローンで購入したので、4年目から10年間は「住宅ローン控除」が適用され、所得税から一定額が控除されます。
「小遣いが減らされずにすみました」とMさん。国の制度を知っている、知っていないでは大きな差がでます。ぜひ知っておきたい制度ですね。


譲渡損失の繰り越し控除を
受けられる条件を知っておくこと!
マイホームが買った時より売った時のほうが安くなったとしても「譲渡損の繰り越し控除」を受けられる条件に自分たちのケースが当てはまるか知っておけば、住みかえの際の計画も立てやすくなります。
2007年8月制作
家族構成

知っておきたい不動産用語
- 譲渡損失の繰り越し控除
- 買いかえの際、前の住まいの価格が購入時より値下がりするなどして損をした場合は、その損失を所得などと相殺して、所得税の還付を受けられる制度。また、その年の所得などより損をした金額のほうが多い場合、翌年から最高3年間の所得から繰り越して控除が受けられます。
- 住宅ローン控除
- 正式には住宅借入金等特別控除。住宅ローンを借りて住宅の購入、新築、増改築をし、平成19年または20年に居住した場合、一定期間にわたって所得税から一定額が控除される制度。控除額は、年末のローン残高に応じて決まるため、金融機関から送られる借入金の年末残高証明書等を保存しておき、確定申告で手続きします。
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