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WEB限定 「おうちに帰ろ」創刊1周年記念 ロングインタビュー

中嶋朋子さん

本誌およびWEBの特集で取材した中嶋朋子さんですが、特集内では伝えきれなかった中嶋朋子さんのライフスタイルの魅力をロングインタビューバージョンとして紹介いたします。

富良野の大自然が私の原点です

 中嶋朋子さんは7歳の頃から人気ドラマ『北の国から』の蛍役で大活躍。それまで東京しか知らなかった中嶋さんは、東京と北海道を行き来する生活に。それは、2002年に蛍役を卒業するまで続きました。
 「私の生き方のベースは富良野の大自然にあるんですよ」と話す中嶋さんは「自然の中にいるとホッとします」と休みの日には息子さんと一緒に近所の公園や神社に散歩に出掛けたりするそうです。おうちの天井には天窓をつくり、息子さんと二人でそこから望める樹木のそよぎを楽しんだり家の中からも自然との触れ合いを大切にされているようです。
 「東京にも探せば自然はあふれています。アスファルトの隙間から草花が顔をのぞかせていたりとか。北海道の大自然を知っているからこそ、逆にそんな小さな自然を見つけると力強さを感じてしまいます」と中嶋さん。

 「季節によって違うんですが、今の時季だと富良野の自然は独特の匂いがするんです。芽吹く草花の匂いですね」。北海道の大自然は、本州と違ってそのスケール感は圧巻です。「私が一番好きなのはジャガイモの花。品種によって違うんですけど、白とピンクの花があって。辺り一面ジャガイモの花で埋め尽くされると雪景色のように見えたり、風に吹かれて波のように揺れたりして本当に綺麗。あと、アスパラガスもおもしろいですよ。あのままが土からニョキニョキって生えているんです。生えたら今度は先端のぶつぶつしたところが一本ずつ伸びて淡い緑色の木のようになって、秋には小さな赤い実をつけるんです。それがクリスマスツリーみたいですごくかわいいんです。でもアスパラガスのすごいところは割と荒れた大地にも平気で生えているところ。かわいらしさの中にあるたくましさにも惹かれますね。だからアスパラガスって栄養たっぷりなんだなって思いました」。
 ゆったりと移り変わる富良野の四季を通じて、大地の恵みを肌で「学びました」という中嶋さん。
 また家ではブルーベリーなどの果樹やハーブを育てているそうで「子どもと一緒に花の蜜を吸ったり、草むしりを手伝ってもらっています」と、自然と触れ合うことが親子のコミュニケーションにもなっているようです。
 「北海道から旬のじゃがいもなど野菜をたくさん送ってくださるので、そのままスープにして食べたり、それをベースにカレーを作ったり。素材の優しい味わいを大切にしています」と、自然の恵みを食生活にしっかり取り入れている中嶋さん。「煮込み料理って何だかゆとりを感じますよね。ゆっくりと煮込んでいる時間にはコンロのそばにある丸イスに座りながら本を読んだり。ずっとそばで自分の好きなことをしていますね」。コトコトと煮込む作業は中嶋さんにとって、ゆっくりと自分と向き合う生活の中の『大事なゆとり時間』となっているようです。

自分の時間を大切にしたい

 『北の国から』のドラマを終えたことは、中嶋さんにとってじっくりと自分と向き合うきっかけとなったようです。「テレビだけでなく舞台や執筆活動と、自分の中から湧き出てくる『やりたいこと』と正直に対話する中で『自分らしさ』をつかんでいきました。『失敗しても当たり前』と自分を許せるようになったことで、自分や周りを信じることに繋がっていきました」。その心の開放感が伸び伸びと新しいことにもチャレンジする原動力となっているようです。そして、中嶋さんは自分が一番心地いいと思うものを暮らしの中にどんどん取り入れてきたようです。
 いの一番に答えてくれたのが、忙しい中でホッと落ち着いたひとときを過ごすための『マイカフェタイム』。家族旅行で行った旅先で購入してきた様々なフレーバーティーを飲みながら思い出話に花を咲かせるのだそう。

 外に出掛ける時には水筒を活用。「その日の気分や体調に合わせて中に入れるお茶を選んでいます。ビワの種をちょっと割ってはちみつに漬けたものはおすすめですよ。すごくいい香りで、のどが痛いときにも効果的。お湯で割ったり紅茶で割ったりして楽しんでいます」という中嶋さん。
 自称水筒マニアだという中嶋さんは持ち歩くお茶だけでなく、水筒、水筒カバーにもこだわりが。「機能性だけではなく見た目にも自分のお気に入りのものがいいですね。どうせ同じひとときを過ごすなら、やっぱりお気に入りのものに囲まれていたほうが幸せ気分も倍増します」。取材当日も水筒を持参されていた中嶋さん。今一番のお気に入りだというカラフルなマルチストライプの水筒カバーで水筒が包まれていました。

 さらに、もう一つ持ち歩いているものがメモ帳。「気付いたこととかをちょっと書き留めておくんです。感動した本のタイトルやページ数などを書いておいてあとで見返すと、同じ自分の気持ちでも改めて気付かされることがあるんですよ」という中嶋さんのメモ帳は今や5冊目に。「このメモ帳を初めから何かのために役立てなきゃって思って書くと自分への負担になってしまうから、忘れないようにちょっと書き留めておこうっていうくらいの気持ちで書いています」。
 外で食べておいしかったものをメモしておいて、家で作ってみるなど、マイメモ帳は暮らしの中で役立っているようです。

たまたま仕事で出会った着物の心地よさに魅かれていきました。

 当日、ご本人の希望もあって着物姿で現れた中嶋さん。普段着というオーダーに対し、綿100%の生地の着物を持参され、「意外に簡単なんですよ」と、ささっと自分で着付けられた中嶋さん。何と着付けは全て自己流だというから驚き。そして、中嶋さんの着物のほとんどは着物デザイナー山本ゆみさんに仕立ててもらったもの。「仕事でご一緒したとき、山本さんの着ていた着物にはアメリカのデッドストックの生地にあるようなデザインのバラが大きくあしらわれていて。着物ってかっこいいって思いました」と中嶋さん。着物の魅力を知れば知るほど心地よさが膨らんでいったといいます。「着物って昔は普段着だったんですよね。しかも着古したら端切れにしていろんなものが作れるでしょ。旅行先でも着物は重宝します。私の持っている着物と帯はリバーシブルのものが多いんです。ですから、着物と帯が一枚あれば、衿や足袋を替えたりするだけで何通りもの着方ができて荷物も少なくてすむんです」と着物とエコの関係を自ら発見。さらに、着物は中嶋さんにとってコミュニケーションツールにもなっているようです。「着物を着て歩いていると道でおばあちゃまが声をかけてくださるんです。若い頃に着ていたものに似ているとか。着物を着ていることで世代を超えて話ができるんですよ。まさに着物マジックです」。
 着物を着始めたことをきっかけに、お抹茶も自己流で始めたという中嶋さん。家の中で着物姿で抹茶をたて家族に振る舞ったり、晴れた日には野立てセットを片手に友達と一緒に公園へと出掛け、お茶を楽しむこともしばしば。着物生活を始めたことで楽しみの幅はますます広がっているようです。

ストーリーのあるものが好き

 家族との団欒の場であるリビング。家族と過ごす時間を大切にされている中嶋さんは、家族が集まるリビングのインテリアにもこだわり、リラックスタイムを演出されています。リビングに入るとパッと目に飛び込んでくるところには、息子さんが描いた絵や旅先のお土産が飾られているとか。「ベネチアに旅行に出掛けたときに購入したお祭で使うマスクには本当に思い入れがあって。すごく素敵なアーティストの方がいるんですけど、念願叶ってお会いすることができ、サインしてもらったマスクなんです」。
 他にも中嶋さんの家のリビングにはストーリーのあるものが多数。「母はお皿を集めるのが好きなんですが、こっそり私の生まれ年のお皿を買ってきてくれたりするんです」。
 中嶋さんの『ストーリーのあるものが好き』は、お母様ゆずりでもあるようです。みんなでゆっくりお茶を飲みながら過ごす時間には、たいてい「あれはあのとき買ったものだよね」と話しながら過ごしているそうです。

子育てはすごく楽しい


「空が青いと海も青い。」
駒形克己著
ONE STROKE/714円(税込)
http://www.one-stroke.co.jp

 さあ花の蜜を吸いに行こう、公園に行こうと現在9歳になる息子さんとの時間をとても大切にされている中嶋さん。自然の中で培った中嶋さんの好奇心旺盛な部分は息子さんにも受け継がれているようで「なんで、どうしての塊で、自分が発見したことなどを一生懸命教えてくれるんです。子供から教わることのほうが多いですよ」と中嶋さん。
 そして最近ではピアノを習い始めたそうで「『どうして習わせてくれないの』って急に子供に言われて、『分かりました』って慌ててピアノ教室を探しました。初歩的な曲ですけど両手で弾けるようになったみたいです」とお母さんとしての幸せが伺える内容も。また、絵本好きの中嶋さんは「昔から大好きな『星の王子様』を最近息子の寝入り話として読んでいます。子供と一緒になって、『なんで、どうして』って読める科学的な絵本も好きですね」と絵本を介して母親としての思いも伝えているとか。
 中嶋さんの子育てに対する思いとは「『ぼたんは掛け違えてもいい』と思っています。ちょっとしたことで世の中って違って見えると思うんです。息子にはあらゆるものの見方が出来るような人に育っていって欲しいし、そういうことを教えてあげたいと思っています」と息子さんが伸び伸びと成長していく姿を温かい目で見守っていらっしゃいます。

「まっ、いっか」って思える自分を大切にしていきたい

 幼い頃から女優として活躍されてきた中嶋さんは、「幼い頃は特に自分の時間というものが分からず、力が抜けなかった」と言います。
 そんな中嶋さんは、結婚して子どもが生まれ、家族ができたことで、いい意味でずっと女優としてスイッチが入りっぱなしの状態から心が解放されたようで、母親としての自分や一個人としての自分、いろんな自分を混同することなく、楽しめる余裕が生まれたのだとか。「仕事も好きだし、本を読んだり、映画を観たりする自分の時間も好きだし、母親な私も好きだし、旦那のパートナーとしての私も好きだし、娘な私も好き。でもそれらは全然違うフィールドだってことを理解しているから、自在に飛び回っているような感覚でいろんな自分に出会えて楽しいんです」と話す中嶋さん。「たくさん好きな自分ができたことで、全部に完璧でいなきゃいけないとは思わなくなりました。自然と『まっ、いっか』って違うフィールドへ移ることで頑張りすぎないようにしています」。「ほんわかしたいって思っていても、ほんわかしなきゃって力んでいたら本末転倒ですからね。それを取り違えないように、母親だからこう、妻だからこう、女優だからこうって力まず、『まっ、いっか』って自分を許して、認めることで生まれる開放感を大切にしていきたいですね」と、上手く息を抜きながら自分とゆっくりと向き合っている中嶋さん。富良野の風を感じさせるふわりとした雰囲気の中にも、自分というものをしっかりと持ったステキな女性でした。

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