【この記事のポイント】
□「リノベーション」と「リフォーム」の違い
□質感、素材にこだわりを見せるリノベーション
□趣味やライフスタイルに踏み込んだ個性派プランニングも
□ここに注意!リノベーションマンションを買う時
住宅に対する「リノベーション」が普及し、室内が新築のようにきれいになった「リノベーションマンション」も人気を集めています。ただ、マンション(区分所有)のリノベーションは基本的に専有部分に限られますから、「リフォーム」と「リノベーション」の違いは曖昧にならざるを得ません。
「これは単なるリフォーム済みマンションでは?」ということにならないためにも、リノベーションとリフォームとの違いを整理しておきましょう。
まず、広い意味では、住まいを改修する「リフォーム」の中に「リノベーション」も含まれます。一戸建ての大がかりな増改築は、今でこそリノベーションと言われますが、リノベーションという言葉が一般的になる前にはリフォームと言われていました。
現在では、一般に「リフォーム」は、汚れた壁紙を張り替えたり、壊れた設備を補修したり入れ替えたりして、機能を元に戻すことを意味し、「表面的・部分的な改装」を指すことが多いでしょう。
対して「リノベーション」は、機能を高めたり、新しいインテリアのトレンドを取り入れたり、間取りを変更したりして、元の状態よりも住み心地やデザインを良くすることです。住戸内の内装設備をすべて取り払ったスケルトン状態にして、床下を通る給排水管まで交換を行う「スケルトン・リフォーム」は、リノベーションの代表的な例です。
最新の設備や内装を、購入前に実物として見ることができるリノベーション済み物件の見学は、モデルルームとは違ったインパクトがあります。新築とリノベーション済み中古マンションを、並行して比較検討する人が多いのも納得でしょう。
では、比較されることの多い新築マンションとリノベーション物件(以下リノベ物件)との違いを中心に、最近のリノベーションのトレンドを紹介しましょう。
最近の新築マンションは、分譲価格を抑えるために設備・仕様の原価を削っていることがあります。たとえば、以前の高級マンションでは、床材のフローリングはムク材や突き板、廊下には天然大理石を使うなど、素材へのこだわりが見られました。しかし、今ではどちらも化粧シートを使うケースが増えています。
これに対して、リノベ物件では、自然素材などこだわりの素材が使われているものが珍しくありません。見た目ではそれほど変わらなくても、手触りや足裏の感覚はまったく違います。「素材の持ち味」「質感」の面では、リノベ物件が新築マンションを超えているわけです。
また、仕様においても、リノベ物件が新築マンションをしのぐケースはあります。たとえば、リビングダイニングと洋室の間仕切りにスライドドアを採用し、すべて開けると広い空間としても使えるフレキシブルな間取りや、可動式の棚板や仕切り・パイプで自分に合った収納スペースを作れるシステム収納などが挙げられるでしょう。
新築マンションでもこうしたプランはありますが、多くはオプション仕様になっています。オプションは追加費用がかかりますが、リノベ物件では全て表示価格に含まれ、もちろん現物を見ることができます。引き渡しを受けてから「イメージが違った」と後悔することも少ないでしょう。