【この記事のポイント】
■不動産価格、平均値は上昇が続く
■都心マンションでも二極化
■土地・戸建ての需要が活発に
■今なら希望物件の「価格交渉」も可能?
野村不動産アーバンネットによる、2016年7月1日時点の中古マンションと住宅地の「実勢価格調査」を基に、最新の不動産価格動向を紹介しましょう。これは、対象となる住宅地(土地)と中古マンションをピックアップして、それぞれの実勢価格を3ヵ月ごとに定点観測し、「変動率」で表したデータです。リアルタイムの不動産市場の動きを知るうえで役立ちます。
※調査地点は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の限定されたものですので、都県全体を表すものではありません。
今回の首都圏における価格変動率は、住宅地と中古マンションともにプラス0.3%となりました(図1参照)。2013年の4月から3年以上に渡って、「0~1%」のプラスが続いています。また、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の各都県別では、住宅地は6四半期連続、中古マンションは7四半期連続して、全エリアでプラスです。首都圏全体での平均値は、ごく緩やかな上昇傾向が続いています。
次に、「値上がり(上昇)」「横ばい」「値下がり(下落)」地点の割合(シェア)を見てみましょう。図2は、首都圏エリアの中古マンションについての各地点数の推移です。前回に比べて、「横ばい」が減って、「値上がり」と「値下がり」がやや増えています。「値上がり」と「値下がり」の増加は、地点ごとの選別化が進んでいることをうかがわせます。
住宅地については、「横ばい」が増えて、「値上がり」が減っています。大きな変動がなく、次第に落ち着きつつあるようです。
全体の平均値では緩やかな変動ですが、エリア別では、それぞれ異なる傾向が見られます。中古マンションについては、東京23区だけがプラス1.2%と高い変動率を示しており、他のエリアは0.1~0.2%というごく小さな変動に収まっているのです。
大きな変動率を示した23区のマンションですが、地点数では「横ばい」が全体の3分の2(95地点中63)を占め、「値上がり」は3分の1にとどまります。値上がり傾向がストップしたマンションも少なくないわけです。
<こうした中で値上がりが続いているマンションは、2つのキーワードで表現できます。一つは「プレミアム感があるマンション」です。もうひとつは、「都心部で価格が据え置かれていたマンション」といえます。タワーマンションなどに隠れて注目度が低いゆえに、価格が抑え気味だったマンションが、じわじわと値上がりを続けているのです。
さらに、以前なら同じマンション内の物件は同じような動きをしていましたが、最近では、同じマンション棟内でも、物件による差が目立つようになってきました。
たとえば、とあるタワーマンションでは、中層階の物件は相場より少しでも価格が高いと問い合わせがありません。しかし、「最上階」や「角部屋」、「東京タワー・ビュー」などの特徴が加わると、多少高めの価格でも売れています。同じマンション内で同時に複数の物件が売り出されている場合は、こうした良い物件から先に売れている状況です。
「高くても売れる物件」の条件が徐々に狭まっています。こうした状況に来ると、相場全体の上昇傾向は最終コーナーを迎えつつあるといえるかもしれません。