コミュニティが成熟した意識の高い管理組合では、財務内容の改善にも積極的です。たとえば、既存の管理会社の対応に不満があった場合の「委託先の変更」があります。複数の管理会社に相見積もりを取り、管理内容と金額をチェックして、費用対効果の優れたところに変更するのです。
そのようにしてコストを抑えた分を大規模修繕に充てたり、コミュニティ活動を充実させるために使うこともできます。こうした見直しを管理組合主導で行っています。
また、劣化を防ぐ修繕に止まらず、バリューアップのリノベーション(リフォーム)を行うケースもあります。外壁の色合いを変える、エントランスを明るくアレンジするなど、共用部分の第一印象を変えることによって、資産価値アップにつなげることも可能でしょう。
管理会社のほうでも委託先の変更を防ぐために、より良いサービスの向上に努め、さまざまな改善提案をしています。たとえば、共用部分の照明のLED化、省エネ効果の高い電子ブレーカーの導入など、電気代を節約することで管理費を抑える。
あるいは、利用率の下がった駐車スペースの一画を時間貸しパーキングやカーシェアリングに変更する、維持費の高い機械式駐車場を一部撤去してバイク置場にする、などです。
管理組合の意識がしっかりしていれば、こうした提案力のある管理会社と連携することによって、プラスアルファの価値を生み出すことも可能でしょう。
共用部分から専有部分へ、ハードからソフトへ広がる管理サービス
マンション管理とは、もともと共用部分のハード面のメンテナンスが対象でした。しかし、安心・安全な暮らしを維持し、長く快適に住み続けたいというニーズに答えるために、管理会社の関わる範囲も広がっています。
専有部分、つまり住戸内に関するサービスもその一つです。水漏れやトイレのつまりなど困った時に駆けつけるサービス、ハウスクリーニングや家事代行サービス、米やミネラルウォーターなどのデリバリーサービス、各種取次サービスなど、以前は大規模マンションや超高級マンションのコンシェルジュサービスとして存在していました。それらが、中小規模マンションのオーナーに対する会員制サービスとして広がっているのです。
管理会社が、多様化するニーズに応えるサービス業として進化しているともいえます。こうした新しいサービスを中古マンションに取り入れたい場合、管理会社からの提案を受けて、管理組合の話し合いでコンセンサスを得るという手続きを経るのが一般的です。その際にも、良好なコミュニティの存在が欠かせません。
今後、中古マンション選びで管理を見る場合には、コミュニティというキーワード念頭に置いてチェックすることを忘れないようにしましょう。
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野村不動産パートナーズ