マンションの購入希望者の中で新築と中古を並行して検討する人が増えていることは、いままでにも何度か指摘してきました。最近ではその傾向がますます高まって、「新築か築浅中古か」の選択で迷っている人も増えているようです。
"築浅"の定義は必ずしも決まっていませんが、ここでは築10年程度までを"築浅中古"もしくは"築浅マンション"と呼ぶことにして、その魅力をご紹介しましょう。
一般に、分譲マンションの平均的な居住期間は10年前後といわれています。そうなると「売りに出てくる築浅マンションは少ないのではないか」と思うかもしれません。実際はどうなのでしょうか。
図1は、東京都区部で成約した中古マンションの築年別の割合を示したものです。東日本レインズが2011年のデータをまとめたものですが、傾向としては大きく変わっていないと考えていいでしょう。
この調査によると、築5年以内と築6年から10年までを合わせた「築10年以内」が35.6%です。意外に多いと思いませんか? 少し幅を広げて築15年以内でくくれば、成約物件の半分以上を占めることになります。
築浅マンションは都心立地が豊富
なぜ、これほど築年数の新しいマンションが市場に豊富に出てくるのでしょうか。実は、1995年頃から首都圏だけで年間8万戸を超えるマンションの大量供給が始まり、そのストックが中古市場の中で大きなボリュームゾーンになっているからです。
単にストックが大きいだけではありません。平成初期からのバブル崩壊で地価が下がり始め、90年代半ば頃からマンション立地の都心回帰が進みました。
図2の通り、築10年以内の築浅マンションのうち、東京都内が半数以上を占めます。東京都区部だけで4割に達し、次いで都心に近い横浜・川崎が2割。郊外の埼玉、千葉は1割前後です。つまり、築浅マンションは利便性の高いエリアに集まっているということです。
最近は、マンション開発に適した用地が少なくなったこともあり、都心の優良立地の新築マンションが大幅に少なくなりました。立地を優先するなら、築浅中古のほうが選択肢は広いといえるでしょう。