中央線沿線で、いまもっともホットなエリアは「中野」でしょう。前ページの「住んでみて良かった街」では、吉祥寺に次いで第3位にランクインしています。
中野といえば、以前はアニメ関連の店舗が集まった"オタクの聖地"というイメージが強く、駅周辺もゴミゴミした雰囲気がありました。しかし、駅の北西にあった警察大学校が2001年に府中に移転した跡地で、従来のイメージを払しょくする一大プロジェクトが進んでいるのです。
昨年、駅北口バスターミナルの改修と東西連絡道路の新設と併せて、防災機能を備えた大型の都市公園と2棟の大型オフィスビルが竣工しました。キリングループや栗田工業の本社など、大企業が次々に移転してきます。さらに、明治大学と帝京平成大学の新キャンパスがこの春オープン。来年には、早稲田大学の学生寮が完成します。
これによって学生だけで8,000人超、オフィスのビジネスマンを含めれば昼間人口が2万人も増えるといわれています。23区内の駅前で、これほど大規模な開発エリアが出ることは稀でしょう。再開発エリアと駅南側を結ぶ南北自由通路の整備、駅南東に広がる公社住宅の再開発なども予定されており、今後も大きな変貌を遂げるポテンシャルを備えています。
住宅市場では、今も指名の購入希望者がいる「中野ブロードウェイ」(1966年築)など草創期の中古マンションから、新築マンションまで豊富です。昨年完成した29階建て超高層マンション「中野ツインタワー」は、2年前の分譲時に港区並みの高額だったにもかかわらず、即日完売しました。中野の将来性に対する期待が高いのではないでしょうか。
荻窪、三鷹、国立... 魅力ある街が豊富
中央線沿線には、杉並区の良好な住宅地が広がる「荻窪」や「西荻窪」、武蔵野市内で吉祥寺と並ぶ人気が高い「三鷹」、文教地区として名高い「国立」など、他にも歴史と特徴のあるエリアが並んでいます。なかでも「三鷹」から「立川」までの区間は2010年に高架化工事が完了し、各駅周辺で再整備事業が進んでいます。
たとえば「国立」は、駅南側に伸びる美しい並木道「大学通り」の景観を守るために、周辺の住宅や店舗等に一定の建築規制を掛けた景観形成ルールが設けられているなど、住民意識の高さで知られます。駅徒歩圏の一戸建て住宅には23区内の高級住宅地に引けを取らない根強い人気があります。同駅の象徴ともいえる赤い三角屋根の旧駅舎は、駅の立体交差工事にともなって解体されましたが、部材が国立市で保管され、復元される予定です。
「三鷹」や「武蔵小金井」では、駅前に再開発と共にタワーマンションができるなど、以前とは異なる新しい顔を見せつつあります。中央沿線は、古い歴史を持ちながらも少しずつリニューアルが進み、いつまでも魅力が衰えません。住宅地としても、将来的に資産価値の落ちにくい数少ない沿線として、人気を保ち続けるでしょう。